どうも、いしかわごうです。
セカンドステージ第11節名古屋戦は6-1で勝利。
内容と結果は申し分ないですね。今シーズンのキャッチフレーズさながら、「ATTRACTIVE」なゲームでした。なにより、風間監督が就任時からこだわっていた「どう勝つか」の部分を、サポーターに提示したモデルゲームにもなったと思います。風間シェフは「ウチはこの料理の、こんな味で勝負するよ!」というわけです。
圧巻は、5点目の崩しです。
あの美しいパスワークだけで僕は何杯でもおかわりできますわー。「最高でしょ。マイナスなのは、自分のタサへのボールがちょっと浮いたぐらい。チョー気持ちよかった。ああいうのがやりたかった」と、試合後の中村憲剛もご満悦でした。あのパスワークに、新人・中野嘉大がちゃんとシンクロして走り込んでいるのも素晴らしいです。しっかりみんなと同じ絵を描いていたわけですからね。
さて。
今の原動力は、やはり流動的な3トップに尽きると思います。彼らの三角関係が絶妙です。三角関係と言っても、恋の話じゃないですよ、前線3人のピッチ上の関係性の話です(知ってます)。
裏を抜ける動きで相手最終ラインとの駆け引きを繰り返す小林悠、フィニッシャーとしてトップに張りつつも、状況に応じてボールを引き出してパスも出せる大久保嘉人、そして強さと巧さを兼ね備えたアタッカーの田坂祐介。この前線3人が、常にお互いを見つつ、相手の嫌な場所を攻略できています。
中でも田坂祐介は、左サイドで個人の突破で脅威を与えるレナトとは違う可能性をチームに与えてくれていると思います。
2点目のミドルシュートのフェイントを見ればわかるように、もともと足元のテクニックを備えていたアタッカーでしたが、ドイツでの経験で力強さも身につけて帰ってきました。左サイドに張ることにこだわらず、間で受けながら、相手の嫌な場所に入っていけますし、相手に寄せられても、フィジカルコンタクトを苦にせず、キープしてくれます。
あと彼は、「止まる動き」で相手を外せる選手ですね。相手のマークを外す為には、背中を取る、自分の間合いを作るなどいろいろと駆け引きがありますが、彼はピタッと止まる動き・・・つまり、あえて自分が動かないことで、動いている相手を外してしまう技術がスムーズにできる選手です。まるで禅問答のようですが、大久保嘉人もこの動きを要所で出来るから、あれだけ人が密集しているゴー前でもフリーで点が取れるわけです。止まって相手を外せる動きができる田坂祐介が前線にいる意味は、とても大きいと思います。あと何気に田坂祐介は、離脱する直前の松本山雅戦、復帰後の甲府戦、名古屋戦と、何気にリーグ戦3試合連続ゴール中ですからね。得点力もあります。
前線のこの3人だけで攻撃を完結出来ること、容易にボールを失わないでゴール前まで運んでくれることで、チームが攻撃に厚みを加えることが出来ています。
わかりやすく輝き始めたのが、エウシーニョですよね。前線がボールを失わないでゴール前まで運んでくれるので、両ウィングバックもサイドのポジションを捨てて、どんどんゴール前に仕掛けられるわけです。ボールを失わない3トップになってから攻撃参加をし始めて、また得点力を発揮し出しています。4点目のゴールなんか、ワンツーをしてゴール前に入っていこうとした大久保嘉人のエリアに、エウシーニョが先にいましたからね。
思えば天皇杯2回戦松江シティ戦をほぼベストメンバーで戦ったとき、「フロンターレ、ガチメンバーかよ。必死過ぎる」なんて言われましたが、復帰したばかりだった小林悠と田坂祐介の試し運転ができたのがよかったということでしょう。
それにしても6ゴールですか。
これだけたくさんゴールが入ると、試合後のミックスゾーンを通る選手を掴まえたときも、聞きたいことがありすぎて、一体何から聞けばいいのか、逆にちょっとわからなくなってしまいます・笑。
ミックスゾーンで中村憲剛を呼び止めたものの、うまい質問が出てこず、「・・・えーっと、感想から聞かせてください」というベタな第一声になってしまったのですが、彼は「今年一番の試合。他に言うことはないでしょ」と一言。「他に言うことはない」と言いつつ、そこから一番長くコメントしてくれるあたりが、彼らしいですが。
ちなみに後半ロスタイムにダニルソン相手に見せた気迫のフィジカルコンタクト。6点目を呼び込んだプレーにもなったわけですが、あの狙いについて聞くと、
「1対1になったから(コンタクトに)いっただけ。日本人だとあそこでターンされたりするけど、ぶつけやすい。ああいう選手はわりとわかりやすい。それに『戦えるぞ!』っていうのを(視察に来ていたハリルに)見せたかった。たぶん弱いと思われているんで・・・もう帰っていたと思うけど・笑」
と言って、笑わせてくれました。良いですね、代表にまだギラギラしてるベテラン。あるよ、代表!
この日は等々力は、試合中の雰囲気がすごく良かったですね。試合序盤から良いプレーが起きるとワンプレーごとに拍手がわき起こり、チャントが流れると、それに呼応して手拍子が鳴り響く。新等々力劇場でした。
そして生まれた6つのゴール。きっとこの日が初めて等々力でサッカーを観た人も、たくさんいたことでしょう。この日の6ゴールは、そういう人たちの胸にも突き刺さったはずです…フフフ、その矢はなかなか抜けないんだぜ。気をつけたまえよ。
実はもう一つ、「リードを奪ってからのゲームコントロール」についても書くつもりでしたが、長くなってしまったので、明日に更新しますね。この問題については、以前この松本山雅戦で触れてます。
シルバーウィークのお供にどうぞ。新等々力劇場を作り上げる人々の思いがこもった一冊です。
これもどうぞ。
ではでは。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
これがあるからやめられません。仰るとおり、この日矢が刺さった人も多かったのではないでしょうか。私も15年以上前てですが松本監督率いるチームが放った矢(今から考えると当時はたぶん竹槍だったかもしれません)が刺さった一人です。今のチームと比べれば等々力劇場も町はずれの小さな仮設の劇場くらいで観客も2000人とかでしたね。
その時の竹槍、猛毒が塗ってあったようです!チームが致命的なピンチを何度もくぐった時でも毒は消えることなく今に至ってます(笑)。おそらく一生癒えずに、遺伝子にも影響を与える毒のようです。
名古屋戦を経てタイトルをとってさらに毒の威力を増してもらうことを魘されながら願い、ビッグスワンに乗り込んできます!!