グラジオラスの轍〜そしてサッカーは続く。

 日曜日の深夜、選挙特番の後に放送された「グラジオラスの轍」を見ました。
 今回はなでしこジャパンに密着した回。去年放送された永里姉妹を巡る物語は、すごく印象的だったんですよ。ストイックな努力家の姉・大儀見優季と、おおらかで天才肌の妹・永里亜紗乃。この2人の対比がなんとも言えなくて・・・・。
 今回も永里亜紗乃が出るというので、てっきりその続編だと思っていたのですが、日テレ・ベレーザの岩清水梓と田中美南、そしてドイツ・ブンデスリーガの1.FFトウビネ・ポツダムの永里亜紗乃の3人による構成でした。なので、アッサーノのドキュメントはわりと短め。正直言うと、ちょっと物足りなかったですね。ただしっかりとした構成でした。
 岩清水梓と田中美南はともにベレーザ所属。
世界一に輝いたなでしこジャパンの主力DFである岩清水梓が、未来のなでしこたちに託したいもの・・・・それは、不遇の時代を知る先人達から受け継いだものでもある。そしてこれを受け継いでいく次世代の田中美南は何を思っているのか。ただ若手にも若手なりの苦悩がある・・・なるほどね。
 そして、今年からドイツのポツダムでプレーする永里亜紗乃。姉がいたチームです(大儀見優季選手はチェルシーの移籍が決まりました)。姉が住んでいた部屋なんですね。ドイツの生活ぶりから、一皮むけようとしているのは伝わりましたが、いかんせん時間が短かかった。彼女がここで何を掴もうとしているのか・・・もっと見たかったですね。
 ラストシーンもよかったですね。シーズンオフ、日本の自宅で浴衣姿でくつろぐ姉妹。そこで姉から妹へのアドバイスをカメラ越しに聞いて、後ろでちょっと涙ぐむアッサーノ。エンディングにかかるモンキーマジックの「足跡」が相変わらず、いい感じでした。
 当たり前のことですが、ワールドカップで優勝してもサッカーは続くんです。ワールドカップで優勝したからといって、この国のサッカーが終わるわけでもないし、無くなるわけでもない。だから、その後に残さないもの、託したいけねかればならないものがある。なでしこ”ブーム”自体はすでに去ったと思っていますが、それでもしっかりと根付きつつあるものもあるわけです。
 そしてサッカーは続く。
永里三兄弟の父・正彦氏による本。ご自身のスタンスを明かしています。
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大蔵取材〜こんな日もあるさ。

本日はスフィーダ世田谷の取材に行ってきました。
 場所は今季2度目の大蔵総合運動公園陸上競技場。前回の大蔵は雨でしたが、今日はピーカン。絶好のサッカー観戦日和でした。祖師ケ谷大蔵駅からウルトラマン商店街を通って歩いていきました。さすがに暑かったですね。会場でもらえたミネラルウォーターがありがたかったです。
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 相手はJFAアカデミー福島。試合は1-4で敗戦。今季3敗目となりました。
 詳しくは東京偉蹴の連載コラムで書きますが、うまくいかない試合でした。チーム全体が間延びしてしまい、そのギャップを突かれ、セカンドボールを奪われ続けて、何度も苦しい対応を余儀なくされる最終ライン。立ち上がりこそGK川口選手が好セーブでしのいだものの、それも限界があります。そして前半だけで0-3。
 JFAアカデミー福島の選手は、メンバー表を見るととにかく若かったですね。なかには13歳もいました。ただ体格的には劣っても、全国からえりすぐられた中高生だけあって、局面での技術の高さは抜群です。特にFW7番の小島選手のテクニックとセンスはちょっと秀でてますね。どの選手も、あの悪いピッチ状態にも素早く順応していたところに驚きました。
 ハーフタイム、川邊監督はチームのネジを締め直し、[2-4-4]の超攻撃的布陣で巻き返しますが、やはり3点のビハインドを追いつくのは簡単ではありません。長期離脱から久々に先発復帰した田中麻里菜選手がCKから1点を返すものの、その後再び失点し3点差。ロスタイムにもPKを取られるなど、もっと失点してもおかしくない試合でしたが、最後までよく諦めずファイトしたと思います・・・・こんな日もありますね。
 試合後は田中麻里菜選手を取材。負けた試合でもしっかり自分の言葉で話せる選手の存在は、取材する側としてもありがたいですね。いろいろ質問させてもらいました。
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 帰りにのった市営バス・・・・ウルトラマン仕様でした。
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「来たらええんちゃう?」で札幌から来た男。

 フットボールチャンネルで川崎フロンターレの原稿を書かせてもらいました。今回はイベントレポートかじゃなくて、サッカーの話です、えぇ。
圧倒的な得点力を見せる風間フロンターレ。その攻撃力を支える、ダブルボランチの高度な機能性

 ダブルボランチの存在感については、憲剛選手が「ここはね・・・まだバレたくないんだよねー」と言いながら話してくれたのだけど、もはや現在の好調ぶりを語る上でここは無視できないですから、書いちゃいました。それに、それがわかったところで止められないとも思ったので。
 今季の補強選手では大久保嘉人選手ばかりに注目が集まりましたが、シーズン前半を振り返ると、ボランチの山本真希選手も「当たり」でしたね。今オフ、川崎フロンターレ移籍を相談したとき、「来たらええんちゃう?」と返した清水時代の同僚・Y島T郎選手の軽い対応は、たぶん計算ではなく天然だと思いますが、実はファインプレーだったのかもしれません・・・これだから、天然は怖い・笑。本人は憲剛選手とプレーしてみたいとの思いもあったみたいですが。
 山本真希選手は、いつも謙虚で真面目です。
この大宮戦でも、あらゆるところに顔を出して味方をカバーするなど、素晴らしい判断力と稼働力を発揮し続けていました。それでも浮かれるようなコメントはなく、「2失点目のカウンターを受けたのは、自分のパスミスからだったので・・・」と反省点を口にしていました・・・・マジメかっ!
 5月からここまで負け試合は広島戦の1試合のみ。ただチームがここまで浮上した一番のきっかけは、5月の等々力の名古屋戦で彼が突き刺した、起死回生のミドルシュートだったと僕は思ってます。ドロー目前で見せたあの一撃による劇的勝利がチームの雰囲気を一変させたのではないでしょうか。あれがそれぐらい価値のあるゴールだったと思っています。
 彼は昨年、コンサドーレ札幌でプレーしていますが、最下位でJ2に降格するなど、かなり苦しいシーズンを過ごしました。「去年はメンタル的にもかなりきつかったです」と明かしてくれたこともありましたから、本当に厳しい一年を過ごしていたのだと思います。降格が決まった場所は、奇しくも等々力でしたから。
その彼が、今年は等々力でフロンターレのユニフォームを着て輝き始めているというのは、なんとも興味深い話でもあります。... 記事を読む

NACK5取材〜前線の攻撃が停滞したワケ。

昨日はNACK5スタジアムで大宮戦を取材。試合は3-2で川崎フロンターレが勝利しました。
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 ロスタイムのPK弾で劇的に勝ちましたけど、内容的にはどっちに転んでもおかしくない試合だったと思います。伊藤選手が「お互いのよさを消し合ってる感じだった」と表現してましたが、確かに大宮の良さはそれほど出させなかったけど、フロンターレの良さもしっかり消された試合だった印象です。さすがは首位にいるチームですね。ナビスコの対戦したときよりも、明らかに強かったです。
 まず大宮は、ピッチをワイドに広く使ってくるんですよね。
そうなるとどうしてもこちらの選手間の距離も広げさせられますし、こちらがボールを奪ってからも、いつものような距離間ではパスが回せない。相手の切り替えも早く、守備が組織されていて、球際も頑張る・・・、なかなか「自分たちの距離」でサッカーをさせてもらえなかったですね。
 フロンターレの自慢の攻撃陣に対しても、かなり対策を練ってきました。レナトの突破は右サイドの今井選手が密着して張り付き、さらにもう一枚がすばやくケアして、なるべく2対1で対応して破綻を防ぐ。
 大久保選手や憲剛選手に入る中央のクサビは、とにかくファウル覚悟で激しく止めて、一回リズムを切る。憲剛選手は後ろから何度かキツく倒されましたが、東城主審は一度も警告を出さないんですよね。もし速い時間帯にカードが提示されていたら、クサビに対するアプローチの強さも変わっていたと思いますが、ここらへんは主審の判断ですからね・・・。あと憲剛選手を空中で後ろから厳しく倒した直後、気まずそうにしながらも、そそくさと犯行現場から離れる、元フロンターレの菊地選手はなんか面白かったです・笑。
 左もダメ、中央もダメとなれば、右サイドからの崩しで打開していくしかないのですが、いつもならば田中裕介選手が斜めのクサビを打ち込みながら、中盤や前線と連係していきます。しかし怪我で欠場し、この日は實藤選手。本職はザゲイロ(CB)ですから、守備対応は安定しているものの(この日はイマイチでしたが)、高い位置で味方と連動した崩しとなると、やはり多少は見劣りします。素早いカウンターで抜け出した小林選手の得点は見事でしたが、連係という部分では物足りなさがありました。このへんの要因も重なり、フロンターレは、これまで見せていた攻撃のスムーズさがなりを潜めていたのだと思います。
 攻撃が明らかに停滞していましたから、後半にシステムを[3-4-3]に変えて、前線に変化を与えたのはいい采配だったと思います。左に張り付いていたレナトが前線で流動的になり、高い位置での起点を作りやすくなりました。
・・・・とまぁ、いろいろ書きたいわけですが、朝からずっとフロンターレの原稿を書いていたので、さすがにブログでもいっぱい書くのはしんどいっす。なので、ちょいと軽めにサラサラッと書きますわ。もう残りは、お茶漬け感覚で読んでください。
 後半、一度は逆転されたものの、よく追いつき、ひっくり返しました。西部選手のビッグセーブも光りましたし、ロスタイムには、伊藤選手の決定的なシュートがゴールライン上の大久保選手の足に当たってクリアとなるアクシデントもありました・笑。
 これには憲剛選手も「ヒロキさんがヨシトに当てるから!あれで試合が終わってたらみんな頭を抱えてたよ。オレもヒロキさんになんて言っていいのかわからなかったし。でもその後に、ちゃんとヒロキさんが競り勝って、それがPKにつながったと自分で言ってたからね」とやたら饒舌でした。
 あの場面を伊藤選手に聞くと、「あそこは頑張りましたから」とニヤリ。ただ通りがかった憲剛選手が、「あれ、なに?」といじると、「憲剛は人に文句ばっかり言うけど、最後も取られているやろ!クサビも出しにくかった!」と負けじと反撃。広報さんが苦笑いする中、実にフロンターレらしい平和なやりとりを見学させてもらいました・笑。
 これでシーズン前半戦を終了。
うまくいかない試合でも勝ちに持って行けるようになりました。中断明けが楽しみですね。
中断中の風間メソッドの勉強にどうぞ。
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サッカー批評が出ました。今回は「サッカー監督の正しい叩き方」。

 サッカー批評、最新号が出ました。
今回のテーマは「サッカー監督の正しい叩き方」
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その中の「Jリーグ監督の処世術を読み解く」という特集で川崎フロンターレの風間監督の原稿を執筆させてもらいました。
 今年のJリーグで、風間監督ほどシーズン序盤と現在で周囲の評価がこれほど変わった人もいないかもしれません。未勝利が続いた4月のどん底の時期は、スタジアムの雰囲気含め、サポーターからもかなり手厳しい意見が多かったと思います。
 ただ風間監督のスタンスって批判されているときも、評価されているときもさほど変わらないんですよね。つい最近も、風間監督に「最近は、周囲の評価もだいぶ変わったんじゃないですか」となんとなく水を向けてみたのですが、「俺はまわりの評価は気にしないから」と、相変わらずな感じでした。勝ってるときぐらい「まぁな」ぐらいは言ってくれると思ったのですが・笑。
 たぶん自分の中に確固たるものであり、断固たる決意(スラムダンク的表現)があるんでしょうな。そしてもっともっと上を目指しているのでしょう。
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 最近、昨年の監督就任時の会見を読み直してみたのですが、今読むと、これがなかなか興味深いです。
4/24 風間八宏監督就任記者会見[全文]
「正確性はスピードに変わる」、「ボールを失わないサッカー」、「どう勝つかにこだわる」など、現在のピッチで表現されているサッカーの理解に役立ちます。
 ちなみに「監督の理想のサッカーは?それは何対何?」と問われた際にはこう答えているんですよね。
「正直言うと、理想はありません。なぜかというと、それは選手の中で決めることで僕がやることではないですから。一番は、もちろん90分間ボールを持ち続けて選手が楽しんでやること。球技である以上、ボールを持たずに考えることはないですよね。例えば手でやるスポーツで、ボールを持っていない、ボールを取られることを考えるスポーツはないですよね?だから堂々と自信を持って、ボールを持つサッカーをしていって欲しい。そのなかで選手たちの発想が出てくる。何対何というのはありません。その中で僕があれそっちに行くのと思うことがあって、まったく違う方向に行っても、それでとんでもない結果を出してくれればそれは面白いと思う。元から当てはめる気もないですし、彼らが作っていくものにもっともっと大きくしていこうと考えています。それが僕の理想だと思っています。」
 つまり、風間監督は「理想はない」って言い切っているんですよね。だって「プレーするのは自分じゃなくて選手なんだから」と。勝てない時期は「理想論」とよく批判されてましたが、実は本人は「理想はない」って最初に言っていたところが、今読むと興味深いです。
 さて明日は首位・大宮戦。
首位ということは、今日本で一番強いチームです。そんな相手にどんなサッカーを見せてくれるか。楽しみですね。... 記事を読む

ごう、TBSに行く。

今日は、お仕事でTBSに行ってきました。
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休日なので、思ったよりもたくさんの人でにぎわっていました。なんかいろいろ催し物もしていたみたいです。局内に貼られていた視聴率表をパシャリ。やはり朝ズバ!は数字取ってるのね。
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仕事は、インタビューでした。過去には、M-1の優勝経験もある、お笑い芸人さんのインタビュー。$いしかわごうオフィシャルブログ「サッカーのしわざなのだ。」
局内にあるラジオブースでインタビューさせてもらいました。ラジオブースで向かい合いながらインタビューするなんて初めて。少し面食らいましたが、インタビュー自体はすげぇ楽しかったです。芸人さんはどんどん話を広げて、面白くしてくれますね。さすがです。あっという間の1時間でした。
先週はテレビ朝日、今週はTBS。なにげに2週連続、仕事でテレビ局に行ってますね。来週は・・・・たぶんどこの局もいきません・笑。
そういえば、昨日観た情熱大陸は面白かったなぁ。
「桐島、部活やめるってよ」の朝井リョウさん。サラリーマンしながら、朝と夜に原稿を書いて作家として活動してるのね。すごいわ・・・僕ももっともっと頑張らねば。
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等々力取材〜完勝の浦和戦。

 昨日は等々力で浦和戦を取材。試合は4-0で勝利。
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 完勝だったと思います。
もともとフロンターレは、ペトロヴィッチ監督とは抜群に相性がいいです。ただそれは、(水曜日の広島戦後のブログのときも触れましたが)相手にボールを持たせてカウンターで仕留めるという形での「勝利の方程式」だったわけで、自分たちがボールを握っていくような真っ向勝負の戦い方ではありませんでした。
 だからなのか、ペトロヴィッチ監督は、これまでフロンターレ戦に負けても「自分たちのサッカーはできていた」と話すことが多かったんですよね。09年に等々力で7-0で負けたときでさえ、そうでした。
 しかしこの試合後の監督会見は違いました。
「私が浦和の監督に就任してから、最も悪いゲーム。我々が負けるに値する内容でした」、「私が交代して、全員の選手を交代したいくらいでした。唯一ポジティブだったのはすべてが今日は悪かったということ」と白旗をあげてました。敵将がそこまで認めるのですから、「完勝した」と言っていいと思います。
 実際、試合内容もよかったですからね。
一般的な視点で見所をあげるとしたら、フロンターレがシステムを変えたことになるのでしょうか。去年もスリーバックで試合はしてますが、前節の広島戦後半に変えた[3-4-2-1]でスタートし、守備の局面で浦和のシステムとガッチリと噛み合わせるミラーゲームとなりました。
「今回は相手のフォーメーションの形に合わせることになったが、だからといって、やるサッカーを変えたわけじゃないですね。攻撃のときはボールを大事にしているし、相手がボールを持ったときにハメやすくしただけです」
 そう話してくれたのは、中澤選手。
両隣のセンターバックとの距離感が良いため、マッチアップした興梠選手に入るクサビに対して積極的にチャレンジできており、起点を作らせませんでした。前に居る稲本選手のプレスバックも効果的だったため、中央が完全に崩される場面は少なかったですね。
 サイドの攻防でも、登里選手と實藤選手が、それぞれの局面攻防で劣勢になることはありませんでした。そして今季リーグ戦初となる無失点。西部選手は「結果を出すのが遅過ぎだけど」と苦笑いしてましたが、今後に向けたいい材料であるのは間違いないと思います。
 守備の局面こそシステム論になってしましたが、こちらがボールを持った攻撃のときは、相手のシステムを無力化するサッカーができていました。むしろこっちのほうが試合の本質だったと思います。
 風間監督のサッカーにおける約束事はひとつだけです。
「ボールを失わないでゴールを目指すこと」

ボールを奪われずにゴールまで運べるなら、それがカウンターでもポゼッションでも手段はどっちでもいいわけです。その両方を自在にできるように日々のトレーニングで個人の技術、戦術眼を徹底的に鍛えているわけで、その変化は去年から試合を観ていればわかると思います。実際、出し手のパスの強度や正確性、受け手もトラップしたときのボールの置き方、身体の向きにこだわり続けてきたことで、ここ最近はチームとしても、ずいぶんボールを奪われないサッカーを体現できるようになりました。あれだけ点を取れているのに、ゴールのバリエーションが実に多彩ですよね。
  浦和戦で圧巻だったのは3点目の崩しです。
自陣からのビルドアップを含めて、「パス何本つないだんだ?」っていうね。瞬間的に局面を狭くして奪おうとする相手をひょいひょいとパスで交わしながら逆サイドに展開。そうやってボールを運んでいきながら、大久保選手が中盤に下がってボールをさばくと、味方も上がっていく。そして左サイドから中に走り込んで行ったノボリがゴールエリア内でポストプレーをして、最後はボランチの山本選手がズドンと仕留める。相手は最終ライン5人で守備ブロックを固めているのに、2人だけで完全に崩しました。麻生の練習でよく見る形ですが、試合で見ているとほれぼれするようなゴールです。
 「あの身のこなしはヨシトさんっぽかったですよね?あれはヨシトターンですね」

 と、ミックスゾーンでドヤ顔だったノボリ。
ちなみにその日の夜のスポーツニュース、日テレのgoingも、スカパー!のマッチデーハイライトも、あの崩しは、ノボリではなく大久保選手のアシストとしてナレーションしてました・笑。背番号23が13に見えたのだと思いますが、流れの中で左サイドバックの選手がゴールエリア内でポストプレーをしているとは思わないのかもしれません。
 そしてこの日はなんと言っても、J1通算100ゴールを達成した大久保嘉人選手。
でも僕はゴール以外の部分で彼に注目してました。というのも、大久保選手といえば、相手の守備ブロックの間、間に顔を出してボールを受けるプレーがとても上手いのですが、先日の広島戦ではその動きが少なかったんですよ。そこが気になっていたんです。
 暑さや連戦だったこともあって、そういう動きがしんどかったのかなと思っていたのですが、本人に理由を聞いてみると、そうではなかったみたいです。守備のときに広島が[5-4-1]布陣で人数をかけて中央を締めていたので、そこでワントップにいる自分が中盤に下がると、中に人がいなくなるから、あえて下がらずに前線に張り続けていたとのことでした。
 それはそれで悪くない判断だと思いますが、結果的にボールを触る回数が減ってしまい、自分自身のリズムが作れなかったことを本人は悔やんでました。前線に居続けるのではなく、状況によってもっと中盤に下がってボールを引き出したり、触ったりして、自分のリズムも掴むべきだったと。
 この浦和戦では、そういうプレーを意識的にしていたと思います。もちろん、ゴール前でも仕事をしていましたが、あの3点目の場面なんかは大久保選手が中盤にいましたからね。おまけに憲剛選手もレナトも前線におらず「中に人が居ない状態」でしたが、それを見たノボリと山本選手がちゃんと前に出ていって、ゴールを決めました。こういう崩しが今後も出来るようになれば、大久保選手のフィニッシャーとしての負担も随分と減るでしょうね。
 試合後、憲剛選手に「いま、サッカー楽しいでしょ?」と聞くと、「チョー楽しいよ」と返してくれました。
 そりゃそうでしょうね。観ている方も楽しいですから。
序盤の低迷もなんのその、シーズン中盤の台風の目になりつつある川崎フロンターレ。水曜日、首位・大宮との一戦もとてもとても楽しみですね。
—-
「風間サッカーって何なの?」という方は、風間監督の著作を読むのがいいかと思います。
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麻生取材〜大久保嘉人の100点目のゴールパフォーマンス案は・・・

 本日は麻生取材に。
とにかく、暑いっす。観ているだけでしんどいっす。ノド、カラカラです。ヒザ、ガクガクです。夢、モリモリです。いや、知りませんけど。
 明日は等々力で浦和レッズ戦です。
注目はなんといっても、現在Jリーグ99ゴールの大久保嘉人選手。ホーム等々力での100ゴール達成なるか。たぶん、たくさんのメディアが集まりそうですね。
 今日の練習後、「100ゴール達成したときのゴールパフォーマンスは考えたんですか?」と大久保選手に聞くと、「いや、何も考えとらんよ」と一言。
 そもそも大久保選手の場合、ゴールしたときの決まったゴールパフォーマンスがないんですよね。ジュニーニョなら天を指差す、みたいなやつが。シーズン序盤の頃は、ゴールを決めたらボールを抱えてセンターサークルまで走って戻っていましたが、あれは単に負けている展開だったからそうなっていただけですからね・苦笑。
 そんなことを話していると、大久保選手が「ひらめいた!」みたいな感じで、「そうだ、ノボリに考えてもらおうかな!・・・・それか、あいつにやってもらおう!」って言い出したんですよ。
・・・えっ。
ゴールパフォーマンスのアイディアをもらうならまだしも、後半部分の「あいつにやってもらおう」っていうのはなんすか。
 Jリーグの歴史に名が残るであろう偉業の瞬間の表現を、自分ではなく味方に託す発想は、いくらなんでも斬新過ぎます。ゴールを決めるときは「俺様」だけど、その後のパフォーマンスは「誰かどうぞ」って、目立ちたいのか目立ちたくないのか、あなたはどっちなんですか、と言いたくなります。相変わらず、よくわかんなくて面白いです、ヨシトさん。
 もちろん、ノボリはそんなことはまったく知りません。
帰り際のノボリにその話を伝えると、「えっ、俺の指名ですか?マジっすか?」とさすがに驚いてましたね。そりゃそうだろうに。
 ただノボリもノボリで、「まずアシストしたら、テレビにはたくさん映りますよね。あとアシストをしなくても、嘉人さんのところに一番最初に抱きつけば、けっこう映るとは思ってます」と、ポジショニングに関しては、今日の時点ですでにプランを立ててましたからね・・・さすがです・笑。
 まんざらではないようでしたけど、「嘉人さんが決めたのに俺が何かやったら、テレビ局に嫌われますよ」と笑ってました。あとノボリ本人は「僕も100ゴールまであと95ゴールなんですよ。あとちょっとですね」となんかカウントダウンを始めてました。
 とまぁ、こんなことばっかり書くと、まるで選手たちが浮かれていたみたいに思われるかもしれませんが、そんなことはないですよ。2人とも広島戦の反省を噛み締めていましたし、ここで連敗せず、ホームで勝つことの重要性をしっかり口にしていました。
 まずはここで勝つこと。そのうえで大久保選手がゴールを決めることができたらいいですね。
大久保選手は「どんな形でも良い」と言ってました。そして決めた瞬間は、このブログを読んでいる人はそのパフォーマンス案を握っている(かもしれない)ノボリにも注目してみると、もしかしたら何か見れるかもしれません。
 明日の浦和戦、前売りチケットはすでに完売したとのこと。等々力、満員ですね。いい雰囲気での好ゲームを期待しましょう。
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 昨日発売したサッカー批評の『Jリーグ監督の処世術を読み解く」という特集で風間監督の原稿を書きました。よろしければ、どうぞ。
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