等々力取材〜学ぶべきもののあった敗戦。


 湘南戦は1-2で逆転負け。
試合前、伊藤宏樹選手が「湘南はセットプレーとカウンターだと思うので・・・」と言っていたのですが、奇しくも、その二つの武器でやられてしまいました。
 鹿島戦、浦和戦、大宮戦などの好調ぶりを見るにつれ、もしホームで負けるとしたら、華麗でソリッドなサッカーをする相手よりは、とことんまで泥臭く頑張る相手のほうかも…などと漠然と思ってましたが、この日の湘南がそんなチームでした。等々力での今季初黒星です。
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キックオフ前の記念撮影のとき、「湘南の外国人キーパー、ごっついヒゲをたくわえとるなー」と思いながら眺めていたら、後ろからゆっくり近づいてきた湘南のマスコット・キングベルおじいちゃんのほうが、もっとヒゲをたくわえておりました。
 中断開けの一戦の布陣は[3-4-3]でスタート。
右サイドができる小林悠選手が不在でしたし、湘南の[3-4-2-1]の布陣との噛み合わせを考えれば、これは自然な選択だったと思います。試合間隔が空いたことで懸念されていたゲームの入り方もよく、立ち上がりは面白いように湘南のブロックを崩して決定機を作っていたと思います。
 ただ湘南は、前から3人がボールを奪いにいってもビルドアップで奪えなかったので、前半の途中から守り方を軌道修正してきました。潔く自陣に引いて[5-4-1]システムにして、いわゆる広島式の守備ブロックを作ってきました。
先月、広島のこの守り方を「穴熊戦法」とこのブログで評しましたが、自陣に9人で構えてゴール前に張り付かれると、そこをこじあけるのはさすがに簡単ではありません。あれだけ中央を締められると、思うように縦のクサビは入れられなくなりますし、それができなくなると、今度は前線の3枚がボールを受けに顔を出す動き直しも少なくなる悪循環です。それでも山本選手のミドルシュート、ボールを奪った實藤選手の攻め上がりなどで打開しようとしましたが、簡単ではありませんでした。湘南は若いチームらしさ全開で、守備をとことん頑張りますから。
 それでも前半終了間際にCKのセカンドボールから大久保選手の反転ボレーで先制。このとき、大久保選手が決めるプレーの前の時点からベンチにいたチョウ監督がかなり激しく抗議してました。おそらく稲本選手がボールをあげた瞬間、相手選手と競りにいっていた中澤選手か、大久保選手が戻りオフサイドだったのかもしれません。そんな感じの抗議でした。
 とはいえ、リードしていたのも事実なのでそこで追加点を奪えていれば問題なかったのですが、後半の立ち上がりにCKから失点。
「あの時間帯に失点してしまうことがまだチームとして弱いところ。あまりチャンスが無い中で決められてしまった。練習試合から失点が多くなっていたのは少し気になっていたのですが・・・」と實藤選手。確かに先週の練習試合の大宮戦、CKだけで3失点していましたから。さらにカウンターでキリノにサイドを突破され、折り返しに高山選手で逆転。その直前には、CKに實藤選手のヘディングがキーパーに弾かれ、そのこぼれに田中裕介選手が飛び込んでポストに弾かれる決定機があっただけに、これで一気に試合が難しくなりました。
 この日は攻撃の要・レナトが窮屈そうでした。
CBの1枚が密着マークして、もう一枚が素早く寄せて挟み込む。湘南はこの対応を徹底してましたし、レナト自身もややキレがなかったですね。それでもPKを獲得するなど一瞬の仕事をするあたりはさすがでしたが、これを大久保選手がポストに当ててしまい失敗。
 タイムアップの瞬間、湘南ベンチは優勝したかのような騒ぎになっていました。チョウ監督は熱いし、選手はみなひたむきにプレーするし、まったく・・・・湘南はいいチームです。広島戦同様、[5-4-1]で守る相手をどう攻略するかという課題が突きつけられましたが、湘南の選手達の姿勢に学ぶべきものもあった敗戦だったと思います。
 取材を終えて、選手の話を反芻しつつ、敗因は何だったんだろうな・・・と考えながら、等々力からの帰り道をとぼとぼと歩いておりました。
 個人的に気になったのは、全体的に裏を突いていく縦の揺さぶりが少なかったことでしょうか。相手を外して足元にパスをつけるのは基本としても、それ一辺倒になるとあれだけ人数をかけて守る相手をはがして崩し続けるのは簡単じゃないですから。背後を突く動きと「捨てパス」で相手の陣形を間延びさせることで、足元のパスを受けやすくする工夫があったのもよかったのかなと。
 特に湘南GKサンターナ選手も加入したばかりですから、その連係面での綻びを狙ってDFとGKの間を目がけて捨てパスを出していたら、何かアクシデントが起きていたかもしれません・・・その意味で、背後への動き出しが出来る4人目のFW・小林選手の不在は響いたのかもしれません。
・・・・とまぁ、等々力の帰り道が負け試合になるのは、今年初めてだったんですよね。
「7月はこれで終わりなので、8月からまた切り替えていきたいです。去年は、8月と9月にあまり勝てませんでしたからね」と前向きだった實藤選手。その通りですな。
今日から8月・・・カレンダーは隊長・中村選手が登場です(先日、田中裕介選手がなぜか隊長と呼んでました・笑)。
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