いやはや、「THIS IS 日韓戦」っていう試合でしたね、アジアカップ。
どんな感じになるかなと思ったけど、立ち上がりは日本ペースだったなぁ。
前田、岡崎、本田、香川の4人がキープと突破を使い分けながら流動的にゴールに向かい、そのこぼれも後ろの選手がフォローして、二次攻撃を繰り返していく。入り方が悪かったカタール戦とはうって変わって、アグレッシブさが目立つ序盤。逆に中二日の韓国は体力的な問題を見越してか、かなり抑え気味。おそらく「前半はセーブして、後半に勝負」というプランだったのだろう。守備に重点を置きながら、セーフティな攻撃が主体で、さほどペースアップしてこなかった。
ところが、韓国はラフなロングボール1本で幸運なPKを獲得。エリア内でパクチソンが今野に倒されたものだが、今野はショルダーチャージを主張・・・うーん、「これでPKなの?」という厳しめのジャッジでしたが、これを成功させた韓国が先制。
しかし、これで慌てないのがこの代表の強さか。
慌てずたじろがずにパスをつないで、サイドからじっくり崩していく。本田が起点となり、チャドゥリの背後のスペースをついた長友がエリア内へ深く侵入し、中央へ折り返し。飛び込んでいた前田が流し込んで同点。
韓国の右SB・チャドゥリは、元FWだけあってオーバーラップ時の迫力はありますが、その反面、守備の対応とポジショニングに難がある選手でもある。16分にも、長友がそのスペースをついてクロスに岡崎のヘディング(Gkが弾いてポストに)、という決定機もありましたからね。試合全体を通じても、ここを長友が突けたのは大きかったと思います。
後半は、パス回しと突破力で圧力をかけ初めて来た韓国に、盛り返された印象。日本はたまらずファウルで止める場面が目立ち始めゴール前でのFKが多発。そこで跳ね返しても前線でキープできず、再び押し返される苦しい時間が続いていく。こういう展開で流れを変えられる前線の選手がベンチに見当たらないことが、ちょっとネックですよね。ザックも動こうにも動けず、終盤に香川を下げて細貝を投入したのみ。日韓戦らしいジリジリするような緊張感のまま、1-1-で延長戦へ。
試合が動いたのは、延長前半5分。サイドでの前田のキープから、中央の本田が絶妙なパス。エリア内に抜けだそうとした岡崎が韓国選手とぶつかり倒されてフエが鳴り、日本にPKが与えられる。まぁ、倒れた位置といい判定といい、ラッキーとしかいいようがないPKでした。
本田のPKはGkに防がれるも、全速力で詰めていた細貝がプッシュ。日本がついに逆転に成功。あとはゲームをクロースさせるだけ。延長後半、日本はラインを下げて守り固め。相手敵陣付近での本田と長友のボールキープや、伊野波、本田拓を投入して必死の逃げ切りをはかる・・・しかし、韓国の見せる執念のパワープレーも強烈。結局、終了直前に与えたFKをクリアし切れず・・・最後の最後に押し込まれ、まさかの同点。日本国民が地獄に叩きおとされました。
試合の決着はPK戦へと委ねられることに。
ゴールマウスに向かうのは、川島永嗣とチェ・ソンリョン。そういえば、去年のフロンターレ初公式戦はACL城南戦だったのですが、川崎FのGkは川島くんで、城南のGKはチェ・ソンリョンだったんだよな・・・などと思い出してしまった。
このPK戦で、川島くんがいきなり2本をストップ。
日本は本田圭、岡崎が成功、長友が失敗するも韓国の3人目が枠を外す。そして今野がしっかり決めて3-0で決勝進出。延長後半終了間際に追いつかれた地獄から天国へ・・・すごかった。しびれました。。こういうハートを鷲づかみされるような瞬間があるから、サッカーはたまらんですね。
試合全体を通じて振り返ってみると、個人的には、120分アップダウンを繰り返し長友にMOM(マンオブ・ザ・マッチ)をあげたかったですね。同点弾のアシスト、チャドゥリとの駆け引きも含め、攻守両面で本当にすばらしかった。
・・・ただ豪快にPKをはずしたからな(笑)。
なによりも、川島くん。
よく言ってますが、自分が川島くんの存在を強烈に意識したのは、AFCユースの準決勝ウズベキスタン戦のPK戦で見せた、美しいセービングフォームでの神がかりなストップからです。あれから約8年。1本目のPKストップした姿は、あのときの記憶を思い出してくれましたよ。本当にナイスセーブでした。彼自身、ワールドカップパラグアイ戦でのリベンジも少しは晴れたかもしれません。
決勝戦の相手はオーストラリア・・・楽しみだ。