どうも、いしかわごうです。
本日もリオ五輪出場を決めたU-23日本代表のことを。
試合後の記念写真。
“勝てない世代”が乗り越えてきたもの…U-23代表・手倉森監督「信じるしかなかった」 https://t.co/BA86YbPG50 #gekisaka #daihyo pic.twitter.com/kdB57PuMzV
— 講談社ゲキサカ[サッカーサイト] (@gekisaka) January 27, 2016
最前列の人、目立ち過ぎです・笑。
昨日のサッカーニュースでは、それぞれの番記者が温めていた手倉森監督のエピソードが発表されてますね。僕が一番面白かったエピソードは、サンスポさんのこれですね。
手倉森監督、競馬で全財産1200万円する…鹿島クビで自棄、高かった授業料
選手時代の1992年、プロ化1年目の鹿島をクビになった時だ。「故郷の青森で居酒屋でもやろうか」。やけになって足を運んだのが競馬場。1200万円あった全財産の半分を1日で使い切り、翌日に負けた分を取り戻そうと残りの600万円で購入した1点買いも外し、無一文になった。
「俺は何をやっているんだ。もう死ぬしかないか」。そんな時、NEC山形(現J2山形)から声がかかった。「サッカーでもう一度頑張ろうと決心した」。酒はやめられなかったが、ギャンブルはきっぱりと断った。
・・・二日で1200万円をすってしまうとは、なかなかの破天荒ですね。
手倉森監督が良い監督だなぁと思ったのは、ベガルタ仙台を率いていた時代の記者会見を見たときですね。
これは僕の持論なんですけど、監督としての力量や、もっといえば人間性をはかりたければ、負けた試合のときの監督会見の振る舞いを見れば良いと思っています。
負けた時に、どんな顔で何を話すか。そこで審判の判定が不利だったとか、ピッチコンディションに問題があったとか、そもそもクラブの予算規模が違うから、などといった要因を、ほぼ毎回のように言及し始める指揮官は、なんだかなぁ、という気がします。
そんな中、対戦相手の監督の記者会見で、「この人は面白いなぁ」と、毎回うならされる監督がいました。
それは反町康治監督と手倉森誠監督です。
まず反町監督は、話が面白いですよね。
単純に語彙力があってコメント力が高いです。監督コメントを読めばわかると思いますが、海外サッカーの旬なトピックを引き合いに出したり、必ずどこかにユーモアをまじえて、自分なりのコメントを提供していますよね。記者とのやりとりも、どこか楽しんでいるような感じすらあります。
そしてもうひとりが、手倉森誠監督です。
彼は負けた試合後の監督会見でも常に堂々と、あの低いトーンの口調で話していて、まるで動じた様子がありません。それでいて、負けても真顔のまま得意のダジャレも飛ばして会見場をなごませてから(滑るともいう)帰っていくので、毎回感心していました。
「なんであんなに堂々としてるんだろう?」と疑問に思っていたんですけど、その背景には競馬で1200万円すって全財産を失った過去があったんですね・笑。そりゃあ、ちょっとやそっとの「負け」ぐらいでは動じないですわ。納得しました。
ただし、そんな手倉森監督が、勝って号泣した試合があります。
それが2011年、東日本大震災後の再開初戦となった等々力での川崎フロンターレ戦です。
正直、フロンターレとしては悔しすぎる等々力での逆転負けでした。
ただ去年、角田誠に当時の話を取材したとき、手倉森監督が感極まった泣く映像を見て、彼はもらい泣きしたそうです。
「あんなに強い人が、試合後に涙を流していた。手倉森さんは僕らの前では気丈だったし、常にポジティブなことしか言わなかったんです。『サッカーのありがたみを感じろ。自分らのためじゃなくて、被災した人たちのために戦え』と、ずっと言っていた。千葉でキャンプしているときも、『貸してくれる人に感謝しろ』と言い続けていた。あの人が涙を流していたので… 」
角田にとって、手倉森監督から受けた影響はあまりに大きい。
「あの人の人間味ですね。考えさせられる言葉が多かった。例えば、『勝って謙虚に、負けて落ち込まず』。若い頃の自分は負けた時はすごくイライラしていたけど、そこであまり落ち込まなくなりました。それに2年目、3年目になると震災のことを忘れそうになる瞬間もあるんです。でも常に『復興の為に』という言葉を言ってくれて、それで思い出すことができた。サッカーの技術はそこまで教わってないんですが(笑)、人間性がサッカーにも影響すると気づきました。できれば、もう少し若い頃に手倉森さんに出会いたかったです」
(「それが、運命(さだめ)だ。」より)
手倉森監督の人間性が垣間見れますよね。
今回のU-23日本代表の戦術的な面の分析をすると、正直、素晴らしいサッカーを展開していたとは言い難いものがあります。負けていてもおかしくない試合もありました。ただ相手を圧倒したり、美しいサッカーで大勝したりはしないけど、そのかわり、とにかく負けにくい。今回のU-23日本代表はそういうチームでした。この角田誠の談話を聞いていても感じましたが、手倉森監督は、人身掌握術とチームマネジメント力に優れているんですよね。
グループステージからの5連戦、チームのマネジメントも見事でした。
「勝っているチームはいじるな」というのはサッカーのセオリーですが、過密日程ならば、主力を外すターンオーバーで臨んで、うまく連戦を乗り切る。もちろんサブの選手も腐らずに、出番が巡ってきたら、しっかりと仕事をする。その結果、毎試合日替わりでヒーローが出てくるという、良いチームの循環が生まれたわけです。チームのベクトルを一つにして、うまく結果に結びつける手腕に長けています。これは偶然ではなく、確実に手倉森監督の力だと思います。
ちなみに手倉森監督のバイブルは、この空海の金言の本らしいですよ。
出場切符はつかみましたが、決勝戦が残ってます。相手は韓国代表です。ここまできたら、アジアのてっぺんになって、帰ってきてほしいですね。準決勝勝利後、涙は見せなかった手倉森監督。優勝したら、もしかしたら、泣くかもしれませんね。
ではでは。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。