先週末はJ1リーグ取材。
国立競技場で湘南ベルマーレ戦でした。
試合は2-0で勝利。公式戦3連勝を飾りました。
試合が始まって、少し驚いたのがフロンターレが3バックシステムを採用したことです。
スタメンを見る限り、4-3-3システムと思いましたが、試合が始まると、右ウイングと思われた山田新が中央気味に、左ウイングと思われていた瀬川祐輔が、守備時には最終ラインまで下がる左ウイングバックでした。つまり、並び自体はセレッソ大阪戦と同じ配置の3-5-2システムだったんですね。
興味深いのは、鬼木監督が、選手ありきではなくシステムありきで3バックを準備していたということ。珍しく、システム先行で選手を当てはめた戦い方だったと言います。
「3バックに関してはほぼ決めていました。選手のコンディションのところで、誰があそこに当てはまるかというところは考えていました。ただ3バックに関しては、ある程度このゲームに関してはそれで行こうというのは決めていました」
困惑したのは相手の湘南ベルマーレでしょう。聞くところによると、この試合に向けたトレーニングとして、湘南は川崎フロンターレの4-3-3対策をかなり入念に準備してきていたそうです。おそらく川崎がこの2試合で採用している4-3-2-1の守備陣形をどう攻略するのかも、落とし込んできたのだと思います。
しかもショートパスを繋がずに、ロングボール主体で攻撃を組み立ててきました。そしてその狙いが奏功し、前半だけで2得点。そのリードを最後まで守り切り、去年苦手だった湘南にアウェイで勝ちました。
ちなみにマレーシア遠征も含めてタフすぎる日程だった公式戦3試合、フルタイム出場したのが脇坂泰斗です。消耗の激しい中盤のポジションですが、鬼木監督は彼をピッチに立たせ続けるようになりました。そこにあるのは信頼の証ですね。
とはいえ、連戦でフルタイムで立ち続けるのはかなりきついはず。
湘南戦後のミックスゾーンでは思わず「めっちゃキツくないですか?」と素人みたいな質問をしてしまったのですが、「(途中で)交代させられるより全然いいです」と彼は笑っておりました。
「使ってもらっている以上は結果だったり、チームを勝たせることが求められていると思う。攻撃においても守備においても自分がいないとダメなんだと示し続けないといけない。今日はアシストが1つでしたが、もっともっと結果に繋がるようなプレーができればよりいいかなと思います」
最近の彼の発言から感じるのは、フロンターレの14番を背負う選手として圧倒的な存在になるという強い思いです。
その思いが伝わってくる試合後のミックスゾーンのやり取りでしたね。
レビューでは、この試合における幾つかの狙いやチームとしてうまくいった部分の背景、続出したアクシデント(CBが2人も交代した)をどう乗り切ったのかなどなどを掘り下げてみました。
勝利の余韻のあるうちに、ぜひ読んでみてください。
ラインナップはこちらです。
■「縦の間延びが生まれるので、自分としてはそこが狙いです」(脇坂泰斗)。なぜ脇坂泰斗は中盤で自由を謳歌し、フリーで先制点をアシストできたのか。湘南対策にあった「縦の間延び」の狙いとは?
■「攻撃においても守備においても自分がいないとダメなんだと示し続けないといけない」(脇坂泰斗)。公式戦3連勝。その3連戦をフルタイムで立ち続けた14番が口にした矜持。
■「プレー選択的に、相手の嫌がること。今日はそっちを優先してやったかなっていう印象です」(山根視来)、「それが2トップにしている意味でもあると思います」(瀬川祐輔)。湘南対策に比重を置いた戦い方で、古巣戦だった2人が示したもの。
■「すごく嬉しい。昨シーズンからのケガでなかなか良い状態ではなかった。最近は、コンディションも上がってきて、やっといつも通りのゴールを決め始めたという感じです」(L.ダミアン)。ストライカーはゴールで蘇る生き物。
■「終盤でしたし、相手は点を取りに割り切ってやってくると思ったので、真ん中をしっかりと固めて。(後ろは)3枚いたので、距離感をしっかりと話しながらやっていました」(登里享平)。アクシデント続きのスクランブル体制でも動じない。湘南の猛攻を弾き続けた、168cmのCB・ノボリの冷静な対応力。
■「走る部分は全く問題ないですし、川崎に足りない部分でもっとやってもいいのが声の部分。そこは意識してやっています」(瀬川祐輔)。中断明けから始まった公式戦3試合連続完封。3バックと4バックの使い分け・・・中断期間に何を整備したのか。
全部で約11000文字の大ボリュームです。ぜひ読んでください!!
「長く短い祭」 (リーグ第28節・湘南ベルマーレ戦:2-0)