日韓戦は3-0で完勝。巧みなビルドアップに注目。

日韓戦は3-0で完勝。
・・・うん、日本代表は強いです。得点シーンはどれもすばらしかったし、いろいろ語りたいことはあるのですが、一番は後ろからの巧妙なボール運びですね。狙いとしていた自分たちの形を出せたのは、1点目が入る前、たぶん前半30分あたりに見せた最終ラインからのビルドアップだったんじゃないかと思いました。
 少し振り返って解説してみようと思います。
 まず今野と吉田の両CBがボールを持ったら、内田と駒野が高いポジションを取って2バックになる。[3-4-3]のときは両ワイドが初めから高い位置を取っているわけですけど、組み立ての基本的な狙いは同じですね。
 2CBのボール保持に対して、遠藤、長谷部のダブルボランチのどちらかが上下動しながら顔を出して、前に運ぶために真ん中でパスを受けようとする。韓国の前線と中盤は、ここにボールが入った瞬間を奪いに行く狙い。日本はそのプレスをうまくいなすために、岡崎がボランチまで下がって引き出そうとするのが、これは岡崎に入った瞬間、韓国の中盤に潰される。ただファウルを獲得し、リスタート(センターサークル付近)。
 今野のビルドアップで再開。
今度は、遠藤が中盤の高い位置に出て行って相手の注意を引き付け、ボランチの位置まで下がってきた香川がワンタッチで今野に戻して、周囲の状況を伺う(このとき、すでに駒野と内田の両SBはどちらもサイドハーフの位置まであがっている)。次の瞬間、吉田から中央の岡崎にクサビを入れて、本田と縦関係でのパス交換。この崩しはバイタル前で韓国守備網にかかるが、こぼれ球を香川がセカンドボールを拾ってサポート。
 真ん中に寄って守備を固める韓国を見て、香川はここでがら空きの左サイドを選択。上がっていた駒野は、まったくのフリー。持ち運んで中央へとクロス。これはクリアされるが、跳ね返りを遠藤が左サイドで拾う。押し込まれっ放しの韓国はDFラインを上げようとするが、右SB・チャ・ドゥリのあがった瞬間を見逃さず、そのスペースに遠藤がループパス。駒野がチャ・ドゥリいないエリアをえぐって、再び中央へクロス。
 跳ね返されたボールは右サイドに流れていくが、そのボールを拾ったのは高い位置にいた右SBの内田。そして中にクロス。これも結果的には跳ね返されてしまうが、いやはや、息もつかせぬ連続攻撃だった。クロスがあわず得点こそ生まれませんでしたが、ポゼッションして中央を崩しながら、左右のSBも高い位置で攻撃に顔を出してゆさぶり続けるという、狙いとしている「自分たちの形」を出せた時間帯だったのではないかと思います。
 ただ苦言も。
3-0になるまではすばらしい内容だったと思いますが、終盤の軽率なパスミスから招いた3本の決定的なピンチは、ありえないですね。韓国の選手が、それ以上にありえないはずし方をしてくれたので助かりましたが、ああいうプレーはワールドカップ予選で命取りになる可能性もあるので、猛省していただきたい。
ザックJAPAN、いまだに無敗ですか。
W杯で勝つ ザッケローニの戦略 (別冊宝島) (別冊宝島 1768 カルチャー&スポーツ)/著者不明

¥980
Amazon.co.jp
いろいろなザック本を読みましたが、この雑誌が一番ザックJAPANをさまざまな角度から解析していると思います。日本代表選手だけではなく、ビアホフにまでインタビューしてますからね。... 記事を読む

8月のファーストマッチ。

 気づいている方もおるかと思いますが、ブログプロフィールのアイコンを似顔絵に変えてみました。
もともとはツイッターのプロフィール用に作成してもらったんですけど、せっかくなんで、ブログでも使おうと思います。
 さて、8月のファーストマッチとなった昨日の川崎F対C大阪は、1-2で敗戦。
月が変われば、ツキも変わると思ったのですが残念でした。試合内容と結果に関して思うこともいろいろあるのですが、それを詳しく書き始めるとキリがないですし、エルゴラやブロゴラで使いたいネタまでつい書いてしまいそうなので(笑)、ここではブレーキかけておきます。
 ピッチ外のことでいうと、誤算だったのが小宮山選手の試合直前での欠場。
 スタメン発表が終わって、一時間ぐらい前かな。まだキーパー練習も始まる前の等々力のピッチ脇で、小宮山選手はトレーナーに付き添われながら、ひとりでダッシュを繰り返していたんですよ。そして一通りダッシュを終えたあと、ロッカーに戻っていきましたが、この時間帯に一人でトレーナーと相談しながら動きを確認していたので、もしかしたら何か問題が起きたのかなと記者仲間と話していたんですよ。
 そうしたら、アップを終えてから行われる選手紹介の際、ベンチスタートだったはずの柴崎晃誠選手がスタメンとしてオーロラビジョンで紹介。そして当初は登録外だった田中雄大選手がベンチメンバーに。そしてキックオフ直前、広報さんが記者席に変更になったスタメン表を配りに来ました。「小宮山は左ふくらはぎの違和感です」との説明でした。
 
 試合が始まると、小宮山選手のポジションである左SBには右SBの田中裕介選手が入って、右SBにはボランチの田坂選手、そしてそのボランチには負傷明けの柴崎選手がという形でした。SBとCBのできる實藤選手が負傷でベンチ入りしていなかったのが痛手でしたね。彼がベンチにいれば、どちらのSBもできますし、連携も含めて何も問題はなかったと思いますし。
 キックオフからスクランブル体制でしたが、入り方はよかったんですよね。セレッソは相変わらず両SBが高い位置を取るので、いい形でつないでその背後のスペースを突ければ、一気にチャンスが作れる。6分にはその狙い通りの形でビッグチャンス。ワンタッチゴーラー小林悠に、ジュニーニョから「あとは流し込むだけ」のラストパスという場面もありました。でもそこで決められずにいると、開始10分でCKから失点。この失点時間って、前節浦和戦とほぼ同じ時間帯。つまり、残り80分は、引いた相手をどう崩すかの作業になりました・・って、うん、書き始めたら、やっぱりキリないな。
 ただ最近の負け方を見ていて気になるのは、まず相馬フロンターレの対策が相手に共有されつつあること(具体的なことは書きませんが)。そしてこちらが先に失点した展開になっていることで、その形にまんまとはめられていることかな。
もちろん、いくら対策を取られてもそれを打ち負かすだけのパワーであったり、戦術のオプションがあれば理想なのですが、就任一年目の監督がスタイルを浸透させている段階ですし、さらにけが人も多く台所事情も厳しい状況下で、その戦い方に「幅」を持たすことを監督や選手に要求するのは、現時点ではちょっと酷かなとも思ってます。夏場と言う要素も含めてね。
 だから現実的には、まず自分たちが先手を取って相手が狙っているパターンに持ち込ませない試合展開にさせるのが大事なんだよな。それだけに浦和戦やセレッソ戦のような形での失点が非常にもったいないわけで、うん。
 あんまり書かないといいつつ、結局、こんなにツラツラ書いてしまった・・・いやーん。
ではみなさん、明日からよい一週間を。... 記事を読む

「6月の勝利の歌を忘れない」の雑記その2。

昨日のブログで「6月の勝利の歌を忘れない」のDVDを見直したことを書いたら、ツイッター上でも同じようにしている人をたくさん発見しました。なんだかうれしいっすね。やっぱりサッカーファンの考えることって同じなんですね。
 ただこの作品はすでに廃盤になっているらしく、Amazonのマーケットプライスで新品を購入しようとすると、とんでもない高値になっていたことはアイタタタ・・・でしたけど。昨日の夕方見たときは、新品で5万円越えしていた。いくらなんでも高すぎでしょう(現在はそこまでではしないようです)。まぁ、youtubeにアップされているようなので、どうしても見たい方はそこで探してみるのもいいかと思います。
あと彼のインタビューが掲載されている、春に出た季刊エルゴラもAmazonのマーケットプライスでは5800円の値段になっているとのこと。ただこちらはまだ若干在庫があるので、書店経由で入手すれば定価で購入できるはずです。
季刊エルゴラ 2011年 05月号 [雑誌]/著者不明

¥580
Amazon.co.jp
 さてこのDVDの感想は昨日も書いたのですが、今日ももう少しだけ。
なんというか、当時は何気ないと思っていたシーンでもイチイチ考えてしまうんですよね。例えば冒頭で、松田直樹がマッサージを受けながら、「これどういうので使うの?」とカメラを回して映像を撮っている代表スタッフに尋ねる場面。「NHKとかフジテレビに売るの?」、「それもありえない話ではないけど・・・」みたいな、なんとも思わないで見ていた、たわいもない会話ですよ。でもさ、発売から9年後に。こんな思いで、松田直樹の発言を見なければならないわけじゃない。
 ラストシーンもしかりです。
ベスト16で散ったトルコ代表戦後のロッカールームの様子を伝えて、この作品は幕が閉じるんですが、サッカー協会の方が、敗戦で深くうなだれる選手たちの前で、こう言います。
「・・・2006年、2010年とワールドカップは続いていきます」
 このシーンを見た当時は、「次は2006年ってずいぶん先だな。ましてや2010年なんて・・・」と感じていたものですよ。すごく、すごく、遠い未来のことのように感じていた。
でも、いまは2011年なんですよね。
2006年も、2010年も、未来ではなく日本サッカーの過去としてすでに刻まれている。
SMAPの夜空ノムコウじゃないけれど、あの頃の未来に僕らは立っているんですよね。
しかも当時学生だった自分が、いっぱしのサッカーライターとして仕事してるんだもんな・・・・。
そんなことをしみじみと思いましたね。
ちなみにこの場面、松田直樹は「ディフェンダーはベテランでいこうよ!」と盛り上げて、「またフラットスリーでいくの?」と味方から突っ込まれていた。あははは。
 あー、松田直樹の自伝が読みたくなった。
読んだ後に、売ってしまったんだよなー。売らなきゃよかった。
闘争人―松田直樹物語 (SAN-EI MOOK)/二宮 寿朗

¥1,600
Amazon.co.jp
さて。
今日は、等々力でフロンターレ対セレッソ戦の取材です。いろんな思いを背負ってピッチに立つ選手がいると思います。しっかり取材せねばな。... 記事を読む

今日のエルゴラ、そして「6月の勝利の歌を忘れない」の松田直樹を見て。

今日のエルゴラ。
昨日の午後に届いた悲しいお知らせにより、急遽紙面が差し替えとなりました。松田直樹選手が表紙です。一夜明けても、やっぱり信じられません。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
日本のサッカー界で別れの季節というのは12月なんです。天皇杯に勝ち残っていないクラブは、12月頭にシーズンが終わると、だいたいその後1週間ぐらいの全体練習を終えるとオフに入ります。だから取材する記者にとっても、クラブから離れる選手とは、そのシーズン後のわずかな練習期間が触れ合うことの出来る最後の機会になる。
 選手が所属クラブを離れる理由は、「移籍を志願している」、「引退を決断している」、「戦力外通告を受けている」などさまざまですが、やはりさびしいのが戦力外通告を受けた選手。シーズンが終わったばかりで、まだ次の移籍先が決まってない状態で彼らと別れの挨拶をしなければなりません。
 このとき、僕は「さよなら」とは言わないようにしている。「じゃあ、また」と言ってその選手と握手するようにしている。その選手がサッカーに携わる仕事にい続ければ、そして自分がサッカーの仕事を続けていれば、またどこかで会えると信じているからです。「さよなら」と言って別れると、なんかずっと会えない気がするんですよね。だって、その選手が現役選手としてであれ、指導者の道であれ、あるいは解説者業なりのメディアでの仕事なのかはわからないですけど、またサッカーの世界で会おうよという思いもこもっている。だから「さよなら」は言わないようにしているんです。
 でも松田直樹選手にはとはもう会えなくなってしまった。「さよなら」と言わなくてはならない。本当につらい「さよなら」だ。こんな悲しいことはないです。
昨日の夜、フロンターレの練習取材から帰ってきてから、あるDVDを見ようと思った。
 「6月の勝利の歌を忘れない」
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
2002年日韓ワールドカップのトルシエジャパンに密着していたドキュメント。もともとDVD用に収録していたのではなく、帯同している代表スタッフが撮影した映像を、岩井俊二監督が編集した作品で発売当時は大変話題になった。
六月の勝利の歌を忘れない 日本代表、真実の30日間ドキュメント DVD-BOX/出演者不明

¥7,980
Amazon.co.jp
押入れから引っ張り出して見てみようと思った。
 見直すのは、一体何年ぶりだろう?
懐かしい顔ぶれだ。当たり前だけどみんな若い。トルシエは相変わらずだし、通訳のダバディもいい味を出している。中田英寿もいる。戸田和幸は赤いトサカだ。いまはフロンターレでプレーする稲本潤一もいる。このときのメンバーにはやはり思い入れがある。
そんな中で松田直樹は・・・やっぱり松田直樹だった。
彼らしいなと思ったシーンが、開幕前の決起集会での一コマだ。一番にプールに飛び込んでいって、その場を盛り上げたのは松田選手だった。さらに誰もが一目置いている中田英寿にも遠慮なく「ナカタが飛ぶぞ」コールをして彼をプールに落とし、ズブ濡れになっている中田英寿に頭をガシガシ叩かれていた。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
 大会中はフラットスリーの右CBとしてレギュラーを担っている。そして初戦のベルギー戦では、ラインコントロールにミスが生じて、二列目から飛び出しで右サイドを破られて失点を喫している。トルシエからも呼び出されて、松田選手が厳しく咎められている場面もあった。
 その後、ロシア戦を控えた練習後。
最終ラインだけでラインコントロールの修正点をあれこれ話し合っている場面があった。
「ただアイツはすっげぇうるせいじゃん。でもまぁ、試合で点を取られなきゃいんでしょ。」
アイツというのはトルシエのこと。トルシエの理論通りでは、ときに守備に破綻が生じることもあるのは選手たちも痛感していた。そんな状況を踏まえて、松田選手はそう言い放っていたのである。こういうやんちゃっぷりも、なんだか彼らしいな。
そんな風に映像にのめりこんでいけばいくほど、そして「6月の勝利の歌を忘れない」を見終わっても、やっぱり松田直樹のプレーがもう二度と見られなくなったなんて信じられなかった。
本当に残念です。
心からご冥福をお祈り申し上げます。... 記事を読む

スパサカ。

月曜深夜に放送しているので、見逃しがちなTBSの「スーパーサッカー」。
その時間は寝ているので、毎週録画してあとで見ているのですが、今週の放送はなでしこジャパンをゲストに招いてのトークでした。ついに国民栄誉賞も受賞ですかー、すごいわ。
 なかなか面白かったですね。
まず帰国時、澤さんが「お寿司を食べたい」と言っていたことに着目し、近賀ゆかり選手の実家であるお寿司屋さんに行き、「なでしこイレブン寿司」を父親に作ってもらう企画を実施してました。
 2トップの安藤梢選手と川澄奈穂美選手は、スピードとキレがあるので「イカ」、澤穂希選手は寿司の王様ということで「中トロ」、岩清水梓選手は、センターバックとして守備をシメる意味で、貝の中でも王道の「赤貝」とか、趣向を凝らしていました。近賀ゆかり選手は、右サイドバックとして上下動を繰り返し、攻撃に守備に、粘って粘って戦い抜いてきたので、「納豆」でした。
鮫島彩選手は寿司ネタにサメがないので「カニ」とか、かなり強引なのもありましたけど、そこは「小さいことは気にするな!ワカチコ、ワカチコっ!」ってことでいいと思います(古いよ、ネタが)。
最後に佐々木則夫監督は、イレブンを包み込むっていうことで「かんぴょう巻」。「則夫だから、ノリで包むってことで」とか、キレ味抜群のダジャレも発揮していました。
 あと澤選手に向けて、中村憲剛選手から祝福のVTRも流れていました。
その中で「怪物だなんて言ってません!」と、ある報道を全力否定(笑)。たぶん、これかな?
憲剛も応援「沢さんは最初に会った怪物」
http://www.nikkansports.com/soccer/news/p-sc-tp1-20110713-804215.html
 僕が取材したときとは別の日なので、真相はわかりませんが。まぁ、小学生時代の2歳上の上級生って、ものすごく大人でもありますからね。澤選手について語るときの中村選手が、ものすごく腰が低くなっていたのも、ちょっとわかる気がします。
なお自分が取材したときは、「同じ2歳上の伊藤宏樹さんには、すごいタメ口をきいてますけどね」と律儀にオチをつけてくれてました(笑)。
澤選手の自伝「ほまれ」にも、ちゃんとケンゴ選手の話題は出てきてますよ。
ほまれ/澤 穂希

¥1,680
Amazon.co.jp... 記事を読む

ドイツ大会は澤の大会。

 なでしこジャパン、帰国しましたね。なでしこフィーバーですね。
この優勝、海外では「ドイツ大会は澤の大会」と表現されているとのこと。大会最優秀選手賞、ボランチでありながら、得点王を獲得。そして試合終了間際の劇的同点弾。記録も記憶も刻みましたからね。文句なしだと思います。
 ヴェルディを長く取材させてもらっていたので、澤穂希選手にも何度かインタビューしたことがあります。
 こちらの質問にはすごく的確に答えてくれるし、とにかく頭の回転が早い人だなーというのが感想でした。そして自信に満ち溢れている。ずっとトップを走り続ける人のメンタルってこういうものなんだろうなーと思ったし、男子のフットボーラーとはまた違った印象を受けたことを覚えております。
 あとベテランといわれる年齢になったからこそ、「最近、サッカーが楽しくなってきたんですよ」とも言っていました。若いときとは違ってプレーの選択肢が増えて、パスの質、リズムを変える工夫など、頭を使うプレーが楽しいと。そういうサッカー観の変化が興味深かったですね。
「もし、サッカー選手になっていなかったら?」という話題の時には、「弁護士かな」とも言っていました。資格を取るのが好きだそうです。似合ってそうですね。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
 これは、マイ手帳のサインコーナーにある澤選手のサインです。
さて、仕事に戻ろう。... 記事を読む

日本がワールドカップで優勝した日。

$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
ワールドカップトロフィーを掲げる澤穂希.
いやはや、朝からしびれました。ワールドカップで優勝すると、こういう気持ちになるんですね。はー。こんな光景、キャプテン翼の世界ですよ。いや、キャプテン翼よりも先に実現してしまうんだもんな。
この日の試合展開もそうですが、現実は漫画よりもドラマティックで、エキサイティングで、スリリングで・・・あとはなんだ?うん、わかんないけど、最後まで絶対にあきらめない気持ちとか、夢を叶えるチカラとか、そういうのも全部ひっくるめて、見ている人の心に響く戦いぶりでした。あの「最後まで絶対にあきらない気持ち」っていうのは、彼女たちの才能ですよね。本当にすばらしい。
 一応サッカーライターのはしくれなので、試合を少し冷静に振り返ってみます。
前半は無失点で済んでいるのが不思議なぐらい防戦一方でした。アメリカが高いラインで激しいプレッシングを敢行。澤のところをかなりケアされていて、後ろからのビルドアップもままならなくて、奪ったボールを縦に入れても、すぐに取られて逆に相手の速いカウンターを受け続ける悪循環。アメリカのプラン通りのサッカーをされていたと思います。ただ守備を崩されながらも、最後の局面で必死に身体を寄せて守っていた。相手のシュート精度にも助けられてましたけど、あの立ち上がりに一本でも決められていたら、0-2、0-3となっていた可能性もあったと思ったぐらい。本当に心臓の悪い前半だった。
 後半も劣勢は変わらず。ワンバックとの空中戦はよく抑えていたのですが、カウンターからモーガンのスピードにやられて失点。それでもサイド攻撃から打開して、最後は逆サイドから中に走りこんでいた宮間が、クリアボールのこぼれ球を拾ってゴール。「なんでそこにいるの?」という「そこにタニ」、「そこに悠」に次ぎぐ、「そこにあや」でしたな。
 延長戦前半に、警戒していたワンバックにヘディングを叩き込まれたときは、さすがにダメかと思ったがそこから追いつくんだもんな。CKから決めた澤穂希の魂のダイビングシュートもミラクルでしたけど、それよりも評価したいのは、そのCKを取ったプレーですよ。澤のロングパスに反応していた右サイドバックの近賀ゆかりですからね。延長後半のあの時間帯にサイドバックがゴール前に攻撃参加しているんだから、恐れ入りますよ。彼女の攻撃参加が奇跡的な同点劇を呼び込んだのだから、あのプレーはもっともっと評価すべきですよ。
 PK戦は、1本目で勝負が決まったんじゃないかな。
まずGK海堀がアメリカの1本目を足で止める。ただこういうときって失敗が連鎖するというか、日本も決まらない流れが生まれがちなんですよね、PK戦も場合。でも宮間の落ち着きが半端ない。小刻みにステップワークするアメリカGKのソロの動きを冷静に見極めて、逆をついて成功。
 最後のキッカーになった4人目の熊谷の「決めたらたぶん勝ちだと思ったけど、確信はなかった。みんなが喜ぶ姿を見ていて、喜んだ」っていうコメントにも爆笑。だって、「決めたらワールドカップで優勝」というシチュエーションでのPKですよ。世界中のサッカー選手でも感じたことのない大プレッシャーなのに、あんまり気づいてなかったっていうね。天然かっ。
 はー、ワールドカップで優勝してしまうんだもんな。
岡田武史前監督は、日本代表のワールドカップベスト4を掲げて臨みました。あのベスト4宣言も、もともとは「韓国代表だって(日韓大会で)ベスト4まで行ったんだから、俺たちだっていける」というのがきっかけでベスト4を目指したと記憶しています。でもさ、なでしこが優勝したんだから、男子だって「ワールドカップ優勝を目指す」と口にしたっていいと思う。無理だよ、じゃなくて男子もやったろうじゃん、てなっていこうよ。そういう意味でも、本当にいろんなメッセージのこもった優勝だったと思うわ。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
今日のエルゴラ、フロンターレが表紙だったんだけど、すっかりかすんでしまったぜ(笑)。まっ、ワールドカップで優勝したんなら仕方がないよね。
本当におめでとう、なでしこジャパン。... 記事を読む

等々力取材。

昨日は等々力で川崎フロンターレ対アビスパ福岡を取材。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
 ドラえもんも応援に駆けつけてました。
フロンパークでは子供との撮影会がありました。いいなぁー。試合前はのび太くんが始球式をしたし、スタンドに長さ約40メートルの大型ドラえもんフラッグが登場しましたからね。もともとは、9月3日に「藤子・F・不二雄ミュージアム」が川崎市にオープンするので、それでコラボできたみたいですが。。。。なんといっても「あの」ドラえもんですからね。実現にこぎつけるまでは、相当大変だったみたいです。
 スカパー!の中継打ち合わせでは、秋田豊さんが解説でした。
秋田さんとはまだ2度目の面識なのですが、相馬さんがフロンターレでやっている戦術のことをわりと僕に聞いてくるんですよ。「こういうやり方だけど、練習ではどうなの?」とかなどなど。僕ごときでは日々の練習と取材で得た知識の範囲でしか話せないのですが、元日本代表・秋田豊さんとサッカー談義(議論?)させていただけると、非常に勉強になります。試合後の監督フラッシュインタビューを見ていたら、相馬さんにガツガツ突っこんでいてちょっと面白かったです。
 試合は最下位・福岡に辛勝。
収穫と課題の両方のポイントがあった試合だったと思いますし、福岡のプランにうまくやられたところもありました、そのへんのあれこれは、エルゴラに書きましたんで、そちらを買って読んでくださいということで(休刊日ゆえ火曜発売なのでご注意を!!)。
 ただ正直、後半、3-0になった時点で等々力は「フロンターレがあと何点取るのか?」という空気になっていたと思いますね。だって6月には大宮戦の5-0ってのがありましたから。そしたら岡本選手に見事な2発を見舞われ、残り15分でまさかの3-2。終盤は、フロンターレも暑さで足が止まり、福岡のパワープレー攻撃にバッタバタ。終了直前にはエリア内で實藤選手がハンドを取られてもおかしくない場面もありました。フロンターレとしてはラッキーな判定でしたが、よくよく考えたら、先週のマリノス戦のロスタイムではこちらがエリア内での相手のハンドを見逃されるアンラッキーな判定がありましたからね。まぁ、そんなもんです。
ナイターゲームだったので、取材を終えて自宅に帰るとだいたい日付が変わってます。土曜だったんで、フット×ブレインが放送してました。ゲストは、情熱大陸にも出てたブックディレクターの幅さんでした。サッカーマニなんすね。例によって、本棚を作成。いいチョイスしてたわ。
 もう一度、冷静に見直して原稿を書こうと、試合映像を分析していたのですが、そしたらすっかり朝方に・・・・そりゃ、なでしこジャパン見るでしょ。いやはや・・・大興奮でしたわ。。敵地で3連覇を目指すチャンピオンに勝つなんて、日本サッカー史上ナンバーワンのジャイアントキリングでしょ?
 もう言葉にならない・・・試合中はツイッターでもつぶやいてましたが、最初は山王工業に挑む湘北の気分でしたわ。でも善戦じゃ終わらなくて、本当に我慢強く戦って、延長に入って丸山のゴールでついに先制。延長後半の地元の大声援も「こんな応援聞こえんわー!」と湘北ベンチメンバーの気分だったもんな。本当にすごかったわ。震えたし、しびれたし、吠えたわ。
あの歴史が変わった瞬間の感覚は、朝起きてニュースで結果を知ったり、録画で見ても味わえないわ。MOMは澤穂希選手ですね。自分が採点していたら、たぶん8.5点か9.0点クラスだと思う・・・勝利の価値といい、それぐらいの試合だったからね。というか、そういう点数はこういう試合じゃないとつかられないですから。
 うーん、本当にいいものをみせてもらった。なんか最近、サッカーで感動し過ぎだわ、おれ。... 記事を読む