どうも、いしかわごうです。
先週末の大分トリニータ戦は2-0で勝利。これでリーグ戦は8連勝。8月8日に8連勝を達成するなんて、なかなかないですね。
勝因はいくつかあると思いますが、「3トップがどれだけ最終ライン4枚のビルドアップを牽制できるか」が、主導権争いのポイントになるとプレビューで書きました。
その意味で、この大分戦は守備で相手をコントロールし続けた90分だったとも言えます。公式記録によれば、打たれたシュートは前半の1本だけでした。
なぜ、これだけ守備がうまく機能したのか。
大分といえば、「擬似カウンター」です。
相手チームが深追いしてきて前傾姿勢になる瞬間を狙って、相手が寄せてきたことで空いている場所にボールを入れて攻撃のポイントを作る。大分の後ろのボール回しというのは、いわば「餌のついた釣り針」のようなもので、GKが加わっている最後尾のボールが「餌」なんですね。
なぜ餌なのかというと、それを「パクッと」食べてしまうことができればゴールなわけですから、こんな美味しい餌はありません。しかし不用意に食いつくと、「擬似カウンター」に餌食になり、そこから釣り上げられてしまい、失点に繋がる危険な釣り針にもなっていました。
ただ今季の大分のビルドアップは、去年に比べると、GK(前節までは高木駿)がリベロというほどのポジションでは関与させてはいません。シンプルにボランチが一枚落ちて、左右のセンターバックが広がる4枚で、その後ろでGKが参加して動かす「ミシャ式」に近くなっているのは、プレビューで書いた通りです。
なので、そこまで魅力的な餌にはなっていません。この試合ではGKにルヴァンカップで活躍したムン・キョンゴンを抜擢。ビルドアップのメカニズムも前節をさほど変わっていません。
そこのビルドアップに対して、三笘薫、レアンドロ・ダミアン、小林悠の3トップがどれだけ食いつかないで剥がされず、牽制していくのか。
まず中央のダミアンは、ゴールキーパー(ムン・キョンゴン)、センターバック(鈴木義宜)、ボランチ(島川俊郎)の3人をケアする形になりましたが、うまくコースを消しながら、簡単には外されないようにプレッシャーをかけ続けました。
追加点は、左サイドでの守備でビルドアップミスを誘ったものです。パスミスを受けたダミアンは、そのままボックス内に。相手のタックルを冷静に切り返して流し込みました。前から守備で奪いに行ってボールを奪いにいったら、釣り針のついてない餌だけを食いちぎってしまうことができたようなものです。
「早いプレーで、ボールを奪ってからカウンター攻撃を仕掛けた。落ち着いてボールコントロールできたし、ディフェンスが来ているのもわかっていたので、フェイントでかわすことができた」(レアンドロ・ダミアン)
これで2-0。理想通りの形で試合を進めていくことができています。そうした部分も含めて、レビューでは試合を振り返っております。もちろん、デビューしたジオゴ・マテウスもたっぷりと。ラインナップはこちらです。
■右SBジオゴ・マテウスの先発と、小林悠の右WG起用。スタメンの配置と組み合わせから感じた指揮官からの、あるメッセージ。
■ダミアンの空けたスペースを活用した脇坂泰斗が生んだ三笘薫の先制弾。そして開幕前の小林悠が語っていた右WGのポジションで目指すべきもの。
■「落ち着いてボールコントロールできたし、ディフェンスが来ているのもわかっていたので、フェイントでかわすことができた」(レアンドロ・ダミアン)、「今日だったら、うまく外切りして中に出させるところだったり、中切りするところもありますが、そこはノボリさんだったり、僚太くんだったりの声を聞きながらやっているので」(三笘薫)。守備で相手をコントロールし続ける。3トップが示した新たな可能性。
■「難しい時間もあったが、選手と自分の考え方を一致させながら、またそういうところから得点を奪えた」(鬼木監督)、「自分自身も見ていて、できるんじゃないかと思っていたが、(選手たちは)予想以上に川崎さんのプレッシャーを感じていたのではないかと思う」(片野坂監督)。リーグ戦2試合連続無失点。守備で大分に与えた圧力と、中盤の三角関係が見せ続けた対応力を読み解く。
■後半開始直後にジオゴ・マテウスが見せた、L.ダミアンへのピンポイントクロス。あの1本に込められていた意味。
■(※追記:8月10日)「自分たちのチームスタイルのポゼッションから逃げてはいけない。ボールに絡むプレーをしながら、チーム全体でやれてよかったと思います」。ジオゴ・マテウスが振り返る、初出場の大分戦。ピッチのプレーで示した思いと一致する、何度も口にしていたあるフレーズとは?
以上、6つのポイントで全部で約13000文字です(※8月10日に追記しました)。ぜひ読んでみてください。
君のクロスに恋してる。 (リーグ第9節・大分トリニータ戦:2-0)
ではでは。