書評:Hard After Hard かつて絶望を味わったJリーガーたちの物語


 どうも。
サッカー本ソムリエ・いしかわごうです。
最近読んだサッカー本。
いしかわごうオフィシャルブログ「サッカーのしわざなのだ。」
「Hard After Hard かつて絶望を味わったJリーガーたちの物語」
 カンゼンさんから献本していただきました。本屋で見つけて「買おう!」と思ったのですが、「カンゼンさんの本なら献本してもらえるかも・・・」と思い、購入を我慢しました、無事、いただけてよかったです・笑。
 季刊時代のサッカー批評から連載されていたものを書籍化したものですね。非常に読み応えがあるノンフィクションでした。濃いわー。
 物語は、昨年タイで引退をした財前宣之と現在ザスパクサツ群馬でコーチをしている船越優蔵を軸に進んで行きます。そう、これはJリーグが開幕した1993年に日本で開催されたU-17世界選手権(現U-17ワールドカップ)組の「その後」を取材した内容が中心です。
 ご存知の方も多いかと思いますが、このときのUー17組の顔ぶれは、中田英寿、宮本恒靖、松田直樹、戸田和幸ら、後の日本代表の歴史に名を残す蒼々たるメンツでした。しかしこのチームで日本代表の10番を背負っていたのは、中田英寿ではなく財前宣之。彼が絶対的なエースとして君臨していました。練習のお手本は財前選手が示し、中田ヒデがそれを体育座りで真剣に見ていたのは有名な話ですね。
 財前選手は、U-17世界選手権ではU-17日本代表の中心選手として、リーグ戦三試合全てでマンオブザマッチを獲得しベスト8進出に貢献。大会ベストイレブンにも選出されていました。ちなみにこのときの大会ではスローインをキックインで行うというルールがテスト採用されていたんですが、日本の攻撃は、スローインになるたびに財前宣之のキックを長身フォワード・船越優蔵選手がヘディングで合わせるという形ばかりになってしまったため(?)、このルールは封印されました・笑。
 彼らがあのときのチームメートや当時をどう振り返っているのか。それも物語の幹ではあるのですが、当時のチームメートの中には、すでにサッカー界から身を洗っている方々もいます。そんなかつての選手たちの追跡取材こそが、この物語の本質なのかもしれません。プロサッカー選手になれるのは本当に一握りですが、そのキャリアを続けていける人はさらにごくわずかです。
 読み進めて行くと、当時は、Jクラブの組織自体がまだ未成熟だったことや、シーズン後のトライアウトすらなかったことで、現役を続けたかった若手の受け皿があまりにもなかった時代も災いしています。志半ばでキャリアに終止符を打った彼らの思いも明かされています。これもサッカーの一部なんですよね。ある意味、日本サッカーの光と影、と言ってもいいのかもしれません。考えさせられます。
 この本を読んでいて思い浮かんだアイディアがひとつ。
サッカーライターって、色々なタイプがいるじゃないですか。日本代表や海外組を中心に追いかける人もいれば、特定のJクラブに特化したライターもいますし(自分はこのカテゴリーです)、育成年代の取材に力を入れているライターもいます。なでしこ専門の人もいます。そのカテゴリーで、現役のサッカー選手ではなく、引退した選手に特化して取材するサッカーライターがいてもいいと思うんですよね。毎年引退する選手は必ずいるわけですから。
 同業者はかなり少ないので、サッカーライターを目指したい人は、おすすめのカテゴリーかもしれません(?)。ただサッカーライターというよりは、ほとんどノンフィクションライターに近いかもしれませんが。
あと磯貝さんのインタビューがかなり面白いです。斬新な日本サッカー界を変えるアイディアとか、ガンガン言ってます。これだけで一読の価値があるかもしれません・笑。
Hard After Hard(ハード・アフター・ハード) かつて絶望を味わったJリーガーたちの物語/カンゼン

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財前選手や松田選手の内面については、小宮さんの本も詳しいです。
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