[試合研究]J2第34節熊本対富山から[3-3-3-1]システムを読み解いてみる


安間監督の採用する[3-3-3-1]システムでの試合分析も3試合目になりました。今回の相手は、高木監督率いるロアッソ熊本です。
富山は[3-3-3-1]        11.永冨
 28.関原  7.朝日  23.平野
  16.谷田  5.長山  27.船津
  3.堤    6.濱野  2.足助
        31.橋田
 前節からスタメン5人を入れ替え。九州での一戦だからかどうかはわかりませんが、九州出身の選手を多く起用。特に前線4人は朝日以外、総入れ替え。ワントップの永冨は長身FW。懸念の左CBには吉井ではなく堤が入った。熊本は[4-4-2]ボックス。GK南、DF築城、矢野、福王、堤、MF吉井、原田、宇留野、片山、FW松橋、カレン。
開始3分に富山がいきなり先制。
左サイドタッチライン際で谷田が素早くアーリークロス。中央での平野の落としを、関原が落ち着いてボレーシュート。これが南の逆をつきあっという間にゴールネットを揺らす。関原はフリーでボレーシュートを放ったのですが、中への仕掛けを見せる谷田の姿勢に、ゴール前に3人が飛び込んでいたことが、この状況を呼び込んだのだと思います。関原は、地元熊本でJ初ゴールを記録するおまけつき。観戦にきていたご両親も感無量といった表情。
 前半、リードを奪った富山がゲームをコントロール。前からのチェイスが献身的で、ボールの奪われてからの切り替えも早い。sそしてボールを持ってからの富山は、しっかりシュートで攻撃をフィニッシュ。一方の熊本は、富山の分厚い守備に打開策を見いだせず。中央ではアンカーの長山がしっかりつぶし役となる。懸念していた左サイドも、谷田の守備意識が高く、ボールホルダーへのアプローチが早く、素早いケアで相手の右MF宇留野に仕事をさせない。ここはCB堤選手との連係を含め、前節から改善で来ていると思います。そんなこともあって、高木監督とコーチ陣が戦術ボードとにらめっこする場面が何度も抜かれていましたね。解説の方が「サイドチェンジすれば・・・・」としきりに言ってましたが、実は富山は相手にサイドチェンジさせない戦い方をしているんですよね。1-0で前半終了。
 後半の立ち上がり、GKからのビルドアップを高い位置から関原と船津で猛プレス。右サイドでボールを奪取。縦に素早く展開して、走り込んだ永冨が押し込む・・・がっ、惜しくもオフサイド(リプレーで見ても、かなり微妙なタイミングでしたが)。熊本は57分に、松橋を下げてファビオを投入。起点となるファビオの対応で富山が少し後手になります。61分、左からのアーリークロスに宇留野が頭で合わせて同点。これは崩された形ではなく、中に人数も揃ってましたからね。宇留野のヘディングがうまかった。
 熊本はファビオにボールを集めて、カレンも広いエリアで動きまわり、富山はそこを捕まえ切れずにピンチを招いていく。70分には、中央のカレンから右サイドへ。橋田が足一本でセーブ。苔口、黒部、石田の投入を行いましたが、逆転にまでは至らず。1-1でドロー。
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 この日の前線4人は、永冨、関原、朝日、平野といつものとは違う組み合わせ。そのため攻撃は、ワントップ長身FW永冨を生かそうと、スペースに走らせるよりも、ロングボールを多用していく形が多かったですね。ただハイボールの競り合いでファウルを取られることが多く、彼自身はあまり機能していなかった印象。それ以外では、DFラインの背後に飛び出す朝日の動き出し、サイドからの仕掛けはしっかりできていたように思います。得点シーンも、縦からの仕掛けに中央へ3人が飛び込んでいた。このへんの迷いなくエリア内に飛び出していく意識も評価できると思います。あとはアンカーに長山が入ったことで、守備のつぶしはできる反面、真ん中からのパスに展開には、ややバリエーションが少なくなった印象もある。
 守備に関しては、前半はパーフェクトに近い出来だったのでは。単純に中盤にボールを入れられれば、3枚が3段重ねで並んでいるのだから、人数は相手より多く、挟み込みやすい。あるいは中央を堅くして、サイドにボールを出させて、そこを奪いどころにしてしっかり奪い取る。改善が求められた左サイドも、谷田の守備意識が高まっており、熊本の攻撃を手詰まりにさせていました。前半はさぞかしやりにくかったことでしょう。
 しかし後半、運動量が落ちた上に、高さを使いながらサイドでキープをするファビオが入ってから、そこにCBが引っ張られて横にゆさぶられて熊本ペースになってしまった感はありました。失点場面に関しても、アーリークロスでサイドを揺さぶられた形です。この試合のように、後半になるにつれて選手の運動量が落ちると、どうしてもサイドのスライドが遅れたり、プレスバックもかかりにくくなりますからね。ゆえにサイドにスペースもできやすくなりますから、その問題をどうごまかしていくか。このへんは、机上ではなく、実戦を経験して現実的な改善策を見つけていくしかないのかな、という感じです(ただこの日に関しては、富山が通常7~8℃だったのに対して、熊本は22℃~23℃だったとのこと。気候的な影響もあったかもしれません)。
 いずれにせよ、この時期まで昇格の可能性を残していた熊本に善戦しての引き分け。チームとしても安定した力を発揮できるようになってきていると思います。残り4試合、この[3-3-3-1]システムの成熟度が楽しみです。
J2:第34節 熊本 vs 富山】安間貴義監督(富山)記者会見コメント [ J’s GOAL ]

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