[書評]「勝負哲学」岡田武史 羽生善治

 どうも。
サッカーブック・ソムリエのいしかわごうです。
本日紹介する本は、こちらです。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
 「勝負哲学」
 前日本代表監督の岡田武史氏と将棋プロ棋士の羽生善治氏による対談本。
サッカーと将棋には共通点が多いと思うのですが、そこについて語り合う内容というよりも、勝負を分ける決断の筋道であったり、ロジックや直感といったものの認識を議論している内容ですね。サッカーに関しては、監督視点での話が中心ですね。
 例えば、勝負を決める決断力について。両者の意見はこんな感じで一致しています。
岡田「勝負事においては、ロジックやデータを積み重ねれば積み重ねるほど、それだけではカバーし切れない、直感やひらめきというあいまいで非論理的なものの重要性が増していく。
羽生「本当の勝負は、ロジックの限界点から始まる」

 決断と言う部分では、岡田監督のデータに関する認識も興味深かった。
左サイドのディフェンスが破られている、攻撃が右サイドに偏っている、そういうことがデータを見ないとわからないようでは、そもそも監督は務まりません。今はピンチだ、チャンスだっていうことをいちいち数字に教えてもらっているようでは話にならないでしょ?
コーチなどから「監督、いまこうなってます」とデータを示されて、「えっ、そうだったのか」と意外に感じていたら、その時点で監督失格です。その意味で、データは自分の感覚を裏付ける情報でしかないということです

 最近、サッカーでも注目されることが多いデータですが、データはあくまで裏づけ。そこから新しいサッカーが生まれることがあるかといえば、「ノー」だとはっきり断言。このへんは現場監督の経験者ならではの認識かもしれませんね。
 
 あとはワールドカップでの采配についても触れていますね。
例えば、「状況が悪いと動きたくなるけど、じっとがまんのこを決め込む。すると流れが好転することがあるんです」という話で、「面白いから」と逆に我慢できなかった例でデンマーク戦の采配を挙げていました。
 引き分けでも決勝トーナメント進出が決まる状況で迎えた、あのデンマーク戦、岡田監督はメンバーこそ変えなかったものの、中盤の長谷部選手、阿部選手、遠藤選手で構成していたトリプルボランチをダブルボランチにしてスタートしていたんですよね。その決断について語っています。
「私は引き分け狙いの守備的システムを敷くことで選手が守りに入るのが怖かったんです。『引き分けでもいいや』と消極的になった途端、やられることも多いですからね。やられたら、つかみかけた決勝トーナメント進出も泡と消えてしまう。そこであえて中盤を五人から元の四人に戻し、前線を攻撃的な陣容にして点を取りに行く積極策をとったのです」
試合が進むにつれて、案の定、中盤を抜かれてピンチが広がるケースが増えてきましたが、私は何度か肝を冷やしながらも、我慢だと自分に言い聞かせてきました。試合の途中で、遠藤が「監督、僕の周りにスペースがいっぱいあります」と訴えてきたときも「一人減らしたんだから当たり前や。もっと横に動いてスペースをつぶせ」と言いました。
ところが世界は甘くありませんでした。その後も決定的なピンチが続き、思わず目を覆いたくなるような決定的なシュートも打たれる―――ということで、とうとうがまんし切れなくなって、結局システムの再変更を指示したんですね。中盤をまた五人に戻したんです。戻した後はこっちのペースで戦う場面が多くなり、選手も消極的になることなく攻撃的に戦ってくれて、勝利を手に入れることができました。
 だから、結果的にはよかったんですが、流れが変わるまで我慢できなかったという点では、少し自分自身に対して思うところはあるんです。

 あのデーマーク戦。引き分け狙いの姿勢では消極的になってしまうから、アグレッシブにいく戦い方を取る。これはこれでひとつの尊重できる決断だと思うんですよ。しかしこれが裏目に出てしまった。その状況でどうするのか。その決断を貫くのか、それとも変えるのか・・・ものすごく難しい判断ですよね。しかも、これがワールドカップの決勝トーナメントをかけた大事な試合中に起きる・・・・こわいわー、常人ならパニックですよ。そこで岡田監督は、勇気ある撤退をし、それが功を奏した。自分の信念を貫くことも大事ですが、ときにはそこを曲げてでも目的(勝利)のためならば柔軟な判断を下せる。あのデンマーク戦の前半だけでも、いろんな要素が詰まっていますよね、はい。
 あとは若手の将棋から学ぶべきものがあるという流れで、岡田監督がこんなことを明かしてました。
例えば、あるチームの指導者が、それまでの常識にはないようなサッカーをするのをすごく面白いなと思っていましてね。そのアイディアをどうしても知りたくなったんです。それで、知るのには仲間に入れちゃうのが一番手っ取り早いと考えて、代表チームのコーチに呼んだこともあるんですよ。
・・・これ、O木さんのことじゃないですか・笑。
 対談本ですし、将棋に詳しくないサッカーファンでもあまり構えずにサクサク読めると思います。
勝負哲学/岡田武史 羽生善治

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「グラゼニ」&「メジャーで勝つ」

先日も紹介した、オススメの漫画「グラゼニ」。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
その最新刊2巻をあらためて。
今回の見所は、年俸1800万円・凡田の10倍、1億8000万円の打者との対決になるのかな。
あとは漫画家から野球漫画の取材を受けたり、スポーツ記者との関係が描写されたり、プロ野球界の人間関係とかもわかる漫画なので、そういうエピソードが面白いですね。プロサッカー選手とは違うプロアスリートの世界なので、ボクも読んでいて興味深いです。
巻末には、ジャイキリ・エクストラに掲載されていた「凡田ジャイキリを読む」も収録されてました。確かにタッツミーって年俸いくらぐらいなんだろ?
・・・・・中継ぎ投手といえば、サッカーブック・ソムリエいしかわごう、最近はこんな本も読みました。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
「メジャーで勝つ」
 メジャーでセットアッパーとして活躍した長谷川滋利さんの本です。
ある意味で、グラゼニを地でいっていたような方かもしれません。日本から鳴り物入りでメジャーに行ったわけではないのに、一定の成績を収めていた彼が実践していたノウハウを紹介しています。
 内容も日米のシステムの違い、頭の使い方、コンディショニング、メンタルの強化など多岐にわたっています。セットアッパーという仕事柄、チームの顔と言えるほどの大活躍ではないけれど、チームに必要とされる選手として息の長い存在であることが重要ですからね。どうやって自分をアメリカにアジャストしていったのかを主眼に語っています。
 現役時代から、自己管理や自己啓発、英語の学習法などの本を出版していた方ですからね。もちろん野球の話が中心なのですが、自分をしっかりと知ること、そして自分の戦う舞台や所属する組織をよく観察して、それにあわせた対応を実践する作業の必要性を説いています。日本でもアメリカでもプレーしたからこそ語れる内容が詰まっていました。
「サッカーブック・ソムリエがベースボールの本を紹介する」の巻でした。
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[書評]川島永嗣「準備する力 夢を実現する逆算のマネジメント」

どうも。
サッカーブックソムリエ・いしかわごうです。
今回ご来店してくれたあなたに紹介するのは、いまサッカー界注目の一冊です。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
 川島永嗣選手の著書「準備する力 夢を実現する逆算のマネジメント」
 ついに出ましたね。日本代表守護神の本。
正直、長谷部誠選手のベストセラー「心を整える」を意識した本の作りなのかなと思ったんですよ。でもそれと比べると、読んだ感想としてはかなり硬派な作りです。
内容も、目標に向かうときに川島選手が指針としている哲学、自身の失敗と成功の経験を通じて導き出したセルフマネジメント術などをマジメに明かしていますね。「好きなミスチルの曲ベスト10」とか「オススメの本」とかのコーナーはありません・笑。
マネジメント法は10章で構成されています。
第1章 強い心をつくるためのマネジメント
第2章 プロで成功するためのマネジメント
第3章 日本代表になるためのマネジメント
第4章 海外で成功するためのマネジメント
第5章 勝てる組織をつくるためのマネジメント
第6章 強い肉体をつくるためのマネジメント
第7章 ハッピーな人生を送るためのマネジメント
第8章 経済で失敗しないためのマネジメント
第9章 スキルを磨くためのマネジメント
第10章 豊かな社会にするためのマネジメント

 自伝的な内容になっているのも特徴ですね。
高校時代や最初にプロになった大宮アルディ-ジャ時代、楢崎選手の控えとして過ごした名古屋グランパス(エイト)時代、そして川崎フロンターレ時代と今のリールセ時代、そして年代別の代表、フル代表・・・・どの時代の川島永嗣が何を思っていたのか。過去の体験談やエピソードもかなり具体的で、そこもしっかり語っている印象です。
 個人的には、名古屋時代の体験談が興味深かったですね。
一年目、毎日練習で100パーセントの努力を尽くしていたが、チャンスをもらえず移籍を志願。そのときにある言葉で思いとどまり、もう一度自分を徹底的に分析し、原因究明の因数分解を繰り返したというもの。川島選手は、フロンターレ時代から、名古屋時代の経験が糧になっていると言っていましたが、試合に出れなかったことは、心の中で相当なプレッシャーや焦りになっていたのだな、と。あとは名古屋時代、秋田豊さんから強い影響を受けていたことも少し意外でした。
 フロンターレについては「アットホームなフロンターレのチームの雰囲気に触れると、最後の最後は、フロンターレに戻って恩返しをしたいという気持ちにもなる」と書いてくれているのがうれしいですね。サポーター泣いちゃいますよ、これ。
・・・とまぁ、サッカーだけに限らず、語学であったり、お金に関する考えたであったり、食生活についてであったり、とにかく彼の人生観たっぷりの内容です。一流アスリートと言われるプロサッカー選手がどういうことを考え、どういう目標を立てて行動を積み重ねているのか。長谷部選手とも違った答えが垣間見れると思いますよ。
 せっかくなので、僕自身の川島選手との思い出も少しだけ。
 川崎フロンターレの担当記者になると決まった時、楽しみのひとつになったのが川島選手の取材でした。
03年のワールドユースでビッグセーブ連発に魅了され、時間があれば当時J2だった大宮の試合に足を運ぶようになりましたし、個人的に成長を楽しみしていたGKでしたから。大宮時代には、レプリカシャツにサインをもらったこともあります。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
このときは単なるファンでしたが、取材対象として接するようになって知った川島選手は、顔なじみになれば彼の方から挨拶してくれるナイスガイで、こちらの質問にも常に真摯に答えてくれる選手でした。
例えば活躍した試合後にメディアの取材に饒舌になる選手は多いですが、その反面、負けた試合になると、話しかけにくい不機嫌な雰囲気を出す選手も少なくありません。人間だから仕方ない部分もあると僕は思っているのですが、川島選手の場合は、負けた試合の後や、失点の原因などを聞かれた時でも、敗因を分析し、感情をコントロールしながら丁寧にコメントしようとするタイプでした。本書の中でも書いてましたが、本人もそういう風に心がけているそうです。なるほどね。
 そして常に高い目標を掲げて、そこにトライする向上心も持ち続ける選手でした。
去年、フロンターレとは半年契約を結び、浪人してでも海外に挑戦する決断は難しかったと思いますが、それ以上に叶えたい目標があったということ。ベルギーではなかなか苦難続きのようですが、きっと乗り越えてくれることでしょう。
 そんなアツイ男、川島永嗣の人生観が書かれた一冊です。「オレも自分の仕事で日本代表になりたい!」と燃えている人には、たくさんのヒントが詰まっていると思いますよ。
準備する力 夢を実現する逆算のマネジメント/川島 永嗣

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日本代表激闘録 AFCアジアカップ カタール2011 [DVD]/出演者不明

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[書評]調べてもわからないサッカーのすべて

 こんばんは。
サッカーブックソムリエ・いしかわごうです。
 今回紹介する一冊は、こちら。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
「調べてもわからないサッカーのすべて」。
先日も少し紹介した、知人・猪狩さんによる一冊です。
いわゆるデータ本ですが、面白く読めるように「マニアックに」読み解いてます。
ようやく読み終えました。
ここでは、個人的に印象に残った調査ファイルを紹介したいと思います。
・シュート。打つべきか、打たざるべきか。
シュートを打たないとゴールは生まれない。あるいは、シュートを打てば何かが起こる。そんな「シュート至上主義」について、「では実際、どのぐらいラッキーゴールが生まれているのか」の考察。09年と10年のJ1リーグのゴール数を調べてみると、川崎フロンターレが1位だったそうです。
 そのデータを受けて、ラッキーゴール数2年連続1位という中村憲剛選手の特別インタビューが収録されていました。
 このインタビューは面白いです。シュートを打てば何かが起こるという「シュート至上主義」に対する自身の意見を皮切りに、「シュート」というプレーに対するケンゴ選手の考えがよくわかる内容になってます。「中村憲剛のパス」のこだわりはよく知られていますが(本が出てるぐらいですからね)、「中村憲剛のシュート」のこだわりというと、あまり知られていませんからね。貴重だと思います。
 
 あとはラッキーゴールの話題なので、どうしても偶然か、必然といった確率の話も絡んでくるのですが、ケンゴ選手自身がシュート、パス、ドリブルといったプレーの選択を時間帯でどう使い分けているのかとか、確率論の話だったのが、いつの間にか自身のサッカー観まで垣間見れるようになっているのが面白いです。僕はここを読むだけでこの本を読む価値はあったかな。
 ちなみにインタビューでは、ジュニーニョとチョン・テセ選手(ボーフム)の名前がわりと出てきますね。ジュニーニョはともかく、テセ選手に関しては、何も起こらないだろう場面で強引にシュートを打っていた選手として挙げられてますが・笑。
・ルーキー監督の成績を強引に評価する
今年のフロンターレは相馬監督が指揮を執りましたから、これは気になるデータです。詳細は本を読んでもらうとして、この部門でJ2の勝率トップを記録していたのは、関塚監督でした。もちろん、04年の川崎フロンターレです。その勝率はなんと80.7パーセント!ちなみに2位は、06年に横浜FCを率いた高木琢也監督で、71.3パーセント。
・なぜGKはこれほど走っているのか?
ワールドカップ南アフリカ大会で、試合中のGKの走行距離に注目したデータ。日本代表の川島選手は約4キロだったそうです。これは平均的な数字だそうです。うーん、意外に走ってるんですね。トップは、スイス代表のベナーリオで7キロ!初戦でスペイン代表を倒した背景には、彼のリベロ的な運動量があったんですね。
・セカンドボールの重要性を考察する
苦戦した試合の要因に「セカンドボールが拾えなかった」とコメントする選手は、本当に多いです。では、そのセカンドボールって実際にはどのぐらい試合に影響を与えているのかを検証しています。ただ、これをカウントする作業は相当大変だったみたいです。うん、想像しただけで、すげぇ時間がかかりそう・笑。そのへんの言い訳も書いてあります。猪狩さん、お疲れ様でした。
・つなぎ倒して点を取れ!J1遅攻選手権
引きこもった相手をどう崩すか。現代サッカーでは難しいとされる作業ですけど、「パス5本以上つないで決めたゴール」という基準でカウントしたデータ。10年のトップは、ガンバ大阪。まぁ、納得ですよね。
 ってなわけで、5本以上パスをつないで決めたゴール数1位の遠藤保仁選手の特別インタビューが収録されています。
ボールを回しているときに、相手にブロックのどこを見ているのかについて、さらにヨコだけじゃなく、タテの揺さぶりで相手のDFラインを食いつかせることなどをかなり具体的に話しています。特にヨコのゆさぶり方については、「相手が4人か5人で手をつないでいるとして、つないでいる手を締めたら間は空かないけど、広げたら手と手は離れていく。その感覚と一緒」とそのイメージを話していたのが、印象的ですかね。遠藤選手がどういう狙いでパス回しを組み立てているのか、ちょっと分かった気がします。
 思えば、先月の万博でのガンバ戦で、フロンターレは後半10人になって逆転負けをしたわけですが、他のチームならば、自分たちが負けている状態で相手が退場の展開になると、少しは攻め急ぐこともあると思うのですが、あの後半のガンバはそれがまるでなかったですからね。それこそ詰め将棋でも解いていくかのように、パスを回しながら、フロンターレの守備陣の穴をじっくりと見つけていきました。あれは「さすがガンバ」でしたわ。
・・・・とまぁ、こんな感じで突っ込みをいれながら面白く読める本です。
かなりマニアックなデータばかり集めてますが、「こんな本もあるんだ、と存在を世に知ってもらえたらうれしいです」と作者の猪狩さんからメッセージをいただいたので、興味のある方は購入してみてください。フロンターレサポーターならば、このケンゴ選手のインタビューだけでも読む価値はあるかと僕は思いますよ。
調べてもわからないサッカーのすべて/猪狩 真一

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コラソン&グラゼニ。

 どうも。
モロモロの準備で、朝から前節のJリーグのカードを3試合ほど観ました・・だから、眠いっ!・笑。
 たまには漫画も紹介。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
 
 コラソンの6巻。
アジア最終予選の最終節イラン戦です。クライマックスですね。
 巻末のおまけ漫画に登場したのは、西村雄一主審でした。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
 南アフリカワールドカップのブラジル×オランダ戦のジャッジについて語っています。ブラジルのフェリペ・メロに対するレッドカードについての話とかですね。「審判はいいサッカーが大好きなんですよ」という言葉が印象的でした。いいサッカーをしている試合は観ている人が楽しいように、笛を吹いてる審判もきっと楽しいんでしょうね。
コラソン サッカー魂(6) (ヤングマガジンコミックス)/塀内 夏子

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あと今、面白いと思う漫画は「グラゼニ」ですね。
グラゼニ (1)/森高 夕次

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 お金にフォーカスするという、今までにない切り口の野球漫画だし、プロ野球界の舞台裏も垣間見れるので、楽しく読めますね。
けっこう話題になっているみたいです。
年俸マニア「1軍半」の中継ぎ主役 異色の野球漫画「グラゼニ」好評
 今週も面白かったなぁ。
普段通っている定食屋の好きな店員のあの娘(でも自分が野球選手だとは気づかれていない)が、たまたま自分の試合を観に来るんだけど、相手チームの応援だった。そして自分が出たら、その娘にメッチャ野次られてるっていう話・笑。
2巻が出たので、今日等々力に向かう前に買ってきます。
グラゼニ(2) (モーニングKC)/アダチ ケイジ

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・・・画像ないんかいっ。
いやー、きてるわー。まだまだ頑張ります。
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[書評]戦術リストランテ

こんばんは。
サッカー本ソムリエのいしかわごうです。
今回紹介する本は、こちら。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
「戦術リストランテ」
 フットボリスタで連載されているコーナーを書籍化した西部謙司さんの新刊です。
ボリスタ本紙では、試合をピックアップし、両チームのシステムによるマッチアップや、チームのスタイルやテーマの感じられるプレーを一問一答形式で掘り下げていくスタイルが多かったと思いますが、本書では欧州サッカーの最先端をいくバルサやレアル、マンUといったビッグクラブの戦術メカニズムを体系立てて解説。
 通常の戦術解説本ではなく、「戦術リストランテ」のタイトルにある通り、レストランのシェフのごとく食べやすく調理してくれていて、本の構成もレストランを意識した風味になってるのが特徴ですね。
 読者はレストランに来たお客のように戦術メニューを楽しめるわけです。
・前菜(基本フォーメーション解説など)
・主菜(チーム戦術の背景について考察)
・副菜(具体的なイメージを掴むための図版分析)
・デザート(テーマや関連する歴史や戦術的うんちく」

 というコースで読み進めるようになっています。
内容(料理)もいいのですけど、それに加えて、いろんな角度から読ませる工夫をしているところもいいですね。装丁もなんかオシャレですし。こういう部分もしっかり意識している本、サッカーブック・ソムリエなので、個人的にも好きです。
 例えば、僕は将棋の最新戦法の本なんかも読むのですが、やはり中高年を読者層にしているいるためか、基本的に作りが「硬派」で「重厚」なんですよ。表紙からしてかなり渋いですし。将棋の戦法本でも、こういうテイストの本があってもいいと思うですけどね。
・・・あっ、レストランなのでお客としての観想を言うと、美味しかったのは,バルサ関連の料理ですかね。ベタな舌で申し訳ないのですけど、バルサの新ビルドアップ方式、打倒バルサのために相手チームが採った戦い方、CLファイナルでマンUが挑んだバルサ包囲網、そしてモウリーニョによるクアトロ・クラシコの戦略などを、あらためて、いろいろな視点から体系立てて読んでみると・・・もとい、コース料理のように味わって食べていると、たくさんの発見がありましたね。
あとサッカーファンの方にはおなじみだと思いますが西部さんの文章は、相変わらずわかりやすいです。
・・・実は書評はこれで終わりません。
 収録されている2本の西部さんの特別対談にちゅいても触れておきます。
一本目は前FC東京監督・城福浩氏との対談でした。
「戦術論は現場でどう使われているのか」をテーマに語っていたのですが、現場重視の考え方と理論重視の考え方のバランスの取り方、戦術を体得させる具体的な指導法などは、現場を知る指導者ならではの肌感覚だと感じました。
 対談の中で、フランスの作家がバルサを評して「殺菌されたフットボール」と言っていた話が興味深いですね。フットボールには挑発とか駆け引きとかいろんなものが混ざって競技になっているはずなのに、バルサだけは自分たちの理論で統一されすぎていて「雑菌」のないサッカーになっていると。
 そんな戦術色の強いバルサを、城福氏は「五角形のチャートでいえば、技術の項目だけがチャートを完全に超えている」と表現しています。普通ならば、平均で劣っている部分を補おうとするのだけど、バルサは自分たちの最大の特徴をさらに追求することで、チャートの面積を増やしている。そうじゃなければ、イブラフモビッチやエトーを放出しないよ、と。
 この話を聞いていて、ふとよぎったのは大木武監督時代のヴァンフォーレ甲府。
特に、J1の2年目07年シーズンはバレー、アライール、倉貫選手といった主力が移籍したため、個の戦力は明らかにJ1レベルでは見劣りしました。しかしそこで大木監督が採った戦法は、個で勝負するのではなく、密集地域で数人で徹底的にショートパスをつないで局面を打開していく方法。
残念ながら降格してしまいましたが、まさに平均で劣っている部分を補おうとするのではなく、自分たちの最大の特徴をさらに追求していくチームでしたわ。実際、あのときの大木さん、「パススピードは少しだけバルサのほうがうまいけど、切り替えの速さならウチのほうが上だな」と笑ってましたっけ・笑。
 もうひとつはフットボリスタ編集長・木村浩嗣氏との特別対談。テーマは「伝える側にとっての戦術論」。
 これは、わりとメディア側に寄った話なので、読者の方よりも、むしろ僕のほうにど真ん中だったかもしれませんね。自分もサッカーのライターなので、やはり文字でサッカーをどう表現するのかという命題は付きまとうわけですが、90分間の全てをロジックで分析し切れる試合なんてないですからね。
それでも、エンターティメントとして成立させるためには、デフォルメしてストーリー化させなければならない。だからといって、事実だけツラツラ書いても読み物として面白くないですからね。そこらへんのジレンマは、サッカーライターならみんなあると思います。
 この対談の中で共感できたのが、戦術の面白さは発想の意外性にあるというところ。
「戦術というのはその監督の頭の中のことだから、サッカーの見方とか論理構成につながっている。クライフの話がいつも面白いのは、あの人は一種の天才だから発想が面白いのだ」と。
 本当にそうなんですよ。僕らは取材者として、監督にも直接話を聞けるわけで、そういう経験を通じてそのサッカー観も垣間見れるわけですが、それも醍醐味だったりしますから。
 
 例えば、[3-3-3-1]システムで話題になったカターレ富山の安間監督の戦術の発想とか、本当にぶっ飛んでますからね。「11人でサッカーをしようとするからいけないんであって、自分たちが12人いるように相手に見せるには、どういう配置や戦術が良いんだろう?」とか考えてたら朝になってましたとか、そういう人ですから・笑。
・・・とまぁ、長々と書評を書いてしまいましたが(2000文字越えてた・笑)、とにかくこの本をしっかり読めば、これからの欧州サッカー観戦ライフの楽しみが増えることは間違いないと思います。
 「戦術リストランテ」。
サッカーブック・ソムリエいしかわごうとしても、オススメ度の高い一冊です。
戦術リストランテ/西部 謙司

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書評:「うたがいの神様」(千原ジュニア)

 最近、サッカー本ばっかり読んでる気がするので(実際、読んでるんですが・笑)、関係ない本を読んでみました。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
千原ジュニアの「うたがいの神様」
パピルスに連載している内容をまとめた本です。「鵜呑みにしてたまるか!」ということで、世の中のさまざまな物事を疑っているジュニアの主張が楽しめます。
そもそも「鵜呑み」という言葉自体が、鵜呑みできないヘンな言葉です。鵜は魚を丸呑みにした後、そのまんま漁師に吐き出しますからね。呑んでもいないし、消化もしていない。ということは、「よく理解せずに物事を受け入れる」という意味の先に「受け入れるフリをしてそのまんま吐き出す」という意味もあるはずで。一回呑み込んで、呑み込んだと油断させておいて「吐き出す」みたいな。笑いで言うと、ノリツッコミみたいな感じでしょうか。「鵜呑み」ってもしかしたら、「疑う」ということと意味が近いのかもしれません。
・・・「はじめに」から、これですからね・笑。1時間ぐらいでサクサク読める本です。36話収録されているのですが、個人的に面白かったという話を5つほど紹介してみます。
・珈琲好きは珈琲嫌い
「これが美味しい珈琲」という基準を持っているがあまり、まずい珈琲が飲めないというジュニア。缶コーヒーはもちろん、喫茶店でも珈琲を飲みにいけるお店も限られてしまっているそうです。缶コーヒーをガブガブ飲んでる人からすれば、自分は珈琲嫌いに見えるんだろうな、という話。同じことを恋愛や仕事にも当てはめて考察している。
・一番煎じは苦い
世の中は一番煎じに見せかけた二番煎じにあふれかえっているという話。芸人が映像の仕事をするというとみんな映画にいくから、じゃあ自分は2時間の映画の真逆にある15秒のCMの監督をしたら、一番煎じかなと。作ったのは確か「SANNKEI EXPRESS(サンケイエクスプレス」のCMでしたね。「残念な兄」、「残念なアイスキャンディー」、「残念なトイレ」、そして「残念じゃない新聞」のCM。
・割り勘する男より割り勘された女を恥じるべき
ほんまにその子のことを気に入っていたら、男は絶対に割り勘はしない。お金がなくてもなんとかしておごるはず。「割り勘にされたわ!」と人に言うことは、「私なんとも思われてへんわ!」、「自分あかんわ!」ってまわりに言いふらしているようなもの。もっと悔しがれよ。自分が女だったら、「割り勘されない女になったる!」って努力するわっていう話。一理ある・笑。
・先輩は選べる
芸人は先輩後輩の関係が濃い世界。ゴハンや旅行でも先輩が奢るのは常識。でもジュニアは映画だけは割り勘にしているとのこと。その理由は、先輩におごってもらって観た映画の感想を、先輩側に寄せられてしゃべられるのがイヤだから。先輩におごってもらった映画だから全然面白くないと思っても、面白いといわないといけない気持ちになった自分の経験が大きいそうです。後輩時代も「自分でお金を出すから、先輩とどれだけ意見が違っても言わせてもらう」とのスタンスだったとのこと。
 そして、絡みたい先輩は自分から選べるという話。芸人は後輩が「飯連れて行ってくださいよ」というだけで「ほな、いこうか」とつながれる世界。先輩・松本人志とのエピソードがいいですね。
・不謹慎使いにご用心
震災以来、あふれた不謹慎と言う言葉について。そもそもは「お前、謹慎な身なのに、不謹慎やな!」と謹慎中の先に、不謹慎があるはずという主張。
 ジュニアは、男だけの芸人チアリーディングチームを作って、15人ぐらいの汚いおっさんで被災地を励ましにいこうという案を考えたそうです。チアリーディングって観ている人を応援するっていうスポーツだし、ミニスカートでおっさんがめっちゃ真剣に踊ったら、目の前の被災者はからは「コイツらアホちゃう?」ってウケて喜んでくれるんじゃないかなっていう話。でも被災地以外の「不謹慎使い」からは不謹慎と言われんだろうな、とも。
 バラエティで話しているエピソードとかぶっているネタも多少あります。そのことについては、以前「あっちの番組でこのネタ使ってオンエアがあの時期だから、この番組では・・・」といろいろ考えていたそうですが、それを計算しながら話すのが面倒くさくなったと言ってました。
「すなわち、便所は宇宙である」よりもちょっとトーク寄りですが、ジュニアの性格とか発想がよくわかる本だと思います。
うたがいの神様/千原 ジュニア

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すなわち、便所は宇宙である/千原ジュニア

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川島永嗣選手の『準備する力 夢を実現する逆算のマネジメント』

 サッカー本ソムリエのいしかわごうです。
今日は、発売前だけど読むのを楽しみにしている本を紹介してみます。
川島永嗣選手の著書『準備する力 夢を実現する逆算のマネジメント』。
準備する力 夢を実現する逆算のマネジメント/川島 永嗣

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タイトルを見る限り、サッカー観について語るというよりは、サッカーの世界で生きる川島選手が、どうやって自分の目標を達成しているのか、そういう内容のようですね。
・心の火は小さくなってもいいが消してはならない
・あえて「何も考えない意識」を作り一瞬の判断を下す
・遠回りになっても自分の意志や好奇心に素直に従う
・自分で決めた決断に誇りを持つ
・理由なき成功も理由なき失敗もない
・自信を持つと周囲の評価は気にならなくなる
・とりあえずやってみようの行動哲学
・自分の目標達成に周囲を巻き込む
・若い世代からこそ学ぶものがある
・モチベーションを高めるための自己投資もある
・人とは違う観点を持つ
・アスリートが社会のためにできること

 こういう項目紹介を見ても、いわゆる自己啓発書としてのテイストが強そうですね。たぶん、長谷部誠選手の「心を整える」が大ヒットした影響なのでしょうけど。きっとアスリートの日ごろの習慣であったり、仕事に対する姿勢を知りたいという需要があるんでしょうね。
 「準備する」というフレーズは、イチロー選手が使っていたことから世に定着し出した印象があります。
たぶん数年前の「プロフェッショナル 仕事の流儀スペシャル」での大反響がきっかけじゃなかったかな。08年の放送だったと思いますけど、毎日あれだけ日々のルーティンを決めて試合への準備をしているイチロー選手のストイックさには驚かされたものです。
 僕は川崎フロンターレ担当として川島選手に取材させてもらいましたが、彼はチームメイトも認めるストイックさを持っていましたからね。取材者としていろんなことを学ばせてもらいました。
発売は9月26日。来週の月曜日ですね、楽しみです。
興味のある方はいまから予約してみてはどうでしょうか・・って「予約」っていうのは、ある意味、準備する力ですよね・笑。
準備する力 夢を実現する逆算のマネジメント/川島 永嗣

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