チームとして戻る場所があることを確認できたオーストラリア代表戦。


 どうも、いしかわごうです。

この新ブログにも、たくさんのアクセスをいただき感謝です。このシステムに早く慣れたいので、軌道に乗るまでなるべく頑張って更新しようと思います。

 ってなわけで、昨日の日本代表対オーストラリア代表戦の振り返りでも。

 試合は2対1で勝利。「日本の対応力が試された」という点で、興味深い試合でした。

 日本はまだアギーレ体制になって数試合ですから、チームとしては相手云々よりも自分たちのスタイルを確立しようとしている段階です。そのため、ブラジル戦のように相手が格上で「良さを出せない展開」こそあっても、同等レベルや格下のチームに研究されて「良さを消される展開」というシチュエーションはまだありませんでした。ただ今回のオーストラリアは、しっかりと日本戦の準備して臨んで来ていました。ホームで開催されるアジアカップ優勝に向けて最大のライバルだと目しているのでしょう。10日に来日してトレーニングを積んできたというだけあってコンディションも良く、なにより現状の日本の戦い方を分析して、対策を練って来ました。

 それがよくわかったのが前半です。
前半のオーストラリアは、立ち上がりから激しいプレスをかけてきて試合の主導権を握ります。ボールを持ったときの狙いはわりと明確で、端的に言うと、中盤の底を一枚で守るアンカー・長谷部誠の両脇にできるスペース。日本の基本布陣は[4-3-3]ですが、守備の時間帯は長谷部をアンカーにした[4-1-4-1]のような形で守ります。

 [4-3-3]を採用するオーストラリアは、日本のブロックの外でじっくりボールを回しながら、長谷部の両脇にできるスペースを狙ってサイドに入っている選手が中に入って来たり、前線の選手が下りて来たりして、人数をかけて攻撃の起点を作ってきました。もちろん長谷部一人では全てをケアできないので誰かがサポートにいくわけです。チーム全体がコンパクトな陣形で守れているときは、センターバックが前に出たり、インサイドハーフがプレスバックして潰せるんですけど、相手もそのエリアにに入っていくタイミングやボールの受け方がうまいですから、どうしてもワンテンポ遅れてしまい、次第に後手を踏んでしまいます。オーストラリアのフィニッシュがやや雑だったのにも助けられて、日本は守勢に回りながらもなんとか失点せずにしのぎます。たらればですが、ケーヒルが最初からいたら、そこで仕留められていたかもしれません。

 この展開の中でチームとしてどう対応するのか。
手を打ったのは、アギーレ監督でした。35分、テクニカルエリアに出て、指を使って選手たちにシステム変更を指示。具体的にはインサイドハーフだった遠藤保仁をボランチに下げて、長谷部とのダブルボランチにした[4-2-3-1]にシステム変更。中盤の底を2枚にして、再三使われていたスペースをケアすることで修正。さらに遠藤が中盤の底に残っていることで、今度は長谷部が前に出てボールを取りに行けるようにもなりました。ビルドアップ時にも長谷部がボールを持つと、オーストラリアの前線にかなりケアされてましたが、遠藤が近くまで下りたことで組み立ての起点も増えました。直後には、遠藤が前を向いてトップ下の香川に縦パス。ターンして右サイドの本田に展開という形を作ったり、インサイドハーフではなかなか組み立てに関与できなかった遠藤も輝き始めます。次第に日本が試合のペースを取り戻すことに成功。

 後半からは遠藤に替えて今野泰幸を投入。
前半から飛ばして来たオーストラリアが少しペースダウンしたのも手伝って、ほぼ日本のペース。攻撃では、サイドで起点を作って相手を寄せておいて、一気に逆サイドに展開。そこで仕掛けながら、中央も人数をかけて入って行くという迫力ある攻めを出せました。そうしたサイドからの仕掛けから獲得したCKで今野が押し込んで、後半15分に先制。さらに23分にも岡崎慎司が追加点。ロスタイムにケーヒルに1点を許したものの、2対1で勝利となりました。

 試合の総括としては、結果を出したものの、先発メンバーの顔ぶれしかり[4-2-3-1]システムしかりで、「ザックの遺産」、「ザック流に回帰」なんて揶揄する風潮もあるみたいですが、僕としてはネガティブには捉えていません。顔ぶれは変わらずとも、ザック時代と比べると、本田圭佑、岡崎慎司のポジションとタスクが明らかに違いますし、遠藤保仁に替えて今野泰幸を入れるという交代カードの切り方もありませんでした。それ以上にアジアカップという結果が重要視されるタフな大会が控えているチームにとって、「勝ち方を身につけること」、そして「うまくいかないときにチームとして戻る場所があること」は大事で、今回はそれを掴んでおくべきタイミングでもあったと思いますから。

 うまくいかない状況でどうすべきか。
「急がば回れ」とはよく言ったもので、オーストラリア戦を通じて、チームとしての戻るべき場所を一度確認できた上で、前に進んで行く準備ができたと思います。その意味で、日本の対応力を磨けた試合だったと思います。

・・・怪我で離脱した小林悠選手、見たかったなぁ。

※Numberで短期連載してて、かなり読み応えのあったザッケローニの通訳をしていた矢野さんの通訳日記。今月に出版されるんですね。これは面白いと思います。

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