土曜日はニッパツで横浜FC対カターレ富山戦を取材。
試合は2対1で横浜FCが勝利。川崎フロンターレから移籍した黒津選手が先発で1得点1アシストの活躍でした。今シーズン2点目。
この試合のヒーローでしたから、試合後のミックスゾーンでもあまりゆっくり話すことはできませんでしたが、「ヘディングゴール、珍しいですねー」と話しかけたら、「間違いないっす」と、はにかんでおりました。▲(クロさんかっけぇー)。
ここ2年の黒津選手を見ているだけに、どうしても身体の状態が気になってしまうのですが、「コンディションはいいですよ。再発もないですし。キャンプで痛めたのは別の場所でしたし」と完全復活を遂げたようです。J1でのサッカーとの違いにも苦労しつつ、「今の順位にいてはいけないチームだと思うので、やりがいはありますよ」と充実しているようでした。
さて、試合のことも。
ポイントの一つとして、サイドの引っ張り合いがあったと思います。まず試合の立ち上がり、主導権を握っていた横浜FCは左サイドハーフの内田選手が3トップ気味で高い位置を取っていたんです。[3-4-2-1]の富山の対応としては、右アウトサイドの國吉選手が内田選手についていき、状況によって3バック右の平出選手に受け渡しながらケアしているのですが、序盤は自陣に押し込まれていたため、高い位置を取る内田選手に國吉選手がどうしても引っ張られてしまっていました。
そうなると「浮いて来る」のが、横浜FCの左サイドバックの中島選手です。彼がフリーでボールが持って攻撃を展開しやすくなるんですよね。中島選手のフィード精度は秀逸です。そして大久保選手の先制点は、この中島選手の絶妙なサイドチェンジに抜け出した黒津選手の突破から生まれました。
ただこの場面、失点した富山側からすると、さほど問題ではありませんでした。サッカーはサイドチェンジしたから1点になるわけではありませんし、しっかりと横にスライドして対応すれば良いわけで、実際、ちゃんと準備できていました。
サイドチェンジを受けた黒津選手が仕掛けていたあの場面、富山は左CBの池端選手が応対したわけですが、両者のスピード勝負もなかなか見応えがありました。
「黒津くんはスピードが凄くあるけど、ゴール前のフィニッシュの精度は少し落ちる。だから諦めずについていけば、なんとかなると陽介(池端選手)に言っていたのですが・・・2人抜かれるとは(苦笑)」とは安間監督の言葉。あの場面では中央の御厨選手もカバーリングに行っていました。サイドチェンジされて1対1ならまだしも、2対1の局面で守れていたんです。シュートに対してもブロックしていたのですが、こぼれ球を拾った黒津選手に粘られてしまい、最後は大久保選手がプッシュ。
富山は自陣に4人戻っていた状況にも関わらず、大久保選手と黒津選手の2人だけにやられてしまいました。なんとも悔やまれる失点でした。
その後は富山も同点に追いつき、盛り返したのですが、後半、CKから黒津選手のヘディングで横浜FCがリード。黒津選手が「ラッキーだった」と言ったように、ニアにいた朝日選手の頭でのクリアボールが黒津選手への絶妙なクロスとなってしまい、ヘディングで流し込んだ形です。結果的には、これが決勝点になりました。
試合後、國吉選手を取材しましたが、前半の失点シーンに関しては、やはり最初の時間帯は、サイドの対応の連係がハッキリできていなかったようです。サイドチェンジされたときは、後ろがスライドするので、あそこは(中島選手)のところは自分がボールに出て行かないといかなかったと。ただそれを修正してやり始めてから、破綻はなくなったと。それでもチームは勝ちにもっていけません。
「結局、勝ち切れないのは自分たちの弱さ。内容どうこうもあるが、それプラス力強さ、勝負強さがないと。プロが求められるのはそこなので」
その現状にかなり歯がゆい思いをしているようでした。
大敗はしないものの、接戦を演じても、それをモノに出来ず、ジワジワ順位も下がってきて苦しくなってきています。「我慢比べですよ」と安間監督。富山は踏ん張りどころですね。