[試合研究]J2第38節富山対愛媛から[3-3-3-1]システムを読み解いてみる


J2第38節富山対愛媛(3-3△)
・富山[4-1-4-1]              20.苔口
       7.石田           7.朝日
          8.渡辺    5.長山
             22.江添
      23.中田  3.堤   6.濱野  19.西野 
             31.橋田
 対する愛媛は、[4-4-2]。GK川北、DF関根、アライール、小原、三上、MF越智、田森、赤井、杉浦、FWジョジマール、石井。
 最終戦、いい試合でした。すごく。
最終ラインの4枚のビルドアップに対して、富山は苔口、朝日、石田の3枚がいき、ダブルボランチに入った時は、渡辺と長山が連動していく。つまり5枚のプレスがかかっていくわけですが、うまくはまれば、ショートカウンターで一気にゴール前までいけます。この試合では石田と朝日が二列目で起用されていたため、ワントップの苔口にボールが入った時のサポートが早く、追い越す動きもしていくので、高い位置で奪ってからの攻撃に躍動感がでますね。
 ただし、しっかりとビルドアップしてくる愛媛の姿勢にも好感が持てました。前からのプレスにも安直なロングボールは蹴らず、しっかりと組みたてて来る。チームとしても意図を持ったボール回しをしていて、そのテンポ、リズムがいい。ボランチの田森もつなぐにいいアクセントをつけていました。かといって徹底的にパスをつなぐかというと、アライールはロングフィードも前線に随所に盛り込んでくる。うまいですね。
 富山はときには5枚(5人の選手)が前から連動して奪いにいくものの、それで奪いきれないときはどうしてもアンカー江添のまわりが手薄になってしまい、愛媛はそのスペースを中盤に降りてきた2トップに、いいタイミングでボールが収まるんですよね。そうなると、前を向いて仕掛けられてしまう。愛媛の先制点は、その形から生まCKでした。16分、サイドを起点にされ、中盤で江添が下がってきたジョジマールをつぶしきれず、バイタルエリアを使われる。サポートに入ったMFの杉浦がミドルシュート。それで得たCKを石井がヘディングで合わせて0-1。20分の追加点もCKで、競り合いのこぼれ球をアライールがボレーで詰めて、0-2。
 
 今季の富山にとって2点のビハインドは絶望的な状況ですが、ここで選手は慌てなかった。基本に充実に、サイドを起点に組み立てていく。29分の得点シーンは、その流れから。左サイドでパスをつなぎながら局面を突破。クロスに渡辺が飛び込み、その相手のクリアが朝日に当たり、そのボールがゴール前にいた石田の目の前に。豪快に蹴り込んで追撃の1点を挙げる。
 後半は、富山が前線の3人の配置を変更。石田と苔口の2トップにし、朝日をトップ下にしていました。これは攻撃面でいいアクセントになりました。これまではワントップの苔口が左右に流れてボールを引き出していたのですが、トップ下に朝日がいることで縦にボールが入りやすくなり、さらにボランチ、サイドバックが飛び出していく動きも目に見えて増えていく。[3-3-3-1]のときというか、富山らしい攻撃姿勢が出てきましたね。
 71分、中盤の奪い合いから西野が右からゴール前にクロス。ボランチの渡辺が頭で合わせて同点。相手GKも見送るのみのファインゴールで、この位置にいたサイドバックのクロスをあがっていたボランチが決めたという事実がすばらしいですよね。こうなると、もう富山の押せ押せ。78分、2トップになったことで相手CBの苔口へのマークがややルーズになっていました。江添のパスに抜け出してシュート。こぼれを2トップで起用されていた石田が詰めて3-2。安間采配ズバリですね。富山がついに逆転。
 その後富山は、江添→カン、渡辺→野嶋、苔口→長谷川と交代。決して逃げ切りをはかるわけではなく、さらにリスクを負って攻撃に出ていき、85分には、石田のクロスに長谷川がダイビングヘッドで飛び込み、そのこぼれ球をカンが狙い、あわや追加点の場面もありました。しかし88分、右サイドを突破され、グラウンダーのボールを途中から入った福田中央で合わせてネットを揺らす。福田健二は「さすが」といえる仕事ぶり。愛媛が同点においつきこのまま終了。3-3で終えました。
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  安間監督が指揮を執った第29節千葉戦からの全9試合を分析しましたが、[3-3-3-1]システムを起用したのは4試合でした。とはいえ、[3-3-3-1]システムとそれ以外のシステムで大きく戦い方が違うかというとそういうわけではなく、核となるチームのプレー原則は同じでしたから。全9試合、いい教材として研究させていただきました。
 この最終戦に関しては、戦術面で特筆すべき発見はなかったのですが・・・なんというか、富山の選手たちはみな気合が入りまくっていましたね。JFL時代からプレーする13人を含む14人の引退と契約満了が決まっていたそうで、試合の出ている選手たちの「彼らのために」という思いがひしひしと伝わってくる試合でした。「システムに命を吹き込むのはお前らだ!」とは安間監督の言葉ですが、何かを込めて戦う選手の姿には、システム論うんぬんを越えて、見ている人に何かが伝わるのものだと思います。サッカーにおいては、なにより大事なものを示した最終戦だった気がします。本当にいい試合でした。
[3-3-3-1]システムを読み解いてみるということで始まった富山の試合研究、いかがだったでしょうか。富山のサポーターにもチェックしてくれた方がいたようで恐縮ですね。また何か機会があれば、ということで・・・新シーズンにも期待で。
【J2:第38節 富山 vs 愛媛】安間貴義監督(富山)記者会見コメント [ J’s GOAL ]
全9試合の安間富山の「試合研究」はこちらにまとめております。

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