日韓戦は3-0で完勝。
・・・うん、日本代表は強いです。得点シーンはどれもすばらしかったし、いろいろ語りたいことはあるのですが、一番は後ろからの巧妙なボール運びですね。狙いとしていた自分たちの形を出せたのは、1点目が入る前、たぶん前半30分あたりに見せた最終ラインからのビルドアップだったんじゃないかと思いました。
少し振り返って解説してみようと思います。
まず今野と吉田の両CBがボールを持ったら、内田と駒野が高いポジションを取って2バックになる。[3-4-3]のときは両ワイドが初めから高い位置を取っているわけですけど、組み立ての基本的な狙いは同じですね。
2CBのボール保持に対して、遠藤、長谷部のダブルボランチのどちらかが上下動しながら顔を出して、前に運ぶために真ん中でパスを受けようとする。韓国の前線と中盤は、ここにボールが入った瞬間を奪いに行く狙い。日本はそのプレスをうまくいなすために、岡崎がボランチまで下がって引き出そうとするのが、これは岡崎に入った瞬間、韓国の中盤に潰される。ただファウルを獲得し、リスタート(センターサークル付近)。
今野のビルドアップで再開。
今度は、遠藤が中盤の高い位置に出て行って相手の注意を引き付け、ボランチの位置まで下がってきた香川がワンタッチで今野に戻して、周囲の状況を伺う(このとき、すでに駒野と内田の両SBはどちらもサイドハーフの位置まであがっている)。次の瞬間、吉田から中央の岡崎にクサビを入れて、本田と縦関係でのパス交換。この崩しはバイタル前で韓国守備網にかかるが、こぼれ球を香川がセカンドボールを拾ってサポート。
真ん中に寄って守備を固める韓国を見て、香川はここでがら空きの左サイドを選択。上がっていた駒野は、まったくのフリー。持ち運んで中央へとクロス。これはクリアされるが、跳ね返りを遠藤が左サイドで拾う。押し込まれっ放しの韓国はDFラインを上げようとするが、右SB・チャ・ドゥリのあがった瞬間を見逃さず、そのスペースに遠藤がループパス。駒野がチャ・ドゥリいないエリアをえぐって、再び中央へクロス。
跳ね返されたボールは右サイドに流れていくが、そのボールを拾ったのは高い位置にいた右SBの内田。そして中にクロス。これも結果的には跳ね返されてしまうが、いやはや、息もつかせぬ連続攻撃だった。クロスがあわず得点こそ生まれませんでしたが、ポゼッションして中央を崩しながら、左右のSBも高い位置で攻撃に顔を出してゆさぶり続けるという、狙いとしている「自分たちの形」を出せた時間帯だったのではないかと思います。
ただ苦言も。
3-0になるまではすばらしい内容だったと思いますが、終盤の軽率なパスミスから招いた3本の決定的なピンチは、ありえないですね。韓国の選手が、それ以上にありえないはずし方をしてくれたので助かりましたが、ああいうプレーはワールドカップ予選で命取りになる可能性もあるので、猛省していただきたい。
ザックJAPAN、いまだに無敗ですか。
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いろいろなザック本を読みましたが、この雑誌が一番ザックJAPANをさまざまな角度から解析していると思います。日本代表選手だけではなく、ビアホフにまでインタビューしてますからね。