[書評]フットボール・ラブ~俺たちはサッカーをあきらめない


 どうも。
サッカー本ソムリエ・いしかわごうです。
先日読んだサッカー本の新刊を取り上げたいと思います。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
「フットボール・ラブ~俺たちはサッカーをあきらめない」。
 小宮さんの書くノンフィクションドキュメントです。やはり読み応えありますね。
「アンチ・ドロップアウト」の続編という位置づけのようです。今回も買ってしまいました。
この物語に登場するのは、故・松田直樹、田中誠、古賀正紘、南雄太、カレン・ロバート、小澤英明、成岡翔、豊田陽平の8人。
 人選がいいですよね。
現在の彼らは、日本代表やトップリーグの最前線で活躍し続けているフットボーラーではありません。もしかしたら、見る人によっては、キャリアのピークを迎え終えた感のある選手なのかもしれません。実際に彼らは、クラブからの戦力外であったり、チームの低迷であったり、あるいは自身のスランプであったり、・・・・フットボーラーとして非常に大きな決断を迫られる状況が起きています。
 そんなどん底な時期に、一体彼らは何を見据えていたのか。
そこには「覚悟」がありました。でもその裏には、人間としての弱さもある。そんな泥臭い部分も含めた生き様を丁寧に取材し、そして描写しています。
 個人的には、アンチ・ドロップアウトにも登場していたGK小澤英明選手のパラグアイでの挑戦の日々が興味深かった。
 チームのために自分を殺して、レギュラーキーパーと同じリズムでプレーすることを心がけることで、日本での小澤選手は長年セカンドキーパーとして評価されてきた。でもパラグアイでは、自分を殺して他人に合わせたプレーをすると、「お前は誰なんだ?」と認めてもらえない。自分らしさを出したくて海を渡ったのに、長年の習性が抜けていないことに気づかされたのだという。
 そしてパラグアイという国で受けた、日本人選手に対するさまざな仕打ちに耐え打って掴んだ出場機会。選手が口々に言うグアルニー語の「コワンガ(今だ!)」というフレーズ。日本で慣れ親しんだ「次、行こうぜ」ではなく、「今だ」。今がなければ、次はないから・・・。うん、とても読み応えがありました。
 小澤選手は今シーズンからアルビレックス新潟でプレーしています。
フロンターレ戦も出場していました。実は相馬監督にとっては、鹿島時代を知るかつての同僚であったんですよね。
 新潟戦を控えたある日の取材で、かつてのチームメートである小澤選手が、いまだ現役でプレーしていることを相馬監督にきくと、「GKは選手寿命が長いですからね」とちょっと感慨深げに思い返しながらも、「オザが活躍しないようにしないと(笑)」と笑顔で語っていました。結局、今年のビッグスワンでの一戦は、小澤選手の活躍で負けたわけですが・・・ううぅ。
 話がそれました。
この本は、スポーツ選手が「成功論」を語っているものではないです。でも、この本に出てくる彼らの物語からは強烈なメッセージを受け取ることができると思います。
「フットボール・ラブ」。
サッカー本ソムリエ・いしかわごう、オススメの一冊です。
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