6日は、J1リーグ最終節・ヴィッセル神戸戦の取材に。
朝から新幹線に乗って新神戸へ。移動のお供として、東京駅構内の本屋で矢野大輔さんの「通訳日記 ザックジャパン1397日の記録」を購入。
かなり売れている本らしい。実際、前日の夜に地元の本屋を3件ハシゴしたけど、どこも売り切れていた。4年分なので、かなり分厚いですね。矢野さんの日記とはいえ、ザックのエッセンスが随所にちりばめられてあり、ザック・サッカーの教科書を読んでいるような感覚。長谷部誠や本田圭佑など主力とのやりとりが多いけど、中村憲剛もちょいちょい出て来ます。2011年5月の代表招集で、長谷部のバックアッパーとして、柴崎晃誠と谷口博之のどちらにするか悩んでいた時、関塚隆コーチ(当時)がタニではなくコーセイを勧めたエピソードなんかも出て来て、「へぇ」という感じもある。行きの車内でコンフェデレーションズカップまで読み進める。
ノエスタに来るのはけっこう久しぶりなので、報道受付がわからず、しばしウロウロ。警備員の方に教えてもらって入る。報道陣は少なめ。関西のメディアの多くは優勝がかかったガンバの取材に行っている模様。このカードでニュースになりそうなのは、大久保嘉人の得点王ぐらいですからね。
スタメンは、今週の紅白戦通りの顔ぶれ。
[3-1-4-2]のような並びだが、実際には[3-3-3]に森谷賢太郎がフリーマンで入るような形になる模様。守備では右サイドでレナトのサポートをしつつ、攻撃ではパス回しのリンクマンとして機能する役割が求められる。アンカーには稲本潤一ではなく、福森晃斗が入る。「うまく散らせるし、潰せる・・・あとは声を出してくれれば。なんとなくは出してるんだけど・・・」と笑っていたのは、中盤で組む山本真希。中でやっている選手同士でしかわからない部分だけど、後ろから的確にコーチングしてくれる選手がいるかどうかは大事だ。稲本潤一のコーチングはピカイチだとよくチームメートは口を揃えていたが、山本真希に聞くと、「もちろん。どれにイナさんに『行け!』と言われたら、全力で行くでしょ・笑」とのこと。なるほど説得力も大事なのね。
ちなみに中盤で組む3人のもう一人は、2011年同期入団組の大島僚太。「仲が良くない福森くんと中盤で組みますが?」とイジったら、「ふふふ」と笑って、「いや、普通に話してますよ。そこは問題なくやってます」と律儀に不仲説を否定してから試合に向けたコメントを言ってくれた。真面目っすな。
試合前、神戸らしいスタグルを食べたいと思っていたら、こんなものが売っていた。
神戸牛のステーキ丼。高額やなぁ。でも食べたいので、1700円の特上赤身を購入。
よく考えたら、矢野さんの通訳日記より高いじゃねーか・笑。でもマジうまい。お肉が柔らかくて、まるで良いときのフロンターレのパス回しのように、口の中で肉が動き回っていた。
試合は2-1で勝利。
大久保嘉人がPKを含む2得点。延期になった新潟対柏がまだ残っているが、シーズン通算18得点で「ほぼ得点王」となった(彼のことは後日書こう)。アウェイで勝ったのは9月23日の大宮戦以来とのこと。長かった。
試合自体は、優勝も降格も関係ないチーム同士の対戦だからなのかわからないけど、オープンなゲームだった。ピッチ状態があまりよくないのか、どうにもパスがひっかかる。ボールの失い方が悪く、目を覆いたくなるような神戸のカウンターを何度か浴びるが、相手のシュート精度の低さに助けられること、山のごとし。ただピッチに慣れると、パス回しのテンポと距離感が良くなっていく。登里享平がトップの中央に張ったり、大久保嘉人が下がったり左に流れたり、森谷賢太郎も含めみんなポジションにこだわらずボールに触れて、プレッシングの密集をかいくぐって縦パスが入ってリズムが出て来る。やはりこうでなくては。
守備では、やはり福森晃斗の両脇にできるスペースを狙われる場面が目立った。
「アキト(福森晃斗)の脇に落ちてこられたときに、自分やシンタロウ(車屋紳太郎)が安易に食いついてしまうと、そこの背後に走られてしまって」と、3バックの一角に入っていた武岡優斗。福森の両脇のスペースで起点を作らせまいと、前に引っ張り出された瞬間、サイドのスペースに走られて対応に苦戦していた。福森も「自分がボールサイドに寄ってしまい、ボールサイドじゃないほうに相手が下りてきて、うまくクサビを入れられてしまった」と反省の弁を述べていた。結局、風間監督は、途中から森谷賢太郎をボランチに落とす指示を出して対処させようともしていたが、ここらへんの整備は来季に向けた改善点か。
後半は広島戦同様、我慢の時間帯。
そこは前節の反省を生かしていたようで、そこらへんのピッチでのコミュニケーションを西部洋平に聞いたら、「ボールを大事にするところ、あとは割り切るところは割り切るというメリハリが今日はあったと思う」と話していた。それでも彼は大忙しだったけど。3点分ぐらいは止めていたと思う。
2-0で迎えたロスタイム。
「あぁ、これで2014年シーズンもすべて終わるんだなぁ」となんとなく感慨にふけっていたら、終盤に入った稲本潤一のチャントがスタジアムに鳴り響いてグッとくる。その稲本潤一が、ラストプレーでPKを与えたのはご愛嬌ということで・・・(※こちらのPK奪取の起点にもなる仕事もしているので)。
試合終了のフエがなり、スタジアムが静まり返ると、次の瞬間、フロンターレサポーターはジェシのチャントを歌っていた。ジェシは胸をガシガシ叩いて応えていた(その後はゴール裏に行って挨拶していたようだ)。
試合後のミックスゾーン。
レナトにジェシのことを聞いてみた。「彼だったら、素晴らしい場所にいけると思っているし、彼が輝ける場所に行ってくれればと願っている。彼の人間性はみなさんわかっていると思うので」と幸運を祈っていた。もちろん、少しさびしそうだった。2012年に一緒に来日した仲なのだ。
そうそう、山本真希に福森晃斗のコーチングについても聞いてみた。
「何回かは聞こえたかな?・・・ただ、その後ろにいるショウゴ(谷口彰悟)の声のほうが聞こえたけど」と笑っておりました。来年の課題は声だしですね。
取材後、プレスルームで仕事をしていたらあっという間に19時に。20時の新幹線だったので、スタジアムを出て慌ただしく向かう。新神戸駅にはフロンターレサポーターもたくさん。
今年も1シーズン、お疲れさまでした。