Author: いしかわ ごう
貴州人和戦〜金久保順選手の先発起用がズバリ。
勝ちましたね。ACLの貴州人和戦。
テレビ観戦ですが、あのアウェイで勝ち切るという作業は、傍目以上にタフだったと思います。きっと、こういう経験もチームをよりたくましくしてくれると思います。
この試合、風間監督がピッチに送り込んだメンバーは、柏戦後半の継続でした。基本布陣は[4-2-3-1]で、中盤は憲剛選手をトップ下、金久保選手が左MF、森谷選手が右MF、山本選手と稲本選手のダブルボランチという組み合わせです。選手同士もイメージでやれていた感触を持っていただろうし、妥当なメンバーだったと思います。
とはいえ、そこはアウェイの中国。
ボールを握って相手を圧倒して勝つという内容を求めるのはあまりに酷な条件だったのはテレビを通じてもよく伝わりました。ピッチはボコボコでバウンドが大きく、思うようにボールがつなげず攻撃のリズムが出しにくそうでした。
守備では、川崎の最終ラインはいつもよりも深めに設定していました。前半の貴州はロングボール主体で組み立てて裏を狙っていましたし、アウェイなので、先に失点するのは避けたいという狙いがあったのだと思います。辛抱強く跳ね返していたと思います。ただ後ろが深く構えていたので、チーム全体が間延びしてボールを持ったときに、味方同士の距離感が出てしまい、なかなか良い攻撃につなげにくそうでした。
金久保選手が良いアクセントになっていたと思います。
左サイドを縦に勝負するレナトとは違い、持ち場にこだわることない流動的なプレーでゴール前に顔を出していました。特にトップ下の憲剛選手がボールを受けに中盤に下りたとき、そこで生まれる中央のスペースを、サイドから走り込んで活用しようとする意識が高く、これがなかなか良い流れをもたらしていました。
そして生まれた38分の憲剛選手の先制点。
右サイドに流れた憲剛選手が背中トラップ&ヒールパス、その起点を受けて森谷選手のパスに、ゴール前で反応したのは金久保選手。再三見せていた、左サイドから中央に走り込む動きでポストプレー。その落としを受けた憲剛選手が一閃してネットを揺らしました。金久保起用、ズバリです。素晴らしい得点で、これが決勝点になりました。
後半になると、勝たなくてはいけない貴州側のラフなファウルやアフターでのファウルが多くなり、試合自体が荒れてきました。こうなると「奇麗に勝ち切る」とも言ってられません。「泥臭く守り切る」でOKです。主審はカードを提示してましたし、荒れ過ぎないようにコントロールしていたと思います。
後半の貴州は、右MFのウ・カイにボールを回して、何度もこちらの左サイドを攻め立ててきましたが、谷口選手は粘り強く対応していたと思います。もちろん、何度か裏を取られましたが、井川選手のカバーリングもあり大きな破綻はなかったと思ってます。試合後、そのウ・カイがなぜかMOMに選ばれてましたが・笑。
そして金久保選手ですよね。柏戦とこの試合のパフォーマンスから、おそらく風間監督の中で、「主力組で計算できる選手」に入ってきたのではないでしょうか。金久保選手の先発起用もそうですが、後半の選手交代も実に的確で、風間監督の采配も冴えていたと思います。
チームは今日の夜に成田に到着し、明日から土曜日の浦和レッズ戦に向けて準備です。ACLの日程、本当にタイトです。
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先日担当したWOWOWのリーガール・岩﨑名美さんのインタビューです。この子、まだ高校3年生なんすよ。コパ・デル・レイを予想してもらいました。
WOWOW“リーガール”岩﨑名美さんがコパ・デル・レイ決勝を大予想!... 記事を読む
柏戦翌日の麻生にて〜中村憲剛選手がパウリーニョに伝えたこと。
本日はACLです。中国の貴州人和戦。日本時間では21:00キックオフ。
注目はスタメンですね。柏戦で先発した[4-4-2]のメンバーでいくのか。盛り返しを見せた後半の憲剛選手をトップ下にした[4-2-3-1]にするのか。それとも、他の組み合わせで臨むのか。負けられない試合ですから、風間監督がどういうメンバー編成で臨むのか、注目です。
チームは柏戦翌日に出発しています。
その日の麻生での一幕。試合に出た主力組はリカバリーで切り上げたのですが、主力組がみな上がった後、憲剛選手とパウリーニョが通訳の中山さんを交えた3人で話し込む場面がありました。
憲剛選手が身振り手振りを交えていろいろと伝えていたので、昨日の柏戦でボランチを組んだパウリーニョにプレーや距離感に関するレクチャーをしていたようでした。20分ぐらいは話していたと思います。
練習後、憲剛選手に聞くと、こう明かしてくれました。
「パウロの中でまだ消化し切れていないから。やらなきゃいけない、こうしなきゃいけないという気持ちが強すぎる状態。でも、理解をしているからそう考えるのであって、次に進む段階として必要なことでもある」
-----チームのスタイルにフィットしようとしているからこその現象?
「そう。何も考えずにやっているのとはワケが違うからね。風間監督のもとでこの練習を三ヶ月やってきて、それを試合でどう出そうかというのは、まだできていない。攻撃でも守備でもそう。それが整理できれば良さが出て来る。レナトもジェシも半年かかったんだから慌てないで良いよ、というのは伝えている」
————柏戦の前半、憲剛選手のプレーが窮屈そうな印象でした。コンビを組んでいたパウリーニョに具体的に改善して欲しい部分というのは?
「柏戦に関して言えば、居て欲しい場所にいなかった。目の前の相手とばかりやっていた。目の前の相手を外すことばかりを意識していた。確かに相手を外すことも大事なんだけど、そんなに動かなくても良い。ボランチはもっとドッシリと構えてくれても良い」
————風間監督は、「ボールを持って相手を振り回せ」とも言いますよね。
「自分たちがプレーしながら、相手を動かしていけばいい。ビョンジュンもそう。相手を外さなきゃいけないということばかり考えてしまうと、案外外れていない。無駄をなくして、いかに外せるようになれるか。それをみんなができると、ここ数試合のようなサッカーができるようになる。チームとしての頭と目を揃えるようになることが大事。そうすれば、ゴール前に何人いても点は取れるようになる」
風間監督のサッカーを理解し、それを実戦するのは容易ではないのは、どの選手も口にします。小林悠選手は、最初の頃を振り返って「出来なさ過ぎて泣きそうになった」と話していましたし、新加入の森島選手も「毎日、帰りの車の中で『今日のあそこは、こう判断すべきだったんかな』と、練習の反省をしている」と言っていました。
きっと新加入のパウリーニョもまだ消化不良を起こしているということでしょう。特に彼はJ2の栃木のチームスタイルで要になっていた選手ですから、シュートパスの交換で密集地帯を崩していくよりも、カウンターであったり、サイドチェンジなど大きい展開を好むタイプのボランチだったため、どうしてもその癖がまだ抜けないのだと思います。
試合に出続けている選手と、そうではない選手はどこに差があるのか。柏戦はそこがハッキリと浮き彫りになった試合でした。でも、まだ十分にできなかった彼らが今後できるようになれば、それがチーム力の底上げに直結します。壁を乗り越えて欲しいですね。
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等々力取材柏戦〜やらないとこうなる前半、やるとこうなる後半。
柏レイソル戦は1-1のドロー。
いやはや、見応えのあるゲームでした。前半と後半でまったく違う展開になりました。
前半は、ネルシーニョ監督の策にしてやられた45分だったと思います。
現在の柏は広島や浦和と同じ[3-4-2-1]布陣を採用しています。ビルドアップの仕方も、後ろ3枚で回しつつ、ボランチの大谷選手が降りた4バック気味になって起点を作ろうとするやり方です。特にその大谷選手がボールを運ぶときに浮きやすい(フリーになりやすい)んですよね。
立ち上がりの5分の失点は、そこの対応が少しハッキリしない段階でやられました。この局面、その大谷選手が前にボールを運んだ時、近い位置にいるのは森谷選手ですが、彼はウィングバックの高山選手も同時にケアしつつの対応なので、アプローチが一歩か二歩は遅れてしまいます。これは森谷選手の問題というよりは、システムの構造上で多少は、仕方がないところ。そして、その瞬間をうまくやられました。
森谷選手が遅れて大谷選手に食いついたところをウィングバックの高山選手に出される。そのボールには田中裕介選手が出て対応しにいきましたが、タッチライン際には田中順也選手も加勢して来たので、マークしていたパウリーニョもサイドに引き出されました。するとリターンして大谷選手がボールを持つと、パウリーニョを引き出して空けたバイタルエリアにスルスルと持ち運んでゴール前に。
突破自体はジェシが一度ブロックし、そのこぼれ球を井川選手が食い止めますが、それも粘られてレアンドロの足元に。冷静に左隅に流し込まれて失点です。立ち上がり、ビルドアップのときに浮きやすくなる大谷選手の対応がハッキリしなかったことで、その持ち運びからあっけなく失点を喫してしまいました。開始5分でいきなりのビハインド。リーグ戦では4試合ぶりの失点です。
ただこの前半の問題は、こちらがボールを持ったときですよね。
ネルシーニョ監督の守備対策が非常にいやらしかったですらね。例えば、トップのレアンドロの位置取り。ジェシと井川選手の間に立つことで、二人のパス交換をさりげなく寸断させて、あえて右のジェシにボールを持たせようとしてました。そして少し強めのプレッシャーをジェシにかけて、田中裕介選手がいる右サイドに展開させてミスを誘う、あるいは右サイドで少し手詰まりにさせてしまう。テンポが出せませんでした。
逆の左サイドの対応はより巧妙で、谷口選手のところにはシャドーの工藤選手がうまくパスコースを切りながら守っていました。「すごく嫌な位置を取られていました。前半は前に運べなかったですね。後半は少し落ちるだろうと思ってましたが」と谷口選手。山本選手との連係もイマイチなので、前半はなかなか左からは組み立てのテンポが出せませんでした。
なにより普段であれば、もっと中央のボランチにボールを付けて、真ん中で相手を引きつけてからサイドを効果的に使うのですが、大島選手の不在もあり、真ん中での組み立てがスムーズにいきません。いつもであれば、周囲が気を利かせて打開するのですが、この試合では、パウリーニョ、山本選手の左MF起用、アン選手などいつもとは違う顔ぶれが先発に並びました。彼らが自分の仕事をこなすことに精一杯になるのは仕方がないところで、チーム全体に目を配ったプレーをしろというのは難しいところ。憲剛選手が何度も相手の守備に掴まりかけていたのがその象徴で、味方との距離感が悪くてはボールが裁けずに、相手のプレッシャーをモロに浴びてしまいました。結局、ボールの失い方が悪く、相手にボールを保持される我慢の時間が長い前半でした。
後半はそこを修正。
まず稲本選手をボランチに投入。ビルドアップのときにセンターバックに落ちて3枚になることで、井川選手とジェシのパス交換を遮断していたレアンドロの仕事を混乱させます。これで後ろのボール回しが改善されました。
さらにパウリーニョを下げて金久保選手を投入。憲剛選手、森谷選手、金久保選手と相手の間でボールを受けられる選手が二列目にいることで、縦パスがズバズバはいります。「順があれだけボールを受ける何かが起きるような感じがした」と大久保選手。僕も彼のフィット感には驚きましたね。完全にリズムを取り戻し、いつものサッカーに戻りました。
そして生まれた同点ゴール。圧巻ですね。相手8人が守っている中央の守備を森谷選手、憲剛選手、山本選手の3人だけで崩してしまいました。
「賢太郎は一回ドリブルで向こう側にいったけど、こっちに来ると思って俺はポジションを取ったんだよね」と憲剛選手。森谷選手が密集地帯を避けて展開するのではなく、こっちに向かってパスを出してくれると感じ取っていたようです。さらにその瞬間、憲剛選手からパスが出て来ると予感して飛び出していたボランチの山本選手。高山選手が残っていたからオンサイドだとちゃんと意識していたそうで、冷静にネットを揺らします。いやはや、素晴らしい崩しでした。
あの得点シーンにチームエッセンスが詰まっていたと憲剛選手は言葉を続けます。
「ゴール裏から見たら相手が8人ぐらいいた。でも3人で崩せちゃう。それをやるかやらないか。相手がいるからサイドに逃げる。それだと前半のサッカーになっちゃう。けど、自分たちは中で崩せるんだからそれをやる。そこで相手が怖がる→攻撃に上がれなくなる→ウチが一方的に押し込む。そして勝つ(笑)。そういうこと。あの試合の前半、後半でよくわかった。やるとこうなるし、やらないとこうなる。高い授業料でしたけど、ビョンジュン、パウロはわかったと思う。それにジュン(金久保選手)のように、やれたたことで自信をつける選手もいる」
あと個人的にすげぇと思ったのが、試合終盤の西部選手のビッグセーブですね。
ジェシの股の間を抜けてきた田中順也選手の地をはうシュートを見事にストップした場面です。あれに反応するのは予想以上に難しいと思います。たぶん手というよりも指で止めていたようなセービングです。西部選手本人に聞いたら、「自分も全然(軌道が)見えなかったです。それでもかきだしてました。指ですね。指、2本です(笑)」とのことでした。指2本ですか。セービング後、珍しくガッツポーズしてましたもんね。
「ホームだから勝ちたかった」と選手は口を揃えてましたが、個人的には、悪くない勝ち点1だと評価しています。チームは翌日に出発し、明日は中国でのACLです。「中国のアウェイのイメージ?Youtube にアップされないように」と数年前の出来事で自虐ネタを言っていた憲剛選手・笑。Jリーグ勢はアウェイで苦戦してますから、勝ち点を取って来てもらいたいと思います。
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ナリキン!の6巻〜川崎フロハイーレ、出てます。
サッカー将棋漫画「ナリキン!」の6巻が出ました。
日本代表の心臓・円藤和人選手が登場するガンダーラ大阪戦です。その感想を書こうと思っていたのですが、話の流れでフロンターレをモデルにしたクラブが1コマだけ話題になるので、それをTwitterで紹介したところ、物凄い反響をいただいてしまいました。
川崎フロハイーレ
漫画内で登場したのは名前だけです。オフには「いっしょにおフロんた~れ」と銘打って、漫画「テルマエ・ロマエ」やオフロスキーとのコラボ企画もやってましたから、良いネーミングだと感じてますが、周囲のリアクションが予想上だったようで、ドメサカ板にまで波及してました・笑。
漫画「ナリキン!」最新刊に川崎フロンターレがモデルのクラブが登場
・・・・・鈴木大四郎先生(らしき人)がコメント欄に降臨してるし・笑。本編に川崎フロハイーレが登場してくるときは、川崎フロンターレとコラボできたら良いですよね。
ナリキン!は、将棋の戦法をサッカーの戦術にして戦うという新しいサッカー漫画です。将棋に詳しくないサッカーファンでも読みやすいですよ。国内を舞台にしているので、Jリーグファンにも馴染みあるチームが登場しています。まだ6巻までしか出ていないので、ぜひまとめて買って読んでみてください。
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徳島戦のデータを冷静に振り返ってみる。
名波浩さんの中学時代の話。
先週土曜日の午後、マリノスタウンに行きました。
依頼があって、アディダスが開催している『UEFA YOUNG CHAMPIONS 2014 』の関東大会の取材をしてきました。中学生を中心とした5人対5人大会で、ラルゴFCがFC東京U-15むさしを下して優勝しました。レベル高かったなぁ。
大会のスペシャルゲストに名波浩さん。
大会後には総評もしていました。中学生からの質問コーナーでは、自身の中学時代の経験談をいろいろ答えていて面白かったです。例えば「日本代表になるにはどれぐらいの練習が必要ですか?」と聞かれると、こんな感じ。
「俺は凄いよ。まず朝6時に起きて2.5キロぐらいの公園を走っていたから、帰って来るとだいたい5キロぐらい。そこから学校に行って昼休みには、グラウンドで必ずミニゲームをやっていた。そして夕方からは部活動の練習。6時ぐらいに終わって、そこからトレセンに行ってた。いかないときは家の裏に公園があったので、そこで練習してた。勉強は全くしていなかったね(笑)」
・ ・・すごっ!
「勉強は全くしなかった」と聞いて、親御さんたちは苦笑してましたけど。
大会後も囲み取材で話をきかせてもらい、面白かったです。
名波さんはプレイヤーとしても一流でしたけど、解説者としても相当レベル高いですよね。サッカーを観たり、語っているするのも大好きなんでしょうね。インタビューや対談集も面白いです。
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