今日のエルゴラ。

今日、19:00からキックオフになるナビスコ2回戦2ndレグのプレビューが掲載されております。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
 フロンターレのページは、プレビューに加えてコラムも掲載しております。プレビューでは、前日の練習風景と相馬監督の囲み取材、選手の様子から想定した戦い方やゲームプランやについてあれこれ書いています。去年まで横浜FMに所属していた田中裕介選手は、過去のナビスコカップでの対戦も振り返って、「去年は勝ったけど、乗り込んでくる側としては、等々力はやりにくかったですよ」と言っていました。等々力のパワーに期待ですね。
コラムは、ジュニーニョについて。清水戦でもモロモロのありましたが、コラムは彼がナビスコカップ2ndレグでこれまで起こしてきた奇跡の数々について触れる内容になってます。
等々力に向かう際のお供にどうぞ。
あと日曜日の栃木対熊本戦のマッチレポートも書いてます。
あまりスペースがもらえたわけではないので、戦術的な部分は詳しくは書けず、”流れ”だけ書きました。読んでやってください。
4点差に・・・・挑むーって方はクリック。
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本日の麻生取材。

今日は朝から麻生へ。
この時期は、服装選びに困りますね。朝は肌寒いと思いきや、お昼になると天気が良くて、ちょっと上着が邪魔だったり・・・・まぁ、秋になっているのを感じますわ。
 明日のナビスコカップ2ndレグ・横浜FM戦に向けた取材をしてきました。1stレグを0-4で負けたので、等々力で巻き返すためには、フロンターレは無失点が前提で、90分以内に5点以上、あるいは4点取って延長戦に持ち込むしかありません。非常に困難なミッションです。
 選手が口にしていた合言葉は「1点ずつ」。
サッカーの場合、野球のような満塁ホームランがあるわけでも、バスケットの3ポイントシュートがあるわけでもないですからね。90分の中で、地道に1点ずつ返していく作業を我慢強くしていくしかありません。そんな中、田中裕介選手は「20分で1点ずつ返していけば、残り10分で追いつける計算になりますよね」と言っていました・・・確か、キャプテン翼の東邦学園対武蔵中学戦で三杉くんもそんなことを言ってたな・笑。もし前半終わって2-0だったりしたら、等々力を包む「もしかしたら」の雰囲気、すごいでしょうね・・・。
 あとゴールキーパー杉山選手に取材が終わってから、雑談がてらこんな質問をしてみました。
「もし3-0で勝っていて、ロスタイムにCkのチャンスのシチュエーションが来たら、杉山さんはゴール前に上がっていくタイプ?」
 杉山選手の答えは「行きたいですねー・笑」でした。よかった、よかった。
これは個人的な意見ですけど、味方が負けているときのラストチャンスで巡ってきたコーナーキックで、攻めあがっていくゴールキーパーの姿って、すげぇ好きなんすよ。リーグ戦の場合は、最終的には得失点差も関係するから、なかなか難しいかもしれませんが、勝つか負けるかのトーナメントだと、そんなん関係ないじゃないですか。だったら、ダメ元でもいいから、ワンチャンスにかけて欲しいんですよ。「もう・・・いけよ!あがれよ!」とか普通に言ってますからね、おれ・笑。杉山選手のシュートシーンにもほんのちょっとだけ期待です。
 エルゴラのプレビューの扱いが思いのほか大きかったこともあって、取材後すぐにプレスルームで原稿を2本書き上げて入稿。けっこうタイトでしたわ。
 帰りは、取材を頑張ったご褒美に、川島永嗣選手の著書「準備する力 夢を実現する逆算のマネジメント」をどや顔で購入。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
まだ途中までしか読んでないのですが、長谷部選手の「心を整える」テイストな作りなのかなと思ったら、予想以上に硬派な作りと内容だったのはちょっと意外でした。川島選手が行っている自己管理について詳しく書いてますね。
ただ硬い内容ばかりではなく、本書の中では「どや顔」についても触れるページもあったりしますので、ご安心を・笑。
準備する力 夢を実現する逆算のマネジメント/川島 永嗣

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不器用なドリブラー

 昨日購入した本を紹介します。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
 「不器用なドリブラー」
JFLのFC琉球で現役を続けている40歳・永井秀樹選手のノンフィクション。グイグイと読み進めてしまいました。
 Jリーグ開幕の頃、永井秀樹が40歳まで現役を続けていると思った人はいなかったんじゃなかろうか。Jリーグ元年の93年からJクラブに所属していた選手で、今も現役プロサッカー選手としてプレーしているのは、カズ(三浦知良選手)と永井選手だけ(ゴンこと中山雅史選手が所属していたジュビロ磐田は、J初年度はJFL1部のクラブだった)。実際本人も、まわりから「永井さん、まだやれるのになんで?」と言われながら引退するつもりだったそうだ。
 そんな彼がいまだ現役にこだわる理由とは・・・カズともゴンとも藤田俊哉とも違う生き様が詰まっている、非常に濃い一冊だった。
 06年~07年の2シーズンは、J2の東京ヴェルディでプレーしている。
ピッチ内外でかもし出す雰囲気は、やはり他の選手とは違う存在感がありますね。プロフッショナルでありながら、どこかミステリアスな人だったな、という印象。ピッチ内では、ジョーカーとしてきっちり仕事を果たす職人として、J1復帰に多大な貢献していました。ラモス監督は事あるごとに「ボクは永井秀樹のファンなんだよ」と言っていましたね。本の帯の推薦文もラモスさんが書いてます。
・・とまぁ、止まらなくなるので書評は後日しっかり書きますね。
不器用なドリブラー/会津 泰成

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グリスタ取材。

昨日はグリーンスタジアムへ。
エルゴラからの取材で栃木SC対ロアッソ熊本戦に行ってきました。大宮駅からMAXやびこに乗れば宇都宮までは20分ぐらいとアクセスはいいのですが、宇都宮駅からグリスタまでのアクセスが大変ですね。無料のシャトルバスで30分ぐらいかかります。
 ひさびさだったので、スタジアム周辺もウロウロしてみました。
いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
ここは焼き鳥とか餃子とか・・・とスタジアムグルメが充実しているんですよね。僕は焼きイカメシを食べました。隣のテーブルから「先月はどこどこに行ってし、来月の○○には車でいこうと思ってるんだ」、「すごいねー、そんなに行ってるんだー」と、サポーター仲間たちとアウェイの遠征について談笑して盛り上がっているおじさんたちの会話が聞こえてきました。
 こういう光景って、けっこう新鮮だったりします。
ベテランサポーターの多いクラブには、あまりないものだと思うんですよね。なにせ栃木SCは、Jリーグに昇格して今年で3年目。このおじさんたちのように、もともとはサッカーには興味なかったのかもしれないけど、地元に応援できるJリーグのチームができて、何かのきっかけで足を運ぶようになって、だんだんホームゲームだけじゃなくて、少し遠出の試合にも応援しにいくようになる・・・そういうサポーターが育っていく年月が、ちょうど3年目ぐらいなのかなー、とか想像しちゃうんですよ。特に栃木の場合は、今年は昇格争いに絡んでいることもあって、そういうサイクルもできやすかったのかなーとかも思いますし。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
 試合前、栃木サポーターが歌っていた「J2をかき回せ」という歌が印象的。
試合は0-1で熊本が勝利。マッチレポートはエルゴラに書いたので省略しますが、後半開始5分のワンチャンスをものにした熊本が、この1点を徹底低的に守り倒して勝利しました。
 先制後の熊本の守りは見事でしたね。ワントップを残して、あとはコンパクトな[4-4]の2ラインを自陣に築いてガッチリ。残りの1人はどこにいる?というと、大分でも活躍したボランチのエジミウソンが2ラインの間に入ってクサビのボールやクロスを対処し、とにかく危険な香りを消し続けていた。エジミウソンの状況を見て、時間帯によっては吉井選手がダブルボランチとしてしのぐ場面などを見ても、熊本の組織はしっかり訓練されていた印象。まぁ、監督がかつてJ2で横浜FCを率いて昇格したときに鉄壁の守備を形成した高木監督ですからね。
 栃木としては、ここをどうこじあけるかだったのでしょうけど、ピッチがかなり荒れていたため、地上戦を仕掛け続けるのは難しく、ちょっとアイディアも足りなかった印象です。最後まで熊本の[4-1-4-1]を攻略できず敗戦。
 日帰りだったので、試合後は最低限の取材で切り上げて、宇都宮駅へ。
高木監督に挨拶したかったのですが、チームがなかなか出てこなくて会えず終いだったのが、ちょっと残念でしたね。
 駅構内のお土産屋もしまっていたので、売店で軽く物色。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
ベタですが、餃子おかきとレモン牛乳を買って電車に乗り込み、なんとか日帰り取材ができました。そして帰宅後に原稿書き・・・マッチレポートは水曜号のエルゴラに掲載されております。
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[書評]調べてもわからないサッカーのすべて

 こんばんは。
サッカーブックソムリエ・いしかわごうです。
 今回紹介する一冊は、こちら。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
「調べてもわからないサッカーのすべて」。
先日も少し紹介した、知人・猪狩さんによる一冊です。
いわゆるデータ本ですが、面白く読めるように「マニアックに」読み解いてます。
ようやく読み終えました。
ここでは、個人的に印象に残った調査ファイルを紹介したいと思います。
・シュート。打つべきか、打たざるべきか。
シュートを打たないとゴールは生まれない。あるいは、シュートを打てば何かが起こる。そんな「シュート至上主義」について、「では実際、どのぐらいラッキーゴールが生まれているのか」の考察。09年と10年のJ1リーグのゴール数を調べてみると、川崎フロンターレが1位だったそうです。
 そのデータを受けて、ラッキーゴール数2年連続1位という中村憲剛選手の特別インタビューが収録されていました。
 このインタビューは面白いです。シュートを打てば何かが起こるという「シュート至上主義」に対する自身の意見を皮切りに、「シュート」というプレーに対するケンゴ選手の考えがよくわかる内容になってます。「中村憲剛のパス」のこだわりはよく知られていますが(本が出てるぐらいですからね)、「中村憲剛のシュート」のこだわりというと、あまり知られていませんからね。貴重だと思います。
 
 あとはラッキーゴールの話題なので、どうしても偶然か、必然といった確率の話も絡んでくるのですが、ケンゴ選手自身がシュート、パス、ドリブルといったプレーの選択を時間帯でどう使い分けているのかとか、確率論の話だったのが、いつの間にか自身のサッカー観まで垣間見れるようになっているのが面白いです。僕はここを読むだけでこの本を読む価値はあったかな。
 ちなみにインタビューでは、ジュニーニョとチョン・テセ選手(ボーフム)の名前がわりと出てきますね。ジュニーニョはともかく、テセ選手に関しては、何も起こらないだろう場面で強引にシュートを打っていた選手として挙げられてますが・笑。
・ルーキー監督の成績を強引に評価する
今年のフロンターレは相馬監督が指揮を執りましたから、これは気になるデータです。詳細は本を読んでもらうとして、この部門でJ2の勝率トップを記録していたのは、関塚監督でした。もちろん、04年の川崎フロンターレです。その勝率はなんと80.7パーセント!ちなみに2位は、06年に横浜FCを率いた高木琢也監督で、71.3パーセント。
・なぜGKはこれほど走っているのか?
ワールドカップ南アフリカ大会で、試合中のGKの走行距離に注目したデータ。日本代表の川島選手は約4キロだったそうです。これは平均的な数字だそうです。うーん、意外に走ってるんですね。トップは、スイス代表のベナーリオで7キロ!初戦でスペイン代表を倒した背景には、彼のリベロ的な運動量があったんですね。
・セカンドボールの重要性を考察する
苦戦した試合の要因に「セカンドボールが拾えなかった」とコメントする選手は、本当に多いです。では、そのセカンドボールって実際にはどのぐらい試合に影響を与えているのかを検証しています。ただ、これをカウントする作業は相当大変だったみたいです。うん、想像しただけで、すげぇ時間がかかりそう・笑。そのへんの言い訳も書いてあります。猪狩さん、お疲れ様でした。
・つなぎ倒して点を取れ!J1遅攻選手権
引きこもった相手をどう崩すか。現代サッカーでは難しいとされる作業ですけど、「パス5本以上つないで決めたゴール」という基準でカウントしたデータ。10年のトップは、ガンバ大阪。まぁ、納得ですよね。
 ってなわけで、5本以上パスをつないで決めたゴール数1位の遠藤保仁選手の特別インタビューが収録されています。
ボールを回しているときに、相手にブロックのどこを見ているのかについて、さらにヨコだけじゃなく、タテの揺さぶりで相手のDFラインを食いつかせることなどをかなり具体的に話しています。特にヨコのゆさぶり方については、「相手が4人か5人で手をつないでいるとして、つないでいる手を締めたら間は空かないけど、広げたら手と手は離れていく。その感覚と一緒」とそのイメージを話していたのが、印象的ですかね。遠藤選手がどういう狙いでパス回しを組み立てているのか、ちょっと分かった気がします。
 思えば、先月の万博でのガンバ戦で、フロンターレは後半10人になって逆転負けをしたわけですが、他のチームならば、自分たちが負けている状態で相手が退場の展開になると、少しは攻め急ぐこともあると思うのですが、あの後半のガンバはそれがまるでなかったですからね。それこそ詰め将棋でも解いていくかのように、パスを回しながら、フロンターレの守備陣の穴をじっくりと見つけていきました。あれは「さすがガンバ」でしたわ。
・・・・とまぁ、こんな感じで突っ込みをいれながら面白く読める本です。
かなりマニアックなデータばかり集めてますが、「こんな本もあるんだ、と存在を世に知ってもらえたらうれしいです」と作者の猪狩さんからメッセージをいただいたので、興味のある方は購入してみてください。フロンターレサポーターならば、このケンゴ選手のインタビューだけでも読む価値はあるかと僕は思いますよ。
調べてもわからないサッカーのすべて/猪狩 真一

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フロンターレ×ワンピースのコラボストラップ

昨日は等々力取材。
密かに欲しかったものがこちら。
いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
フロンパークのフロンターレ×ワンピースのコラボストラップ!
ルフィ、ゾロ、チョッパーがフロンターレのユニフォームを着ているんですよ。
これはレアですよね。サッカー選手にもワンピースファンは多いと思うのですが、フロンターレの選手もこにれは大興奮だったそうです。570円也。限定3800個。
販売開始は15:00。フロンパークはかつてないほどものすごい行列だったそうです。僕は16:30過ぎぐらいに等々力に着いたのですが、この時点でも最後尾が見れないあまりの行列っぷり・・・・さすがに並ぶのはやめました。スカパー!の中継の打ち合わせにも出なければならなかったですしね。
んでモロモロを終えて、なんとか時間が出来たので、18:00ぐらいに再びフロンパークへ。
・・・・このときになると、行列もまばらだったので、もう売り切れなのかな?と半分あきらめてましたが、かろうじてまだ販売していました!無事購入。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
もちろん、3キャラクター全部購入です!そこは大人の財力で(笑)。
試合についての分析は、明日発売のエルゴラマッチレポートを読んでくださいってことで。
ONE PIECE(ワンピース) 1~最新巻(ジャンプ・コミックス) [マーケットプレイス コ…/尾田 栄一郎

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コラソン&グラゼニ。

 どうも。
モロモロの準備で、朝から前節のJリーグのカードを3試合ほど観ました・・だから、眠いっ!・笑。
 たまには漫画も紹介。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
 
 コラソンの6巻。
アジア最終予選の最終節イラン戦です。クライマックスですね。
 巻末のおまけ漫画に登場したのは、西村雄一主審でした。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
 南アフリカワールドカップのブラジル×オランダ戦のジャッジについて語っています。ブラジルのフェリペ・メロに対するレッドカードについての話とかですね。「審判はいいサッカーが大好きなんですよ」という言葉が印象的でした。いいサッカーをしている試合は観ている人が楽しいように、笛を吹いてる審判もきっと楽しいんでしょうね。
コラソン サッカー魂(6) (ヤングマガジンコミックス)/塀内 夏子

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あと今、面白いと思う漫画は「グラゼニ」ですね。
グラゼニ (1)/森高 夕次

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 お金にフォーカスするという、今までにない切り口の野球漫画だし、プロ野球界の舞台裏も垣間見れるので、楽しく読めますね。
けっこう話題になっているみたいです。
年俸マニア「1軍半」の中継ぎ主役 異色の野球漫画「グラゼニ」好評
 今週も面白かったなぁ。
普段通っている定食屋の好きな店員のあの娘(でも自分が野球選手だとは気づかれていない)が、たまたま自分の試合を観に来るんだけど、相手チームの応援だった。そして自分が出たら、その娘にメッチャ野次られてるっていう話・笑。
2巻が出たので、今日等々力に向かう前に買ってきます。
グラゼニ(2) (モーニングKC)/アダチ ケイジ

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・・・画像ないんかいっ。
いやー、きてるわー。まだまだ頑張ります。
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[書評]戦術リストランテ

こんばんは。
サッカー本ソムリエのいしかわごうです。
今回紹介する本は、こちら。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
「戦術リストランテ」
 フットボリスタで連載されているコーナーを書籍化した西部謙司さんの新刊です。
ボリスタ本紙では、試合をピックアップし、両チームのシステムによるマッチアップや、チームのスタイルやテーマの感じられるプレーを一問一答形式で掘り下げていくスタイルが多かったと思いますが、本書では欧州サッカーの最先端をいくバルサやレアル、マンUといったビッグクラブの戦術メカニズムを体系立てて解説。
 通常の戦術解説本ではなく、「戦術リストランテ」のタイトルにある通り、レストランのシェフのごとく食べやすく調理してくれていて、本の構成もレストランを意識した風味になってるのが特徴ですね。
 読者はレストランに来たお客のように戦術メニューを楽しめるわけです。
・前菜(基本フォーメーション解説など)
・主菜(チーム戦術の背景について考察)
・副菜(具体的なイメージを掴むための図版分析)
・デザート(テーマや関連する歴史や戦術的うんちく」

 というコースで読み進めるようになっています。
内容(料理)もいいのですけど、それに加えて、いろんな角度から読ませる工夫をしているところもいいですね。装丁もなんかオシャレですし。こういう部分もしっかり意識している本、サッカーブック・ソムリエなので、個人的にも好きです。
 例えば、僕は将棋の最新戦法の本なんかも読むのですが、やはり中高年を読者層にしているいるためか、基本的に作りが「硬派」で「重厚」なんですよ。表紙からしてかなり渋いですし。将棋の戦法本でも、こういうテイストの本があってもいいと思うですけどね。
・・・あっ、レストランなのでお客としての観想を言うと、美味しかったのは,バルサ関連の料理ですかね。ベタな舌で申し訳ないのですけど、バルサの新ビルドアップ方式、打倒バルサのために相手チームが採った戦い方、CLファイナルでマンUが挑んだバルサ包囲網、そしてモウリーニョによるクアトロ・クラシコの戦略などを、あらためて、いろいろな視点から体系立てて読んでみると・・・もとい、コース料理のように味わって食べていると、たくさんの発見がありましたね。
あとサッカーファンの方にはおなじみだと思いますが西部さんの文章は、相変わらずわかりやすいです。
・・・実は書評はこれで終わりません。
 収録されている2本の西部さんの特別対談にちゅいても触れておきます。
一本目は前FC東京監督・城福浩氏との対談でした。
「戦術論は現場でどう使われているのか」をテーマに語っていたのですが、現場重視の考え方と理論重視の考え方のバランスの取り方、戦術を体得させる具体的な指導法などは、現場を知る指導者ならではの肌感覚だと感じました。
 対談の中で、フランスの作家がバルサを評して「殺菌されたフットボール」と言っていた話が興味深いですね。フットボールには挑発とか駆け引きとかいろんなものが混ざって競技になっているはずなのに、バルサだけは自分たちの理論で統一されすぎていて「雑菌」のないサッカーになっていると。
 そんな戦術色の強いバルサを、城福氏は「五角形のチャートでいえば、技術の項目だけがチャートを完全に超えている」と表現しています。普通ならば、平均で劣っている部分を補おうとするのだけど、バルサは自分たちの最大の特徴をさらに追求することで、チャートの面積を増やしている。そうじゃなければ、イブラフモビッチやエトーを放出しないよ、と。
 この話を聞いていて、ふとよぎったのは大木武監督時代のヴァンフォーレ甲府。
特に、J1の2年目07年シーズンはバレー、アライール、倉貫選手といった主力が移籍したため、個の戦力は明らかにJ1レベルでは見劣りしました。しかしそこで大木監督が採った戦法は、個で勝負するのではなく、密集地域で数人で徹底的にショートパスをつないで局面を打開していく方法。
残念ながら降格してしまいましたが、まさに平均で劣っている部分を補おうとするのではなく、自分たちの最大の特徴をさらに追求していくチームでしたわ。実際、あのときの大木さん、「パススピードは少しだけバルサのほうがうまいけど、切り替えの速さならウチのほうが上だな」と笑ってましたっけ・笑。
 もうひとつはフットボリスタ編集長・木村浩嗣氏との特別対談。テーマは「伝える側にとっての戦術論」。
 これは、わりとメディア側に寄った話なので、読者の方よりも、むしろ僕のほうにど真ん中だったかもしれませんね。自分もサッカーのライターなので、やはり文字でサッカーをどう表現するのかという命題は付きまとうわけですが、90分間の全てをロジックで分析し切れる試合なんてないですからね。
それでも、エンターティメントとして成立させるためには、デフォルメしてストーリー化させなければならない。だからといって、事実だけツラツラ書いても読み物として面白くないですからね。そこらへんのジレンマは、サッカーライターならみんなあると思います。
 この対談の中で共感できたのが、戦術の面白さは発想の意外性にあるというところ。
「戦術というのはその監督の頭の中のことだから、サッカーの見方とか論理構成につながっている。クライフの話がいつも面白いのは、あの人は一種の天才だから発想が面白いのだ」と。
 本当にそうなんですよ。僕らは取材者として、監督にも直接話を聞けるわけで、そういう経験を通じてそのサッカー観も垣間見れるわけですが、それも醍醐味だったりしますから。
 
 例えば、[3-3-3-1]システムで話題になったカターレ富山の安間監督の戦術の発想とか、本当にぶっ飛んでますからね。「11人でサッカーをしようとするからいけないんであって、自分たちが12人いるように相手に見せるには、どういう配置や戦術が良いんだろう?」とか考えてたら朝になってましたとか、そういう人ですから・笑。
・・・とまぁ、長々と書評を書いてしまいましたが(2000文字越えてた・笑)、とにかくこの本をしっかり読めば、これからの欧州サッカー観戦ライフの楽しみが増えることは間違いないと思います。
 「戦術リストランテ」。
サッカーブック・ソムリエいしかわごうとしても、オススメ度の高い一冊です。
戦術リストランテ/西部 謙司

¥1,680
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