ワールドカップ予選イラク戦。
最終節がお休みのため、日本はこれが最終戦です。試合は後半44分にカウンターで岡崎選手が決めた1点で逃げ切り、1-0で勝利。まさに辛勝でした。
「うーん・・・」という試合内容でしたね。
まずメンバーについては、最終ラインにCBに伊野波選手、右SBに酒井宏樹選手。中盤は、ボランチに細貝選手、トップ下に香川選手、左に清武選手、そしてワントップにハーフナー選手と言った具合が変更点です。先発が期待された憲剛選手は、残念ながらベンチスタートとなりました。
おそらくザックの頭の中には、コンフェデの連戦を想定して試しておきたいものがあったのでしょう。そんな顔ぶれではありましたが、これが機能したかというと”否”でしょうな。
試合内容うんぬんよりも、まず選手達の動きが、かなりしんどそうな感じを受けました。
テレ朝の中継によれば、風が強く、空気が乾燥していて眼が痛いほどだと言っていました。それでいて給水タイムが設けられるほどの30度越えの暑さですから、気候としては相当に過酷だったのだと思います。サッカーは体力を使いますが、それ以上に選手の思考力が鈍るような環境だったのではないでしょうか。日本は勝ちが絶対に必要な状況ではなかったですが、内容をテストにも不向きな条件で、なんか難しかったですね。
一方、日本に勝たないといけないイラクは、結果最優先であり、やるべきことをシンプルにして徹底してきた印象です。地上戦ではテクニックのある選手よりも、スピードのあるアタッカーをサイドに走らせて勝負。そしてシンプルなロングボールで日本の最終ラインに圧力をかけてきました。
これに手を焼いていたのは事実ですが、伊野波選手と酒井宏樹選手の入った守備陣は、全体的にそつなくやっていたと思います。チーム全体が間延びしてしまったことで、カウンターを受けた場面も何度かありましたが、局面勝負に晒されながらも冷静に対応。ロングボールの処理を含め、劣勢の時間帯でも粘り強く守り、及第点での出来だったのではないでしょうか。
攻撃陣は機能しませんでしたね。
暑さで動き出しが少なかったというのもあると思いますが、ワントップのハーフナー選手、トップ下の香川選手の持ち味が活きる場面が少なく、完全なる消化不良に終わりました。特に香川選手は、やはり活かされるプレイヤーだとあらためて感じました。自身の良さである、相手を外してフリーになった瞬間に走りながらボールを受けてスピードに乗る動きも、そのタイミングで足元にボールをつけてくれる味方がいなければ、マンUのようには輝けません。本田選手のようにバイタルエリアでも身体でキープできるタイプではないのですから。
攻撃陣であえて評価するならば、清武選手でしょうか。
前半31分の場面。香川選手が中盤の底まで下がって相手のマークを引きつけた瞬間、清武選手が左から中央に寄っていき、わざとサイドバックがつきにくい間の位置でボールを受ける。そこで生まれた左サイドのスペースに長友選手がオーバーラップ。高い地位で起点を作って清武選手が絡み、クロスにハーフナー選手がヘディング。完全なる決定機でしたし、いい連係でした。こういう崩しをもっと観たかったですね。
憲剛選手は後半の残り25分という場面で清武選手に代わって登場。トップ下に入り、香川選手が左サイドにスライドする形になりました。
ただ捨て身の攻撃に出てきていたイラクに押され続ける展開でしたし、中盤も間延びしていて、なかなか憲剛選手のところにまでボールが運ばれてこず、ボールタッチ自体が少なかったですね。ボールを持ったときは持ちすぎず、シンプルにさばいてテンポをあげていたのはさすがでしたが、ボールに触る回数自体が少なかったので、「これぞ中村憲剛!」という見せ場を作れませんでした。やはり試合の始めから観たかったですね。
それでも岡崎選手のゴールで勝ち切ったので、深夜まで起きて観ていた日本のサッカーファンも報われましたが。ただ収穫という点では物足りなかったと思います。これを受けてザックがコンフェデのグループリーグ3試合をどうやりくりするのか。
それにしても、この試合が行われたのはカタールのドーハでした。あのドーハの悲劇が1993年ですから、あれからちょうど20年ですか。いろいろ考えさせられますね。そりゃあ、僕も年を取るはずだわ・笑。
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