北朝鮮戦の雑感。


 北朝鮮に0-1で敗戦。
無得点というと「決定力不足」が叫ばれますが、決定力不足ではなくて、決定機自体を作れなくて負けた試合だったと思ってます。試合を冷静に試合を振り返ってみます。
 布陣はいつもの[4-2-3-1]。ただスタメンはタジキスタン戦から半分近く入れ替え。GK西川周作 DF伊野波雅彦、駒野友一 、栗原勇蔵、今野泰幸 、MF 細貝萌 中村憲剛 、長谷部誠(cap) 、FW 岡崎慎司 、清武弘嗣 、前田遼一 。
 攻撃面での原因としては、ワントップの前田選手が機能しなかった印象です。
彼のところでボールがうまく収まらなかった。もともと前田選手はロングボールを前線で身体を張ってキープできるタイプではないので、あれだけフィジカルを前面に押し出して守る北朝鮮相手に、その仕事を求め続けるのは酷。でも中盤に下がって引き出すタイミングはうまいし、左右に流れて起点になるのもうまい。そうやって動きをつけながらキープしてアクセントをつけられるのが、前田選手のよさ。ただこの試合ではそれもできずに潰され続けた。
 その原因は前田選手だけの問題というよりも、チームとしてパスに工夫を出せなかったからだと思っています。特にその供給源となるダブルボランチの長谷部選手と細貝選手、そしてトップ下の中村選手には、立ち上がりから厳しくプレッシャーがきていたため、なかなか自由にボールがもてず、前田選手にもいいタイミングでパスが入れられなかった。
 そこで感じたのが遠藤選手の不在。
彼がいると、味方が一回パスを受けてからボランチに戻して、そして動き直してショートパスを受け直したりという微調整が、中盤でできるんですよね。そうやって何気ないパス交換で相手の守備をズラしながら、チームとしていいタイミングでの縦パスが入るから、トップ下のケンゴ選手も受けてから前を向きやすいし、それが攻撃のいい展開につながっていく。この試合では、遠藤選手のポジションに入っていた細貝選手が、不自然なほど相手に削られていたこともあって、リズムも生み出せなかった。
 ただここで見かねたザックがすぐ動いた判断はよかったと思います。
前半25分過ぎ、トップ下のケンゴ選手が、中盤の底に下がったトリプルボランチの[4-3-3]に変更。ケンゴ選手が、中盤の底でボールを持って前を向き、低い位置で裁きながら攻撃の組み立てをし始めました。これで少しリズムを掴んだ感じはありましたね。ザックのこのへんの臨機応変の決断は決して悪くなかった。
 一方の北朝鮮は、多少ラフなロングボールであっても、チョン・テセ選手がフィジカルを生かしてキープして、そこからタメを作って攻撃の起点を作っていました。なのに、北朝鮮の監督はなぜか前半30分過ぎにテセ選手を下げる、謎の采配。
 ただこの監督は、スタメンを前半途中でいじるというのは、わりとやる交代らしいです。しかもこれが機能する。代わりに入った7番は、テセ選手とは違い、小柄な俊足タイプなのですが、ロングボールを前線で競り合う屈強な10番の近くを衛星のように動き回り、日本守備陣をかき回していく。途中から入ってきたこともあり、DF陣も捕まえにくそうしていました。
 実際、左サイドを崩され、40分、41分と右サイドのクロスに7番に飛び込まれ、あわやの決定機を作られています。44分にも同じように右からのクロスでピンチを招く。特にフリーでクロスをあげていた右SBの20番の対応が曖昧になってました。この20番のあがりは、たぶん岡崎選手が下がってケアする役割だと思うのですが、前半終了間際だとさすがに疲れていて戻り切れないときもありますし、さらに左ボランチの細貝選手がスライドできていなかったんですよね。結局、左SBの伊野波選手がボールに出て行かざるをえなくて、それで開いたスペースにクロスを挙げられました。それでもなんとかしのいで0-0で前半終了。
 後半、現状をどう修正するかは後半の見所だったのですが、開始5分、ロングボールの競り負けから失点。その以後はあまり語ることはないです。内田選手を入れて[3-4-3]にシステム変更して巻き返しをはかるも、攻撃に推進力が出てこない。終盤には、相手が退場し、ハーフナー選手、李選手も相手の脅威とはならず、うまく逃げ切られて敗戦。
 代表戦で負けていい試合なんてひとつもないですし、あの北朝鮮のアウェイで負けるなんてテレビの前でも悔しくてたまりませんでしたが、すでに3次予選突破が決まっていたことを思えば、ケガ人も出なかったようですし、まだマシな敗戦です・・・でもやっぱり悔しいですけどね。
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