シミッチは誰よりもチームのために走り続けていた。


ルヴァンカップの浦和レッズ戦の取材でした。

試合は1-2の逆転負け。ミックスゾーンに現れたジョアン・シミッチは、ショックを隠し切れない様子でした。

彼はチームを勝たせるためにピッチで奮闘し続けてました。開始早々に生まれた瀬川祐輔の先制点は、シミッチからの鋭い斜めのクサビのパスをコントロールして流し込んだものです。

試合終盤のオウンゴールは誰よりもチームのために走り続けていた彼が、必死に戻った結果、起きてしまった事故です。

あの場面、何が起きていたのか。

「センタリングのタイミングで、自分も穴を埋めようとしていました。ただ、正直、ボールのコースが低くて、ボール自体があのタイミングで見えていませんでした。ボールが見えてない状態の中で、自分の足に当たって入ってしまいました」

不可抗力だったとしか言いようがありません。

現在公式戦3連敗と、チームの歯車がどこか噛み合わない状態が続いているだけに、その「噛み合わなさ」を象徴するかのようなオウンゴール。誰もが何かを考えざるを得ないような、なんとも嫌な匂いのする負け方でした。

それでも前を向かないといけません。試合後、瀬川祐輔が言います。

「フロンターレは去年までは常に勝っていたチーム。外から見られる面もあるし、勝てていないと負けていることに対していろんな声も聞こえてくる。そういう時でもしっかりと受け止めて、少しでも良くして、次のリーグで勝って連勝できるように。今日の負けは良くなかったと思いますが、すぐにリーグは来るので準備したい。大南も古巣なので、2人で出れたら頑張りたい」

切り替えてやるしかありません。

ゲームの詳しいレビューです。ラインナップはこちらです。

■「思い切って僕とシンが前に出れなかったり、ハメ方のところでチグハグした」(瀬川祐輔)、「相手のボランチは2枚とも下がって、僕を囲むようにビルドアップしてきた。僕は嫌だなと思っていた」(小林悠)、「前から行きたい意思はあったけど、なかなかうまくいかず、(ボールを)前進される印象があった」(山田新)。ハマらなかった前半のプレス。試合の進め方に齟齬が起きていた前線と、それ以外。

■「僕が止めないといけなかった。僕が足りなかった」(チョン・ソンリョン)、「チームとしての失点なので、個人としても何かできることがあったんじゃないか」(瀬川祐輔)。後半開始直後の同点劇をどう捉えるか。

■「失点した時に声を掛け合っていましたが、下を向く選手が多かった」(小林悠)。チームを勝たせてきたストライカーが嘆いた、自分の不甲斐なさ。

■「やはり勝っていないというところがあるかもしれません」(鬼木監督)、「そこらへんのゲームの運び方はまだまだ、フロンターレらしくない部分も見えていた」(瀬川祐輔)。フロンターレらしくなかった試合運びの正体とは?

■「ボールが見えてない状態の中で、自分の足に当たって入ってしまいました」(ジョアン・シミッチ)。誰よりもチームのために走り続けていた男が起こしてしまった不可抗力の失点。「噛み合わなさ」を象徴するかのようなオウンゴール献上を考える。

全部で約8500文字です。よろしくどうぞ!

「前線と、それ以外。そして3人の証言者」 (ルヴァンカップ第5節・浦和レッズ戦:1-2)

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