最近読んだ本・・・お笑いのビジネス本なのかな?
お笑い芸人の競争が過酷なのはよく知られています。特によしもとはもっとも競争率が激しい事務所でしょう。プロの芸人になれるのは一握り。そこからメシを食えるほど売れる芸人になるのは、さらにわずか。売れていく芸人とそうではない芸人では、何が違うのか。
よしもとNSC(吉本総合芸能学院)の名物講師として、これまで1万人以上の生徒を見て来た本多正識さんが、生き残る力を述べています。例えば、「ウケない理由を自分で分析できること」。プロ野球の野村克也さんがよく言っている言葉である「勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議の負けなし」を引用し、ウケない理由をちゃんと分析できているかどうか。
この本の読みどころは、卒業生との対談ですね。
ナインティナインの岡村隆史、キングコングの西野亮廣、南海キャンディーズの山里亮太、ウーマンラッシュアワーの村本大輔の4人のお笑い芸人が、彼らが世に出る前のNSC生だった時代にどんな試行錯誤をしていたのか。本多さんとの対談で様々なエピソードを明かしています。
例えば、ナインティナインの岡村さんは、NSCの本多さんの一発目の授業で「これは、かまさなあかん!」と思い、挙手制の自己紹介で矢部さんが指名されたとき、代わりにスーッと立ち上がって「えー、岡村隆史です」と当てられてもいないのにしゃべり出して、「お前、ちゃうねん!」と矢部さんから怒られるというエピソードを明かしてます。一瞬のチャンスを掴まえる為には、「常に準備をしておく」、「アンテナを張り巡らせておく」という意識を持てるかどうか。あとナイナイは、ネタ見せで本多さんから「君ら、ボケとツッコミが逆やで」と言われたのがその後の運命を変えた一言だったとも言っています。
キングコングの西野さん。
NSCの授業で漫才を見せる前日は、公園で徹夜で練習していたそうです。一日17〜18時間。ズバ抜けて上手かったけど、本多さんだけが絶対にキングコングを褒めなかった。その真意を本人に明かしてます。
そして南キャンの山ちゃん。
よく研究しているし、毎回考えて練った質問もしていた。そして授業中はメモ魔だったとのこと。彼は当時から自分の能力やポジションをよく理解していて、努力を積み重ねてきたタイプだったとわかります。
その上で、コンビの戦略をしっかりと練っていた。例えば相方選びにしてもそうで、別のコンビを解散してしずちゃんと組むわけですが、そのときの戦略も実に綿密です。
コンビを解散しているということは一度、戦線離脱をしているわけです。そこで彼は、「戦いに戻るときにどのフィールドなら遅れを取り戻せるか」と考えて「対戦相手の少ない場所」として、若手には少ない「男女のコンビ」に絞ったそうです。
ただ普通の女の子と組んでも勝てないので、変わり者の女の子を・・ってところで、しずちゃんを見つけた。ただしずちゃんはすでにコンビを組んでていて、さらに他にもしずちゃんを狙っている男が4組ほどいた。そこでどんな作戦でしずちゃんをモノにしたのか・・・このへんのエピソードはなかなか腹黒いです・笑。ただこういう戦略を練れるのが山ちゃんの強みだったんでしょうね。
このへんは、島田紳助さんがあのDVDで話していた戦略を思い出しましたね。
<島田紳助さんがNSC生に行った「売れる為の授業」が収録されたこのDVDは、かなりオススメです。ビジネスマンが読んでも役立つことたくさん>
やはり売れるコンビは売れるべくして売れるし、ちゃんと生き残っているんですなぁ。NSC生だった彼らが、どんな試行錯誤をして世に出ようとしていたのか。それがわかる一冊です。
One comment: