昨日に続き、今日も稲本潤一の取材話を。
今年1月、フットボールサミットのフロンターレ特集の取材で稲本潤一&井川祐輔の対談をする機会がありました。
稲本潤一&井川祐輔の2人は、ガンバ大阪育ちという経歴。だからというわけではないのですが、途中で漫画「スラムダンク」に登場した大阪代表・豊玉高校を引き合いに出す変化球を投げながら、スタイルと結果と両立させることに関する考えを聞かせてもらったんです。
豊玉高校というのは、ラン&ガンという攻撃的スタイルにこだわっていながらも、全国ベスト8の壁を破れない強豪です。このスタイルで始めて大阪代表になったときは絶賛されたものの、数年に渡ってベスト8止まり、優勝に手が届かない状態が続くと、今度は「なんで勝てないのか?」、「やり方が悪いんじゃないか?」と批判を浴び始めているわけです。スタイルにこだわる反面、結果をなかなかつかみ取れないチームが抱えがちな問題点をどう感じるか、という見解を聞いてみたかったのです。
我ながらかなり無理矢理な質問だったと思いますが・笑、スラムダンクの読者だった稲本潤一は「・・・唐突やな!」と言いながら、こんな風に答えてくれました。
「うーん、これは勝てない理由について突き詰めて考えていくか突き詰めないかやね。自分は違うやり方でも勝てれば良いと思うタイプなんで。まず勝つというのが前提にあるから、自分ならスタイルにはそこまでこだわらない」
スタイルよりも勝つことが最優先で、まず勝ち方の手段(ここで言うラン&ガン)にはそこまで固執しない。それが稲本潤一のスタンスというわけです。
「それでもあの戦い(ラン&ガン)をするなら、スーパーになるぐらいまでとことんやることだね。でも、それと同時にやられない方法も考えた方がいい。そうじゃないと、勝負には勝てないと思っているから」
なるほど。ひとつの形でどうしても勝ち続けたいなら、徹底的に突き詰めていく・・・倒的なスペシャリストになるしかない。でも同時にちゃんと柔軟性を持っておかないといけない。それが稲本潤一の勝負論なのかもしれません。
「・・・ってこれ、何の話?」と笑ってましたが、いやいや、スラムダンクの豊玉高校のスタイルから稲本潤一の勝負論を読み解くというのは、すごく面白かったです。
<この話が掲載されている雑誌はこちら>
<スラムダンクで豊玉高校が出てくる巻>