「オール・イン 実録・奨励会三段リーグ」を読んだ。


 昨日の深夜、日本テレビで関ジャニ7という番組をやっていました。
メンバー7人がそれぞれ取材するということで、取り上げたのは将棋界。近年の将棋ブームを受けてのものだったそうです。羽生名人、アイドル棋士・竹俣紅さん、将棋サロン、女流棋士、東大将棋部、駒職人、事情通と様々な角度から将棋を取材していました。将棋をいろんな切り口からテンポよく紹介していく番組で、面白かったです。
今日の深夜は、TBSの林先生の番組「痛快
!生き様大辞典」で故・村山聖さんを特集するみたいですね。3月のライオンの二階堂くんのモデルと言われている方です。こちらも楽しみ。
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随分前に読んだ将棋の本を紹介します。

「オール・イン 実録・奨励会三段リーグ」
将棋のプロ棋士になる夢が叶わなかった天野貴元氏の自伝的ドキュメントです。3分の2は奨励会時代の話、3分の1は退会後の癌闘病記といったところですね。
 本書の読みどころは、「鬼の住処」とも呼ばれるその奨励会三段リーグの過酷さを当事者として語っていること、そして知られざる奨励会員の普段の実態(?)なども赤裸々に明かしていることにあります。
 奨励会とは、プロ棋士を目指す者が所属する研修機関です。将棋のプロ棋士になるには、全国トップクラスの将棋少年達が集まるこの奨励会に入会し、そこを勝ち上がらなくてはいけません。Jリーグでいえば、クラブの下部組織のようなものと思ってもらうと良いかもしれません。
 奨励会は6級から始まり三段まであり、この段位はいわばプロの段位。アマチュアの段位とは全く違います。そして三段から四段になると晴れて正式なプロ棋士となります。正式なプロではないので、奨励会で将棋を指しても報酬はありません。そしてユース所属の選手が必ずしもJリーガーになれるわけではないように、奨励会に入った奨励会員がプロ棋士になれるとは限りません。むしろ9割近くが脱落する非常に厳しい世界です。
 最大の難関は、三段リーグ。三段から昇段できるのはリーグ戦の上位2名だけ。総当たりでの過酷なしのぎ合いを行う、最後のサバイバルマッチです。上位2名に入らなくても翌年にまた挑戦できますが、厳しい年齢制限があるため、その年までに四段に昇格できなければ、奨励会を強制退会しなくてはなりません。そのため、三段リーグの対局には別の雰囲気が漂っていることがわかります。
その異様なまでに緊迫した雰囲気はちょっと言葉では表現しにくい世界だった。まるで刑務所のような、面見えない緊張感が部屋全体を支配していて、対局中に部外者が中でカメラを回すなど、とても想像できない。
 また奨励会を去った会員たちは、深い挫折感ゆえに将棋から離れようとする者も多い。時折、専門誌などで「奨励会員のその後」といった企画があったりするが、たいてい取材は難航するという。「第二の人生」を取材しようにも、ほとんどの場合、断られてしまうからだ

 本書での印象的な箇所です。
奨励会三段リーグの独特の空気感、そして退会した元奨励会員の苦しみが垣間みれるような描写です。
 著者の天野氏は16歳で奨励会三段に昇段。あと一歩まで届きながら、そこで10年の足踏みをしてしまい、年齢制限により26歳で退会を余儀なくされます。奨励会を退会する=プロ棋士の夢が断たれるというわけです。そして、その後の彼がどうなったか・・・。
 本作品は、今年度の将棋ペンクラブ大賞の文芸部門大賞を受賞したそうです。難しい将棋の図などは出てこないですし、将棋に詳しくない人でも読み物として楽しめます。
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 こちらもすごくオススメ。
プロ棋士になれなかった少年たちのその後を追った作品。涙なしに読めません。
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