映画「3月のライオン」DVDを買いました〜棋士という生き方。


どうも、いしかわごうです。最近買ったもの。

映画「3月のライオン」の豪華版DVD。本日は後編の発売日です。

 劇場でも観ましたけど、やはり良い映画ですね。

将棋の映画なので、もちろん対局シーンも好きなんですけど、個人的に「棋士らしさ」を一番表現していると思うのは、川の見える自宅のワンルームで将棋盤に向かって正座で研究し続ける零くんの後ろ姿のシーンだったりします。

棋士の強さって、黙々と盤に向かって過ごす作業であったり、それを通じて「自分と向き合う」いう時間の積み重ねで成り立っているんだろうな、と思うんですよね。

 佐藤康光九段(将棋連盟会長)の新著「長考力」(幻冬社新書)によれば、プロ棋士の1週間の過ごし方は、一般のサラリーマンよりはプロサッカー選手と似ているかもしれないとの記述がありました。

 試合にあたる対局は週に1局程度で、残りの日は休養や対局に向けた研究、他の棋士との研究会、イベントや指導対局をこなすというサイクルだからです。確かにサッカー選手に似ています。ただ違うのは、将棋は個人競技だということ。サッカーチームのように団体で集まり、練習することはなく、監督やコーチというのもいません。

これがチェスだとコーチやトレーナーという存在が確立されていて、世界大会になると、チームでサポート体制を組んで出場するそうです。

一方の将棋の場合は、師匠はいても日常的に将棋を教わる存在ではありませんし、研究会(棋士同士で練習試合をする集まり)があるぐらい。

対局以外の仕事とのバランス、休みの取り方などは、自分ですべてマネジメントしていくわけです。対局では勝敗がついてまわりますから、その結果も受け止めなくてはなりません。これは相当大変だと思います。

渡辺竜王は自身の著書「渡辺明の思考」(河出書房新社)という本の中で「プロ棋士のなかでも、自分の将棋をマネジメントしている人がどれくらいいるか。自己分析をして、足りない部分を補う。そういうアプローチを正しい方向で行うことは、かなり難しいと思う」と語っています。

言い換えれば、自己分析をしながら課題を正確に抽出し、その上で正しいトレーニングを行っていかなくては、天才たちが集まる棋士集団の戦いでトップクラスでは戦い続けられないとも言えるわけです。

トレーナーやコーチといったアドバイスをくれる羅針盤のような存在や環境があれば少しは違うのでしょうけど、プロ棋士にはそれがありません。全部自分でマネジメントしないといけない・・・・本当に大変な世界だと思います。

棋士が自宅で将棋の研究をひとりでしている時間というのは、例えが適切かどうかはわかりませんけど、きっと鶴の恩返しにおける「鶴の機織りの時間」のようなものだと思っています。強くなるためには、誰にも見られずに秘密の研究をする孤独な作業が必要なわけです。映画の後編では伊藤英明演じる後藤九段も対局に向けて自宅で研究作業に没頭している姿があったりしました。

その研究の結果として対局の勝った負けたがあるわけで、その研究が必ずしも報われるわけではありません。棋士の現役生活は長いですから、それでも、このマネジメントを、10年、20年、30年と行っていくわけです。気が遠くなりそうですが、棋士という生き方を選んだ以上、そういう日々なわけです。自分が棋士のみなさんに惹かれるのは、そういう姿勢に対する尊敬が根底にあるとも言えます。

・・・とまぁ、映画の中身については全然語ってませんが・笑、原作ファンも納得の映画になっているし、将棋に興味がない人が見ても面白いので、ぜひ見て欲しいですね。個人的には、伊藤英明演じる後藤九段と、佐々木蔵之介演じる島田八段による、盤上でのガチンコの殴り合いと、おやつタイムでも譲らないガンの飛ばし合いのシーンが大好きです。

特典映像や付録も充実していて、前編の豪華版のほうには桐山零くんが表紙の将棋世界や宗谷名人の写真集が付録としてついてきます(後編の特典映像はまだ見てません)。

前編の特典映像を見ていたら神木くんは後藤九段が好きなのね。「島田強かったろ?」 「A級 ナメてんじゃねーぞ」は、確かにカッコイイ。というか、伊藤英明さんの目ヂカラがすごい。

もちろん、原作もオススメです。

ではでは。





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