柏戦レビュー:「長い戦いで最後にトップに立つ。それは格別なものだと思っている」(奈良竜樹)。連覇まであと一つ。


 どうも、いしかわごうです。

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 等々力競技場での柏レイソル戦は3-0で勝利。
一週間以上にわたる非公開練習を行って準備してきたであろう柏が採用した3バックという「奇襲」にも動じず、冷静に試合を進めて得点を重ねることができました。

 一般的に、3バック崩しの「定跡」は、3バックの横に生まれるスペースを使っていくことです。ただ、ウィングバックが落ちる〔5-4-1〕のシステムになり「穴熊化」されて対応されると、その3バックの横のスペースも消されるので、なかなか簡単ではありません。

 しかし柏の場合、小池龍太と亀川諒史の両ウィングがフロンターレのサイドハーフにわりとマンツーマン気味に食いつくので、その背後、つまり、3バックの両脇がポッカリと空くんですね。

 21分に生まれた家長昭博による先制点は、その不備をついて生まれた得点ですね。
阿部浩之に対してウィングバックの小池龍太が前に出て食いついていたため、その瞬間を見逃さず、守田英正が小池龍太の背中に飛び出しました。これで勝負あり。走り込んでいた家長昭博に丁寧に合わせてゴールネットを揺らしました。

https://twitter.com/DAZN_JPN/status/1058592706694328320

 ボランチの攻撃参加は、山形戦でゴール前の厚みが足りなかったという反省点も生かした崩しでもありました。守田英正が振り返ります。

「前回の山形の試合と同じで、ちょっと人数を後ろにおいて重かった。意識的に(前に)入っていけるなら入っていこうと話していた」

終わってみれば、3-0で完勝。天皇杯山形戦での課題となったゲームの入り方、攻守の切り替え、ボランチの攻撃参加、5バックのニアゾーン攻略、セットプレーの攻守などなど、そういうことをしっかりと修正したことを示した試合でしたね。ホント、やるべきことをやれば勝てるわけです。

そんな柏戦の詳しい解説は、レビューで公開しております。

ラインナップはこちらです。

1.「相手はそんなにガチガチに引いてくる感じではなく、スペースはそれなりにあった」(下田北斗)、「5バックというよりは、3バックでウィングバックがあまり守備に参加できていない感じだった」(知念慶)、「自分たちのサイドハーフに対してウィングバックの選手が出てきてくれていたので、僕らは背後を突きやすかった」(守田英正)。組織的な不備の目立った柏の5バックを崩した先制点。抜け出した守田英正が、中村憲剛ではなく家長昭博に配給した理由とは?

2.「攻守でスイッチを入れる。90分、(体力を)持たさないつもりだった」(中村憲剛)、「球際、切り替えでハードワークしてくれた」(谷口彰悟)、「前半から攻守の切り替えで前線が頑張ってくれていた。それで相手も奪った瞬間はプレッシャーを感じていたと思う」(登里享平)。これぞ、鬼木フロンターレの生命線。柏に「息継ぎ」をさせなかった、切り替えによるボール奪取と前線からのハイプレッシャーを読み解く。

3.「普通に(1本目を)ミスったんで。奈良ちゃんがアウトカーブがいいと言っていたので、ケンゴさんが蹴る」(下田北斗)、「(1本目で)北斗がニアにひっかけた。フィーリングが良くないのかな」(中村憲剛)。CKのキッカー交代が生んだ、谷口彰悟のピンポイントヘッドによる追加点。ニアサイドに飛び込む谷口の黄金パターンが、この柏戦で復活した理由とは?

4.「カウンターに行きたいが、相手も戻りが早かった。行ったり来たりのゲーム展開は、相手の土俵。そこに持っていかないためのコントロールを考えた」(阿部浩之)。舵取りの難しかった2-0からの進め方。卓越した戦術眼を持つ阿部が見せた、カウンターの「キャンセル」とゲームコントロール力。

5.「走らせるところと、足元で受けさせるところの駆け引きですね」(登里享平)。スピードスター・伊東純也との地上戦で主導権を渡さず、1点目と3点目の起点も担ったノボリ。彼が天皇杯山形戦から抱えていた思い。

6.「名古屋のジョー選手と同じように、体をくっつけるとそれを利用して入れ替わるというのは言われていた」(奈良竜樹)。川崎守備陣による193センチのオルンガ対策。そして連続3失点を喫した守備陣に指揮官が寄せた信頼の言葉と、リーグ連覇への思い。

 以上、6つのポイントで全部で約11000文字です。柏戦の勝利の背景を、選手の証言とともに掘り下げております。

柏に「息継ぎ」をさせなかった鬼木フロンターレの切り替えと球際。そして卓越したゲームコントロール力を持つ阿部浩之が見せた、後半の進め方。(リーグ第31節・柏レイソル戦:3-0)

一方、同時刻に行われていたサンフレッチェ広島が、ジュビロ磐田に劇的な展開で逆転負けを喫する結果に。フロンターレとの勝ち点差は「7」へ。残りは3試合。フロンターレはあと1つ勝てば、リーグ連覇が決まるという状況になりました。

この試合前、奈良竜樹はこう話していました。

「リーグ戦は、2月末から始まり、キャンプから含めると10ヶ月近く、チームの真価が一番問われる戦い。長い戦いで最後にトップに立つ。それは格別なものだと思っている」

去年は逆転優勝だったので、シャーレではなく風呂桶を掲げて話題になりました。でも今年は、試合後にシャーレを掲げましょう。





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