等々力取材:鹿島戦。







 鹿島戦は1-3で敗戦。
等々力では相性が良かっただけに、残念ですね。

 試合後のミックスゾーン。
大久保嘉人は、集まってきた記者に一言、二言だけ伝えて、そのまま選手バスに乗り込んで行きました。自分はこのとき別の選手の囲みをしていたので詳細はわからないですけど、試合後の彼がコメントをせずに立ち去るのは、かなり珍しい光景・・・というか、自分が知る限り、フロンターレに来て初めてかもしれない。勝敗に関係なく、もっといえば、父親が危篤状態の試合後でも、メディア対応をしていた選手でしたから。前日練習後に取材したときもチームの現状に苦言を呈していただけに、彼なりによっぽど何か思うところがあったのかもしれない。

 試合全体を振り返ると、鹿島は強かったと思います。

 なんというか、手堅いですよね。
アウェイということもあり守備から入って前半は0-0でしのぐというプランだったのでしょう。前半の鹿島の攻撃と言えば、ロングボールに目がけて、ツートップのどちらかがサイドの深い位置に流れて、相手のディフェンスラインを下げさせながら起点を作るという、リスクもおさえたもの(これはオリヴェイラ監督の頃からの常套手段)。あるいは、守備の連係が不十分なマイアとエウシーニョのサイドを、カイオの個人技で勝負させるぐらいの印象でした。

 無失点狙いだっただけに、そこでフロンターレが先手を取っていれば、鹿島を慌てさせることができたのでしょうけど、それが出来ず。逆に後半にギアをあげた鹿島に2点取られると、その後はうまくゲームをクローズされました。5連勝が自信になっているのだと思いますが、ゲーム運びをみていても、勝ち慣れ始めている感じです。

 ゲームコントロールを含め、鹿島は強い相手でした。ですが、それを差し引いても、気になるのはフロンターレの現状。いろいろ指摘したい部分はありますが、一番は、目に見えてボールロストが多すぎること。そこに違和感を覚えます。

 このチームは、約束事がそれほど多いわけではないです。ただ絶対的な約束事として「ボールを失わないこと」があります。これは風間監督が就任した最初の練習で伝えたことで、4シーズン、ブレずに一貫してます。もちろん、試合中のボールロストやミスをゼロにすることは事実上、不可能に近いのはわかってますが、できる限り技術と意識を高めることで、チームのクオリティーを保ってきました。

 でも、今はそこがちょっとおかしい。
「今までは当たり前のようにできていたことが、何本に一本しか出来ていない。ここに来るだろうと思って走っていたら、逆の足にボールが来るということが多い。誰が悪いとかじゃなくて、それを擦り合せ切れていない」と、厳しい表情で口にしていたのは中村憲剛。

 例えば、受け手が相手のマークを外す。動き出したその受け手の足元に、強くて速いボールを出し手がつける。この緻密な作業の連続性で局面を打開していくチームのはずなのに、そのパスのタイミングがあっていないわけです。

 受け手が準備していないときに、出し手がパスを出す。受け手が準備しているのに、出し手のタイミングがずれる。だから受け手のトラップも、出し手のパスもずれるし、簡単に相手ボールになったり、タッチラインを割ってしまっている。そういうボールロストが続くと、今度は慎重になって味方の足元にばかりに通そうとする、いわゆる「足元パス」ばかりなって、パス回しが目的化してしまう悪循環。これは厳しいです。

 ただ、小林悠→大久保嘉人→エウシーニョとつないで決めた得点場面のように、うまくいっているときは、相手の守備対応に関係なく、3人がちゃんと崩せているわけで。できているときはシンクロできているだけに、もどかしさがつのりますね。

「もっとチーム全体の質をあげていかないといけない。ヨシトさんやケンゴさんのレベルに周りの選手が追いつかないといけないし、そこを基準にやっていかないと」と、危機感を口にしていたのは車屋紳太郎。選手のトラップがうまくいかないから、パスを出す技術が低いからといって、風間監督がフィットしていない選手のレベルに合わせたサッカーをさせるかというと、決してそんな妥協はしない人でしょうから、それをわかっての発言だと思います。

 天皇杯を挟みますが、リーグ戦は2週間のインターバルがあります。
レナトの電撃移籍があった7月が「激動」ならば、8月は勝ち無しと「苦難」ばかりでした。来月は「進撃」の9月になるよう、建て直してもらいたいと思います。

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ではでは。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。





2 comments:

  1. 今シーズがこのままの感じで終わったら、大久保選手が移籍してしまうのではないかと不安です。それぐらい、チームの現状に納得していないと感じました。

    象徴的だったのが、後半、ゴール前に走り込んだのにパスが来ず、ピッチを何度も叩いて悔しがっていたシーン。

    (選手が誰だったか分かりませんが(中野選手?))左サイドの深い位置までえぐったのに、パスを出した先はマイナス側。
    ゴールに向かって勝負をしない雰囲気が漂っていたので、鹿島のDFが読み切ってパスカットされました。

    そのシーンで唯一ゴールに向かって、パスが出てくると信じて走っていた大久保選手。
    言いたくはないですが、レナトであればシュートかシュート性のクロスが入って、大久保選手が走り込んだあの位置にボールが来たはずです。

    確実につなぐのはいいのですが、あまりにゴールへの意識が低すぎると感じます。
    得点シーンのように、シュートを意識していたけど空いている選手がいて、より確実性を高めるためにパスを出すのはいいのですが。
    パスがファーストチョイスではなく、ゴールへの意識、シュートこそがファーストチョイスで、その他の選択肢としてのパスを出してほしいです。

    ただ、個人的には、ここ最近の試合に比べると、少し兆しが見えたような気がします。
    試合後のサポーター席は軽いブーイングもありましたが、試合の序盤、あるいは後半開始直後の曽ヶ端選手の2回のビッグセーブに合わずに先制点をとれていれば、という試合だったと思います(そのすぐ後に先制点を奪われただけに)。

    「意識」の部分は、我々には見えません。
    ですから、もしかしたらシュートの意識があってのパスかもしれません。
    ですが、鹿島の選手のプレーを見ていると怖さを感じていないと思うので、ゴールへ向かう意識は高くないのだと思います。

    僕は、風間監督のサッカーが好きなので。
    何とか選手が、ボールをロストすることを怖がらずに意識を持って、勝利を手にして「自信」を得て。
    また、攻撃的で見ていてワクワクする、フロンターレのサッカーを、等々力で負ける気がしないサッカーを、見せて欲しいです。

  2. 上記のまささんのコメントに同感です。
    「シュートこそがファーストチョイス」、ゴールへの執念、体を張って守る勇気、奪う勇気、……またあのワクワクするサッカーが見たいです。

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