本日は麻生取材に。
練習後、大久保嘉人選手の囲み取材をしていたら、ふとした流れで、ソチ五輪での浅田真央選手の話題になりました。彼女のフリーの演技を見た大久保選手、思わず泣いてしまったとのことでした。
「見たよ・・・(自分は)泣いたよ。真央ちゃんも泣いていたからね」
そんな風に切り出してくれた大久保選手。その瞬間、思わず聞いてしまいました。
「あの涙って、大久保選手は何の涙だと思いました?」
「あれは悔し涙でしょう・・・いや、でも見ていたら何の涙なのか考えちゃいますよね。後悔なのかなぁ?プレッシャーが半端なかったんでしょうね。だって前の日に3位ぐらいにつけていたら、金だったでしょ?それでもすごいよ・・・メンタルがすごい」
実際には、「うれし涙」だそうですが、「悔し涙」という大久保選手の考えもそれはそれで深いと思いましたね。大久保選手自身も、去年の最終節後、念願の得点王を獲得して男泣きをしましたから。
なお「あのメンタルは浅田選手に見習いたい?」という質問には、「いや、求められるメンタルは違うからね。サッカーは外しても、次があるから(笑)」と笑っていました。
確かに。
何度チャンスで失敗しても、1回でも成功すればヒーローになれるのがストライカー。失敗が許さないという意味で、フィギュアスケーターのメンタルは、サッカー選手でいえばゴールキーパーやディフェンダーのメンタルに近いかもしれませんね。こちらはちょっとしたミスが命取りですから。ストライカーはフィギュアスケーターのメンタルを学ばないほうが良いかもしれません・笑。
それにしても・・・いまさらですが、浅田真央選手の演技は、なんというか、神々しさがありました。言葉による表現なんていらない。そんな考えすら吹っ飛ばしてしまうような「圧巻の凄み」がありました。
スポーツライターの端くれとして、スポーツを見たときに「この出来事、自分だったらどういう角度から原稿にするか?」をついつい考えてしまう癖があるのですが、あのときの浅田真央選手の姿には完全に目を奪われました。こういう姿を見た時、言葉は無力だな、と思いますね。
サッカーでも、人の心を動かすプレーというのは、抜群に上手いシュートでも、華麗なテクニックでもなく、ただただ魂のこもった泥臭いプレーだったりします。浅田真央という超一流の技術を持っているフィギュアスケーターが、自分の人生の全てを注ぎ込んで作り上げた作品・・・見ている人の心を揺さぶらないわけがありませんよ。久々に心を打ち抜かれた感覚を味わいました。あれはもう金だ、銀だ、銅だっていう次元じゃないですよね。なんだろうな・・・もっと大事なものを教えてくれるような演技でした。
・ ・・って、なんか自分でも何を書いているのかわからなくなってきました。もしかしたら、あと10年も経ったら、リアルタイムで見てない若者からは、結果を見て「浅田真央?結局、メダル取れてないじゃん」と言われるかもしれない。でも目撃者だった人たちはわかりますよね。言葉が出てこなかったほどの圧倒的な感覚を。
来週からACL、Jリーグと、いよいよシーズン開幕です。ピッチでもそういうものを見たいですね。
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