広島戦レビュー:偶然ではない2ゴールと、必然だった1ゴール。


 どうも、いしかわごうです。

 先週末は新幹線で広島取材へ。
14時キックオフなので、日帰りも可能だったんですが、片道4時間の新幹線を往復するのはしんどいなぁということで、前日練習取材後の夜に新幹線に乗り込み、広島で前泊しました。

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(ちょうど野球のクライマックシリーズの最中でした。雨天で中止になりましたが)

 当日の朝は、お昼も兼ねたお好み焼きをパクリ。

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海鮮系をどっさり入れたトッピング・・・美味でした。

 台風が来ているということもあり、試合当日は悪天候。エディオンスタジアム広島周辺の人はまばらで、ちょっと寂しかったですね(観客数は8000人台でした)。

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 試合の方はというと、終わってみると3-0で勝利。
相手GKのミスから転がり込んだ先制点、相手DFの目測ミスから生まれた小林悠選手の3点目のふたつは、広島側からすれば「事故」のようなもので、フロンターレ側としては運も味方したとも言えなくもありません。

https://twitter.com/J_League/status/921909078959333377

 ただ試合後のミックスゾーンで取材を進めていると、単なる運だけで生まれた得点ではなかったとも言えると思いました。言ってしまえば、事故を起こすこともしっかり狙っていた結果だというわけです(詳しくはレビューで掘り下げてます)。

 偶然の要素も味方した2得点とは別に、前半終了間際に三好康児選手が決めた、追加点のあの一撃は狙い通りだったといえます。

 まず広島は、敵陣で前からプレッシングをかけるときは〔4-3-3〕の形になりますが、自陣での守備のときは〔4-1-4-1〕のような形になります。そのため構造的に、4バックの前に構えるアンカーの両脇にはスペースが生まれがちになります。前節までは稲垣祥選手がアンカーでしたが、この試合では青山敏弘選手がアンカーを務めています。

 その青山選手の横にできるスペースをいかに起点にしてフィニッシュに結びつけるかは、この試合のポイントでした。フロンターレが、この場所を徹底的に狙っていたのは、開始早々から読み取れました。

 前半4分、森谷賢太郎選手がゴール前に走り込んでミドルシュートを放っています。これは惜しくもGK中林選手に弾かれましたが、注目すべきは森谷選手がシュートを放った位置です。小林悠選手の落としに反応した形ですが、森谷選手が走り込んだのは、アンカーの青山敏弘選手の横にできていたスペースでした。あの位置でフリーの状態でシュートしています。アンカーの横に狙いを定めていたことがよくわかったシーンだったと思います。

 もちろん、相手もそこを突かれることはわかっているので、しっかり消してきます。その後は、フロンターレが劣勢を強いられて敵陣にボールを運べなかったため、この狙いはなかなか突けませんでした。しかし、チームとしての狙いは共有されてましたし、それが実ったのが、あのエリアでミドルシュートを決めた三好康児選手の追加点というわけです。

 あの場面を巻き戻すと、左サイドで長谷川竜也選手が相手を引きつけています。そして逆サイドに展開すると、アンカー周辺のエリアがぽっかりと空いていました。もちろん、狙って生まれたスペースです。中村憲剛選手が言います。

「自分たちの陣地でつないで、タツヤが引っ張ってくれて、あれだけガッポリあく。普通はありえない。サイドチェンジしただけであれだけ空くのは。でもスカウティングで見ていた。ボールに寄るし、青山選手も寄る。だからその背中を突こう。そういう意味では2点目は狙い通りだった」(中村憲剛)

 ボールを持った中村憲剛選手がパス&ゴーを加えたことで相手守備陣を後ろに引っ張ると、三好選手が仕掛けられる時間とスペースができていました。三好選手にとって、あのエリアはシュートレンジです。得意のカットインから豪快にネットを揺らしました。

「ケンゴさんがそのまま抜けていたので、ケンゴさんに出すという選択肢もありましたけど、相手が一歩下がったのでシュートがいけるなと思って、思い切って打てた。グラウンドがスリッピーなので、うまく当てれば入る。コースは思った以上によかったですけど、当てるという部分では狙い通りだったと思います」(三好康児)

 ちなみにこの場面、囮になった中村選手は、三好選手からのリターンをもらう気満々でゴール前に走り込んでいたそうです。「三好に当てて、もう(ゴールへの)花道は見えていた(笑)」と笑っていましたが、どんなゴールイメージだったのか、そのへんの詳しい話はレビューにたっぷりと書いておきました。

ということで、このゲームの詳しいレビューは、いつものようにごうnoteでたっぷりと語っています。

今回のラインナップはこちらです。

1.広島のGK・中林洋次のファンブルから生まれた、幸運な先制点の背景を読み解く。「1点は1点。それもサッカーだし、GKのところが不安定だと話していた」(中村憲剛)、「キャッチしないで弾く。フリーの時しかキャッチしなかった」(新井章太)。対照的だった、雨の試合における両GKのリスクマネジメントとは?

2.ペースを握れなかった前半の原因を検証する。「(アンデルソン・ロペスには)僕が行くとフリックを使われたり、そこはタツヤ(長谷川竜也)とコミュニケーションをとってもっとやればよかったですね」(車屋紳太郎)。アンデルソン・ロペスのパワフルな突破に後手を踏んだ左サイドと、エドゥアルド起用によるビルドアップで生まれた問題点とは?

3.ソンリョンの負傷交代で訪れた、わずかな中断時間で行った改善点の共有。「戦術的な所でいうと、自分がボールを落ち着かせて、握る時間を作ろうというのを確認していました」(谷口彰悟)。あの以後、ハッキリと改善されたポイントとは?

4.「(青山敏弘が)ついてきたので、ミヨシとタツヤにはその脇を狙えという話をしていた」(中村憲剛)、「流動的にやれば、相手もマークを付いてこれないだろうなと思っていた。やっている中でも、自分が逆サイドに顔を出すことで必ずフリーになる」(三好康児)。チームの狙いが凝縮された三好の追加点をディープに読み解く。

5.「青山選手の守備の存在を消す作業をしたかった。もっともっと(青山敏弘を)翻弄したかった」(中村憲剛)。彼が試合を通じた青山敏弘と行っていた攻守の駆け引きと、三好康児からリターンパスをもらう気満々だった追加点の局面でイメージしていたという、鹿島のあるゴールシーンとは?

6.両サイドの強度をあげた鬼木采配。そして偶然の産物ではなかった、勝利を決定付けた小林悠の3点目。「ショウタ(新井章太)のボールがすっごい無回転で、空中でものすごく変化していたので、相手は落下点を見誤るなと思った」(小林悠)。

 以上、6つのポイントで、冒頭文も含めて今回も約10000文字です。得点部分を中心にしていますが、先制点と3点目が決して偶然じゃないこと、そして2点目が必然だったことの背景を詳しく書いております。あとは流れを変えた、ソンリョンの負傷交代の時間での選手間のコミュニケーションなどにも触れています。

読み応えあると思いますので、ぜひ読んでみてください。

「青山選手の守備の存在を消す作業をしたかった」。中村憲剛が青山敏弘と行っていた攻守の駆け引きと、チームの狙いが凝縮されていた三好康児の追加点。(リーグ第30節・サンフレッチェ広島戦:3-0)

ではでは。





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