どうも、いしかわごうです。
2017年が始まって、1週間となりました。
元日の天皇杯決勝は、延長戦の末に1-2で敗戦。
小林悠選手の同点弾後、オープンな展開になったので勝つチャンスもあったなぁ・・・と思いつつも、もちろん、結果は結果として受け止めなくてはなりません。
・・・・にしても、あの同点弾は何度見直しても鮮やかでした。
大島僚太選手のクイックリスタートが起点になり、昌子源選手を背負っていた小林選手がうまくスルー。それを準備していた三好康児選手が前を向いて仕掛けて植田直通選手の重心を動かした瞬間にラストパス。それを小林選手がスナイパーのように冷静にゴールネットを揺らしました。
この小林選手のシュートまでの場面、よくよく見直してみたら、右から左サイドバックに入っていたファン・ソッコが来ているにもかかわらず、トラップが少し右に流れているんですよね。あのトラップについて小林選手に聞くと、「相手が外から来ているとは気づいていなかったので、慌てて体を先に入れたんです」と話していました。
なるほど、ファン・ソッコは視界に入っていなかったというわけです。ただ、うまく体を入れながら、ここしかない場所にシュートを放って豪快に仕留めました。サイドネットに突き刺す見事なゴールでした。
悔やまれるのは、その後、小林選手には同じような右からの角度で3度の決定機が巡ってきたにもかかわらず、決めきれなかったこと。本人もすごく悔やんでいましたが、あれをひとつでも決めていれば・・・という「たられば」を、意味がないとは思いつつも、どうしても考えてしまいますね。
あの右サイドの角度といえば、ジュニーニョが鹿島戦でよく決めていた角度でもあります。「三本指のゴール」が一番有名ですが、彼はあのニアサイドを撃ち抜いて決めていました。曽ヶ端選手がクロスに反応する癖を見抜いて狙っていたそうですが、冷静に考えてみたら、あそこのコースを狙えるジュニーニョが凄すぎるのですが・・・。
思えばジュニーニョは、小林悠選手の成長を語る上で欠かせないストライカーでもあります。
小林選手が川崎フロンターレに入団した2010年、絶対的なストライカーとして君臨していた王様ブラジル人がジュニーニョでした。新人だった1年目の多くをリハビリに費やしていた小林にとって、チームメートとはいえ、あまりに偉大で遠い存在だったそうです。
しかし翌年2011年から、小林選手は背番号を11番に変更。それに伴い、背番号10をつけているジュニーニョとはロッカールームが隣同士に。旧プレハブのロッカールームは狭いですから、隣同士のジュニーニョと日常的に接する機会が多くなったある日、こう告げられたそうです。
「俺のことをよく目で追っておけ。練習中も、自分の近い場所にいてプレーを見ろ」
その言葉をきっかけに、小林選手はジュニーニョの振る舞いをつぶさに観察し、彼のプレースタイル、振る舞いを学んでいったのです。そして2011年シーズン限りで、退団することになったジューニーニョから、こんな言葉をかけてもらってます。
「チームが苦しいときにゴールを決めるストライカーになれ」
この言葉は、小林の心に今も深く刻み込まれています。あるとき、「(ジュニーニョ)本人はもう忘れているかもしれないですけど」と笑ってましたけど、いやいや、そんなことはないはずです。
そして小林選手はチームが苦しいときにゴールを決めるストライカーになりました。しかし勝たせることはできませんでした。試合後の彼は、ミックスゾーンでのテレビの取材対応で涙を見せていたと聞いています。チームの顔として、勝敗の責任を背負う選手にもなった証だったともいえるかもしれません。
・・・とまぁ、試合の関する詳しいレビューは、ごうnoteで公開しております。
公開してます。12000文字のレビューです。➡️大島僚太の機転と、スルーを感じていた三好康児のアシストと、小林悠の冷静な一撃。風間フロンターレのラストゴールに感じた未来。(天皇杯決勝・鹿島アントラーズ戦:1-2)|note(ノート) https://t.co/azWcakXKLU pic.twitter.com/2UsURZUrvj
— いしかわごう (@ishikawago) January 6, 2017
今回のラインナップはこちら。
1.ボールを持っていたのか、それとも持たされていたのか。「途中からは『やらせろ!やらせろ!』という声があがっていた。(ボールを)取れると思わなかったのか、あきらめて引いてやる感じに相手がなっていたと思います」(大島僚太)。リズムを握っていたようで、鹿島にしてやられた前半。
2.徹底した地上戦と、アイディアに溢れる崩しの同点弾。「ハーフタイムに、(相手を)背負っていても当てられるようなら(味方に)当てようという話が出ていた。あのシーンは少しわりとみんなのんびりしていたと思います」(大島僚太)。「ユウさんが良い位置でリョウタくんからボールを引き出してくれて、ああいうイメージでくると感じてました」(三好康児)。堅守・鹿島ゴールをこじあけた、大島僚太の機転とスルーを感じていた三好康児のアシストと、そして小林悠の冷静な一撃。
3.「感覚的には入ったと思ったんですが・・・・もう少しカーブをかけて打てばよかった」(小林悠)。後半に巡ってきた、同じ角度での3度に渡るビッグチャンス。「あれが決まっていれば・・・」と語り継がれるであろう、明暗を分けた決定機を検証する。
4.「チームが苦しいときにゴールを決めるストライカーになれ」。ジュニーニョから小林悠への教え。そして、もしジュニーニョだったら、曽ヶ端準のニアサイドを狙っていたのではないか、という話。
5.試合後の中村憲剛と田坂祐介が語った「ちょっとしたことだけど、すごく大きな差」。120分の死闘に垣間見た、「セカンドチャンス」に対する意識の違い。
6.「俺たちはいまからこうやっていくんだよ、というのを選手はわかってくれた。あの1点はどんな1勝よりも大きかったと思っている」(風間監督)。風間フロンターレ、最初の一歩からの4年半を振り返る雑記。
以上、6つのポイントです。今回のレビューは冒頭の無料部分も含めて、全部で約12000文字のボリュームとなりました。「1200文字」じゃないですよ?約12000文字です・笑。有料ですが、よろしければ読んでみてくださいね。
大島僚太の機転と、スルーを感じていた三好康児のアシストと、小林悠の冷静な一撃。風間フロンターレのラストゴールに感じた未来。(天皇杯決勝・鹿島アントラーズ戦:1-2)
ではでは。
(試合後の一コマ。青黒のダルマにもう片方の目を入れたかった・・・・)