リーグ仙台戦レビュー:執念の等々力逆転劇場〜圧倒的に不利な状況だったからこそ。


どうも、いしかわごうです。

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 仙台戦前日のこと。
練習後の中村憲剛選手が述べたコメントが印象的で、なんだか妙に心に残っていました。

「細かいところの勝負になると思います。質のところ、こういう(雨の)天気で、何かが起こるかもしれない。退場者も出るかもしれない。延長戦はないので、90分で勝ちを持ってこれるようにしたい」

 サッカーは何が起こるかわからない。
使い古されたフレーズではありますが、前半終了間際の家長昭博選手の退場劇は、「まさか」という展開でした。まさか等々力で2試合連続10人で試合をするなんて・・・と思ったはずです。

 しかしフロンターレは、この「まさかの展開」をしっかりと受け止めて戦いました。10人となり、前半終了間際には1失点して瀬戸際に立たされますが、ピッチ上の選手たちの集中力は素晴らしかったと思います・・・と、前回のルヴァンカップ準決勝第2戦でのブログと、ほとんど同じような文章を書いてみました・笑。

 試合は3-2で勝利。
それも残り10分で2点差を10人でひっくり返するという、J1史上に残る(初だそうです)逆転劇を等々力で起こしての勝利でした。

 試合後のミックスゾーンでは、さすがに選手たちも興奮状態だったようでした。ただ試合後に試合映像を見直してみると、意外と冷静に戦っていたように見えました。もちろん、レフェリングに問題にナーバスになっていた感じもありましたが、特に0-2にされてからの試合運びは、自分たちのやるべきことを淡々とやって、チャンスをうかがっていたような印象です。

 この姿を見ていて、ふと思い出した逆転劇があります。
それが、プロゲーマーの梅原大吾さんによる、ゲーム史に残る伝説の一戦「背水の逆転劇」です。詳しい説明は省きますが、多数のギャラリーの注目が集まる世界大会の舞台で、一度の失敗も許されない絶体絶命のシチュエーションを打開した奇跡は、いまだに語り草です。

ただ当の梅原さんからすれば、何か特別なことをやったのではないそうです。圧倒的に不利な状況でも、感情的にならず、やるべきことをやり続けただけだったとのこと。

 あの試合での0-2になってからのフロンターレの選手たちも、きっと同じような精神状態だったんじゃないかな、と思うんですね。少し時間が経ってから、いつか選手にじっくり聞いてみたいですね。

 さて。
試合の詳しいレビューは、いつものようにごうnoneで公開しています。

この試合は、やはりルヴァンカップでの2試合の流れがあってこそ語れると思っています。なぜ前半はあれだけ押されていたのか。そして後半の我慢と、巻き返しのきっかけとなった局面など、戦術的なポイントも詳しく掘り下げています。

ラインナップはこちらです。

1.「相手がボールのつなぎ方を変えてきたというのもあるが、(守備が)ハマらないというのはあった」(中村憲剛)、「守備の距離感が悪かった。やっていても、もうちょっとここで詰めていたら、次はこう(奪いに)行けるのにと感じていた」(森谷賢太郎)。蹴らずにボールを握ってきた仙台の「外、外、中」のリズムと、掴まえきれなかったシャドーの野津田岳人による巧みな位置取り。後手を踏み続けた前半を分析する。

2.なぜダブルボランチがボールを握れなかったのか。狙い撃ちされていたエドゥアルド・ネットと、「自分自身もチームがよくないときに助けられるプレーができなかった」と自らの打開力を反省した森谷賢太郎。

3.後半を〔4-4-1〕ではなく、中央を手厚くした〔4-3-2〕で戦った理由。そして、ケンゴのアンカーシステムが破綻なく機能した要因とは?

4.「そこは自分も理解していた。やらないといけないとも思っていた」(長谷川竜也)。推進力を生んだ長谷川竜也と、効果的なノイズをゲームにもたらしたハイネル。中盤で一歩も引かなかったサイドの攻防戦を読み解く。

5.両サイドバックによる競演から幕を開けた歴史的な等々力逆転劇場。車屋紳太郎の攻撃参加とエウシーニョの一撃がもたらしたもの。

6.「チームが苦しいときにゴールが決められる選手になれ」。ジュニーニョの教えを体現する小林悠が決めた2ゴールの、その意味。

7.J1・400試合出場達成。逆算ではなく、目の前にある課題を1つずつクリアしていく「積み重ね」で成長を遂げ続ける中村憲剛。

以上、7つのポイントで約11000文字です。今回もまさか、まさかの1万文字超えのレビュー・・・ふざけた文字数ですね・笑。ぜひ読んでみてくださいね。

10人でも引かなかったサイドの攻防戦と、破綻なく機能したケンゴのアンカーシステム。そして両SBの攻撃参加から幕を開けた、執念の等々力逆転劇場。(リーグ第29節・ベガルタ仙台戦:3-2)

ではでは。

(梅原さんは漫画にもなっています)





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