日曜日のフクアリ取材で感じた話を、もうちょっと少し。
富山の試合では安間監督に会えるのも楽しみですが、主将の足助選手と話すのも密かな楽しみなんです。試合中に脱臼した左腕のギプスが痛々しい感じでしたが、「あー、お久しぶりです!!」と、ものすごい笑顔で挨拶してくれて、しばしお話させてもらいました。
彼は大卒後、ヴェルディに入りましたが出場機会に恵まれず、わずか1年で戦力外を告げられています。でも、その翌年から富山で頑張り、3年目の現在は主将として活躍している。そういう姿を見ていると、こちらもいい刺激を受けます。
彼の姿には、学ぶべきことがあると思っています。というのも、人生ってうまくいかないことがあるけれど、そのときにどういう振る舞いを見せて、どういう行動を積み重ねていくのか。それがすごく大事なんじゃないかと思うんですよね。
ヴェルディ時代の練習で見ていた限りですけど、試合に出れないという時期が長く続いても、足助選手は、その現状からも目を背けず、しっかりとサッカーと向き合って練習に取り組んでいた選手だったという印象が強いんです。彼の場合は、富山に移籍してからもレギュラーだったわけではありません。
でも去年、安間監督がまだ富山でヘッドコーチをしていた時期、試合に出ていない足助選手の状況を聞くと、「練習の後もいつも残って、こっちが与えた課題を熱心に取り組んでいるよ。アイツは伸びる」とすごく褒めていたんです。そして安間監督になって試合に出始めると、安定した守備と戦う姿勢をしっかり見せるなど、めきめきと頭角を表しました。そして今年は主将をつとめています。北九州で主将として活躍している木村選手だってそうですよね。フロンターレではなかなか出場機会が恵まれませんでしたが、彼の練習に取り組む姿勢はすばらしかった。そして新天地でもしっかりと輝いている。現在のJ2でのパフォーマンスも当然だと思ってます。
プロなら、そんな姿勢は当たり前だと思われるかもしれませんが、そうならない若手選手もたくさんいましたから。
例えば、出場機会に恵まれない若手選手などにありがちなパターンとして、試合に出れないとすぐに移籍を志願したり、海外や下のレベルに活躍の場を求めていこうとする。その理由もいろいろあるのでしょうけど、中には「監督が悪いから」とか「戦術が悪いから」とか「誰々がどうだから」などと、うまくいかない原因を自分ではなく他者に求める選手もいます。
あるクラブのスカウトさんが、「自分が試合に出れない理由を、チームや監督、他人のせいにし続ける性格のやつは、どこに行ってもうまくいかないよ」とハッキリとおっしゃってますが、僕はそれを聞いて、その通りだと思いましたね。
まずは、自分のやるべきことを責任を持ってしっかりとやり切る。ごく当たり前のことかもしれないですけど、うまくいかないときにそういう姿勢を持ち続けるのってやはり難しいです。仮にそのときは結果が出なくても、そういう姿勢がどこかで報われるのだなぁ、と足助選手と会うたびに思うわけですよ。
そしてこれは、若いサッカー選手だけに限らず、仕事であれ、何であれ、さまざまな状況にもいえると思います。チームに置き換えてもしかりです。フロンターレも現在5連敗と勝てていません。でも、ここでどういう姿勢を見せていくのか。この連敗中、勝てない理由を人のせいにしていた選手は、フロンターレにはいませんでした。誰かのせいにするのではなく、自分のやるべきことをもう一度、責任を持って全力でやり切る。それが大事なのだと思います。
べ・・・別に「姿勢を整える 逆境から這い上がるための56の行動 足助翔」なんていう本の企画なんかを考えたり、そのゴーストライターをやりたいなんて思ってませんからねっ!!
心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣/長谷部誠
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