どうも、いしかわごうです。
「football-lab」というサイトで興味深いデータが発表されました。それは昨年2014年のJ1、J2の平均パススピードランキング。味方に出した15m未満のパスを中心に算出したデータで、単位は<メートル/秒>だそうです。
J1のトップは川崎フロンターレでした。
J2のトップは愛媛FC。フロンターレの8.708< m/s>は、J2を含めてJリーグ全クラブ1位のパススピードです。
このスピードはどのぐらいなのか。
参考値として、W杯ベスト8以上のチームの数値も掲載されてました。フロンターレは優勝したドイツ代表の8.694
もちろん、パススピードが速いことが良いわけでもないし、遅ければ悪いというわけでもありません。重要なのは、チームとして目指すスタイルとデータが合致していることですから。
その意味でこのデータは、風間監督のもとで3年かけて磨いたスタイルが数字に現れているともいえます。風間監督は就任当初から、ボールスピードを速くして、動いている味方の足元にピンポイントに通す技術を選手達に徹底させてきました。風間監督になってからの一番の変化は、パススピードなんじゃないかと僕は思っているぐらいです。
「パススピードをあげる」と言っても実行するのは簡単ではありません。技術を上げるまでと身体が慣れるまでは大変なわけです。まず速いボールを味方の足元に届けるためには、より強く蹴る必要があります。ボールにたくさん触れることが求められますし、強めのインサイドキックを多用した結果、内転筋に張りや違和感が出て離脱してしまう・・・なんていう苦しい時期も就任当初はあったぐらいです。
ただパススピードが速いと言っても、担当記者として練習や試合で見続けていると、眼が慣れてしまうものです。等々力のハーフタイムに顔なじみの記者から「フロンターレのボールスピード、かなり早くないっすか?」と驚かれて、「やっぱり、そうなんだ」と気づくこともありましたからね。おそらく、何でもないようなパスも速いんだと思います。
♪何でもないようなパスが〜幸せだったと思う〜
・・・いや、何でもないです。
ちなみにフロンターレは、昨年の1試合平均のパス総数(623.9本)もJ1トップだったりします。つまり、「Jリーグで一番速いボールスピードで、一番たくさんのパスをつないでいるスタイル」と言っても過言ではないわけです。中でも中村憲剛選手は、1試合平均のパス本数が114.46本で、全選手中ダントツの1位です。そりゃ本人も「サッカーをしたシーズン」って言いますわな(ちなみに2位は大島僚太の82.74本、3位は遠藤保仁の80.97本)。単純に凄いですね・・・うん。
もっとも、データはあくまでデータです。パススピードランキングに関して言えば、縦パス、横パス、バックパスを区別してないですし、自陣と敵陣のエリアによる区別もないと思われます。
というのも、このパススピードランキングでJ1の最下位は浦和レッズでした。
浦和のパススピードが、「J1で一番遅い」という印象はありません。実際、敵陣に入って縦のスイッチが入ってからの迫力は、かなりのパススピードだと思います。ただ浦和の場合は、ビルドアップの際はあえて最終ラインでゆっくりとボールを回すことで相手の出方をうかがいます。特にリードしている展開では、じれずにじれずにやります。このデータは縦パス、横パス、バックパスを区別してないですし、自陣と敵陣のエリアによる区別もないと思われます。自陣でのボールスピードが遅いことで、最下位になっているだけだと思います。そういった部分は、吟味しないといけません。
風間監督はよく「どう勝つかにこだわっている」と口にします。
プロである以上、勝ちにこだわるのは当然です。ただし勝負事の世界である以上、勝ち負けに関する100%の保証できない。でも「どう勝つか」の「どう」の部分は、少なくとも見せないといけない、と。
「どう」の部分は確立できているのが、データからも証明されつつあります。4年目の今年は、去年以上に「勝つ」のほうにこだわったシーズンになることを期待したいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。