国立観戦〜94年アメリカW杯のフランコ・バレージを語れ。


 昨日は国立競技場に。
日本OB対イタリアOB戦を観戦してきました。
いしかわごうオフィシャルブログ「サッカーのしわざなのだ。」
取材ではなく、イチサッカーファンとしてチケットを買って観に行きました。友人とビールを飲みながら、気楽に。天気がもの凄くよかったので、ビールも進みましたね。
 なんといってもロベルト・バッジョです。
僕にとっての一番のスーパースターです。マラドーナよりもバッジョ世代ですから。この思い入れを語り出すと、たぶん一冊の本が書けます・笑。ブレッシアのバッジョユニフォームを着て観戦しましたよ。
 お目当ては監督兼選手のロベルト・バッジョでしたが、ヒザの状態が思わしくないらしく出場せず。残念でしたが、同じ空間にいれただけでも嬉しかったです。
 試合は2-2でドロー。ヴィエリが2点、日本側はカズ、福西崇史の得点でした。ラモスさんがめっちゃ気合いが入っていたり、ヴィエリが相変わらずの重戦車で、カズは相変わらず、ゴール前でまたぎフェイントしてました。楽しかったですねぇ。
 せっかくなので、ここはこのOB戦でも鋭い読みを利かせてパスカットを連発して、僕の胸を熱くさせていたフランコ・バレージについて語りたいと思います。どうせみんなバッジョばっかり語ってると思うんで・笑。
 フランコ・バレージといえば、90年代のACミラン黄金期にそのディフェンスラインを支えた選手。当時、世界最高のリべロと評され、現在に彼の背番号6がACミランで永久欠番になっている事実だけでも、その偉大さはわかっていただけると思います。
 バレージの記憶といえば、94年のアメリカワールドカップ決勝戦ですね。日本がドーハの悲劇で出場を逃した大会です。そしてロベルト・バッジョがPKをはずした大会としてサッカーファンに語り継がれることの多いアメリカ大会だけど、このイタリアの主将・バレージがたどってきた決勝戦までの道のりも相当凄かったんですよ。
 イタリア代表の主将であり、カテナチオの要であるバレージは、チームの絶対的な存在。しかし、グループリーグにひざを負傷し、戦線離脱をよぎなくされてしまう事態に。DFラインの4人を全員ACミランの選手でそろえ、世界最高と名高いイタリア守備陣。その最終ラインを奏でる、指揮者バレージの負傷。その度合いも、「復帰には手術が必要」という絶望的な怪我により、バレージのアメリカワールドカップはここで終わりを告げてしまう・・・はずでした。
 しかし、ワールドカップ制覇にすさまじい意地を見せるバレージは、なんと大会期間中に手術をし、さらに決勝戦のみに照準をあわせてリハビリをこなし、その不屈の闘志で見事決勝戦のピッチに立ってしまうんですね。
 決勝戦のためだけに手術を行い、リハビリをこなす決意だけでも相当な覚悟が必要だと思うのだけど、かりに手術が成功してリハビリを終えたとしても、イタリア代表が決勝戦まで進めなければ、その努力は水泡と化すわけですから。
 しかも、主将・バレージの負傷と、エース・バッジョが絶不調だったので、このときのイタリア代表はグループリーグ突破すらあやういチーム状態でした。そんな状況でも、わずかな可能性にかけて、バレージは手術を決行。チームのことを信じていないと、絶対にできない決断でした。
 そしてここからのイタリア代表の戦いぶりが見事。(当時のレギュレーションにより)グループリーグ3位でギリギリで決勝トーナメントに滑り込むことのできたアズーリは、エース・バッジョの復活劇により、ナイジェリア、スペイン、ブルガリアと撃破し、奇蹟のようなドラマを起こしてついに決勝戦にまで駒を進めるわけですよ。「バレージのために、決勝まで行こう!」を合言葉にして。
 そして、いよいよ迎えたブラジルとの決勝戦。
ともに、ワールドカップ最多となる4度目の制覇をかけてのぶつかり合いとなった両国ですが、ここにたどり着くまでの道のりは実に対照的でした。
 得点王を狙うロマーリオを軸に、ほぼベストメンバーで順調に決勝の舞台に勝ち上がってきたカナリア軍団。一方のアズーリはというと、あまりに満身創痍。試合当日の朝まで出場が判断できないほど脚に爆弾を抱えていたエース・バッジョ。そして、リハビリを終えたばかりの主将のバレージが決勝戦のみ戦列に復帰。物語としてはドラマティックではあるけれど、互いのチーム状態を比較すると、その差は歴然。下馬評はやはりブラジル有利でした。
 しかし、いざ試合が始まってみると、リハビリ明けのバレージが、見事にディフェンスラインをコントロールして、当時世界最高と言われたロマーリオとベベトのブラジル攻撃陣を鮮やかに完封してみせるのである。バレージの指揮する、老獪かつ芸術品のようなラインコントロールの前に、攻めあぐむブラジル攻撃陣。さらに、チャンスとみるや積極的に駆け上がり、最終ラインから最前列へと攻撃参加するリベロ・バレージ。灼熱のピッチで、味方選手を追い越してグングンと走り出していく、このベテランアズーリの姿が、なんとまぶしかったことかっ!
 結局、試合は90分を通じてスコアレスドロー。
さらに延長戦を終えても得点がなく、ワールドカップ史上初のPK戦へともつれこむことに。
 手術明けの復帰戦がワールドカップ決勝戦。しかも120分間にわたって、ブラジルの攻撃陣を完封で食い止めた立役者となったバレージは、紛れもなく勝者でした。しかし、彼にはまだ最後の役割が残っていた。PK戦におけるイタリアの一人目のキッカーである。PKの流れを作るといわれる、最初のキッカーという大役をまかせられるのは、主将のバレージに他ならなかったのだ。
 全世界の人々が見つめる、ワールドカップ決勝のPK戦。その一番を蹴る彼にかかるプレッシャーたるや、いかなるものだったのだろうか。しかしバレージの蹴ったボールはゴールバーを越えて外れてしまうのである。次の瞬間、その場で泣き崩れるバレージ。
 誰もが声を失う中、PKで対峙していたブラジルのGKタファレルが、崩れたままのバレージにかけより、こう励ましたそうです。

 「PKをはずしても、キミが世界最高のDFであることには変わりないじゃないか」

 試合中である。それも世界一を決める、ワールドカップ決勝戦のPK戦の最中だ。にもかかわらず、こういうコトバで相手を励ますことのできるタファレルは、本当にすばらしいGKだと思う。心の底から尊敬できますね。
 結局、ワールドカップを掴んだのは、ブラジルでした。
5人目のキッカー・ロベルト・バッジョがはずし呆然とする中、ブラジルの優勝が決まったシーンは、あまりに有名ですね。そしてバレージの泣き崩れる姿も。
 あのときのアメリカ大会のメンバーだったバレージやバッジョ、コスタクルタやパリューカ、ディノ・バッジョが目の前でプレーしていたんですから・・・そりゃあ、僕も胸が熱くなりますよ・笑。
 とても楽しいOB戦でした。
バッジョ含めて、またいつか見たいですね。
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