松本山雅戦〜えげつない崩しを見せた前半40分のパスワーク。







どうも、いしかわごうです。

 松本山雅の取材から無事に帰ってきました。
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アルウィンを訪れたことはあるのですが、松本山雅の試合で取材に来たのは初めて。噂どおり、スタジアム周辺や山雅のサポーターを含めて、とても良い雰囲気ですね。サポーターも年配の方やファミリー層がとても多くて、サッカーが生活の楽しみになっている印象を受けました。山雅ビール、美味しそうだったなぁ。

 試合は3対1で勝利。
船山貴之の移籍後初ゴールが期待されましたが、生まれたのは、田坂祐介の復帰後初ゴールでした。松本がビルドアップしているときに、前線がうまくコースを限定しながら守備をして、ボランチの岩間雄大がボールを受ける瞬間を狙っていた中村憲剛が見事なボール奪取。

「相手が背中を向けていたので、奪えるかなと。タサカが良い動きしてくれました。あとはヨシトもうまくスピードを殺さないでパスを落としてくれたので」

 鮮やかなショートカウンターから右サイドの田坂祐介に展開。エリア内で仕掛けて、冷静にコントロールしたシュートをゴールネットに突き刺しました。ちなみにこの場面、アシストした中村憲剛は、田坂祐介からリターンパスをもらうイメージでゴール前に侵入していき、「タサカ、よこせ!」と思ってたと話してました。

 試合後のミックスゾーンで田坂祐介に、リターンする選択肢はあったかどうかを聞いたところ、「ないですね。もう1対1だったし」と力強く断言してました・笑。なんにせよ見事な復帰初ゴール弾となりました。

 先制してからの試合運びも、前半は盤石でした。
前節の清水戦や1st最終戦のアウェイ鹿島戦がそうでしたが、このチームはリードを奪ってからのゲームコントロールに問題を抱えています。「手綱を緩める」という表現を使わせてもらいますが、試合巧者と言われるチームほどリードを奪った後に緩めるところは緩めて、締めるところは締めることで、うまく時計の針を進めます。でも、フロンターレは手綱を緩めようとすると、緩めるどころか手綱ごと相手に手放してしまい、ずっとその手綱を取り返せない時間が続いてしまう悪癖があります。風間監督が会見でよく指摘する「やめてしまった」という現象です。

 ただこの試合では、1点取ってからも手綱を緩めることなく、2点目、3点目と取って、さらに4点目も狙いにいく姿勢を見せました。ボールの動きも、船山貴之と田坂祐介は相手の3バックの横の位置でうまく掴まらないように起点を作り、大島僚太が何度も味方のボールを受け直すことで、他の選手に「出して、動く」を促し、彼らがどんどん追い越して行く。松本の選手はまるで守備で対応できていませんでしたし、安心して見てられました。

 なかでも圧巻は40分前後のパスワークですね。
アタッキングサードで全員が顔を出しながら、相手に触れられることなく細かくパスをつなぎ倒して自陣に釘付けにさせて、最後は中村憲剛のスルーパスに車屋紳太郎がえぐって折り返し。クロスはわずかに大久保嘉人に合わなかったものの、あれは何度も見返して欲しいぐらい、えげつない崩しでした。 

 

 前半は完全に試合を支配して3-0でハーフタイムに。ちなみに3点目が入ったあたりから、スタジアムの時間表示が消えてしまい「あれ?もうロスタイムか?」と思って自分のストップウォッチをみたら、まだ40分ぐらいだったことがありました。後半も故障したままで、あれ、地味に選手はストレスだったと思います。

 ハーフタイム中は「今日は問題無しだな」と思っていたら、あの後半です。うむ、またも手綱を手放してしまいました。セットプレーとロングスローで押し込まれ続ける45分。メインもバックもスタジアムの四方八方から手拍子が聞こえて来るアルウィンの圧力は凄いですね。余裕があれば、中野章大のデビューもあったかもしれないけど、そんな余裕もなく、最後は實藤友紀を入れて守備をテコ入れして逃げ切るのが精一杯でした。

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 試合後のミックスゾーン。
やはり後半の出来からか、選手は勝ったにもかかわらず、みな一様に反省の言葉を並べます。田坂祐介にチームの問題点を聞いてみました。復帰して間もない彼だからこそ、原因についての客観的な分析が聞けると思ったからだ。

「チーム全体の動きが止まってしまったのが問題だったと思います。でも、普通はあんなに悪くはならないですよ。相手が来ても剥がすことは可能だし、スペースはわりとあったので。あんなにモロに相手のプレッシャーを受ける必要はなかったし、そこはもっと考えていかないといけないですね。暑い中でもどうすれば精度を落とさずにやれるか。例えば同サイドのグループでコミュニケーションを取って修正できると思ってます」

 具体的な改善策を提示してくれるあたりは、さすがである。にしても、技術的にもメンタル的にも、ちゃんとたくましくなって帰ってきたなぁ、という感じです。

 中村憲剛に話を聞いていたら、彼は「勝ったから話せるのだけど」と前置きしつつも、「このスタジアムの空気は素晴らしかった。ここで松本の選手が頑張れる理由は、そういう雰囲気が大きいのかなとも感じたよ。何でもないロングスローがチャンスになるような雰囲気をスタンドが出すというのは、相手からしたら嫌だった」と話してくれました。国際試合を含めて、数々のアウェイを経験している彼が、そういうやりにくさを言及するのは珍しいと思います。

 相手選手をブーイングなどで威嚇するのもサポーターが出来る応援の一つだと思いますが、自分のチームに対してより応援の力を注ぎ、その雰囲気で対戦相手がやりにくさを感じてしまうというのも、応援のパワーですよね。なんだか北風と太陽みたいで面白いなぁ、と思いますね。

 さて、ここから約2週間のインターバルがあります。

週末は、将棋雑誌から取材依頼を受けたので、渡辺棋王と元サッカー日本代表の小村徳男さんが公開対局する渋谷の東急将棋まつりに行ってきます。

入場無料なので、将棋に興味あるサッカーファンもぜひどうぞ。

ではでは。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。





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