中村憲剛選手の解説を「解説」してみました。


 シーズンオフの恒例になりつつあるBS1での中村憲剛選手によるプレミアリーグ解説。今回の担当試合は、マンチェスター・ユナイテッド対スウォンジー戦。香川選手が先発出場する試合となりました。

 面白かったですね。
まずその語りが、試合後のミックスゾーンや練習後の麻生でサッカーを振り返っている口調とほとんど同じで、そこになんだかニマニマしてしまいました。
 憲剛選手の解説を「解説」させてもらうと・笑、両チームのスタイルをしっかり踏まえながら、ピッチ上で起きた現象から戦術的な狙いを推測しつつ、その戦術を遂行する選手個人の判断や対応にも触れる、という流れですよね。もちろん、ゴール前の局面では技術的な解説もしっかりとしていました。例えば、後半に香川選手がゴール前での切り返しから相手GKを外してシュートを打ちながらも、戻ってきたDFにギリギリでブロックされてしまった場面のスローリプレイでは、「ここですね」と、そのDFがどの瞬間に視界に入ってきたのかまで丁寧に触れていました。こういった言葉がよどみなく出て来るので、聞いていて心地よいのです。
 これだけも解説者としてはすでに十分合格なのですが、それでいてスウォンジーの後ろの組み立てに触れて、「(守備ブロックの)間に入る味方にパスを入れられるセンターバックと、そこで受けられるサイドハーフがいると相手は面倒くさいんですよ」とか、現役選手らしいプレー中の選手の心理状態を代弁するコメントをしっかり差し込んでくるのもよかったと思いますね。「やってる選手ってそう感じるんだ」と色々と勉強になります。
・・・というか、普通に名解説者じゃないですか・笑。
 あと面白かったのが、ちょいちょい「風間語」を出していたこと。スウォンジーがボールポゼッションの高いチームスタイルですので、ボールの動かし方と受け方に触れながら、「(味方が)隠れないんですよ」と言ったり、香川選手の相手の背後を突いたプレーを「背中を取る」と当たり前のように使用していたので、そこでまたニタニタしてしまいました。
 とまぁ、こんな感じで解説を堪能させてもらいました。
記者の間でも中村憲剛選手はメディア受けが良い選手として知られているのですが、その感覚は、読者の方になかなか伝わらない部分があります。でも普段の取材でもあんな感じでわかりやくサッカーを説明してくれるので、そりゃ、記者はみんなコメントを聞きたくなりますよね。それがよくわかる解説ぶりだったのではないでしょうか。
 ちなみに僕の「将棋でサッカーが面白くなる本」
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 中村憲剛選手と渡辺明二冠の対談では「解説業」に関する話題も出ていたんです。残念ながら、ページ数の関係でカットしてしまいましたが、せっかくなのでここで紹介してみたいと思います(※本を持っている方に説明しておくと、ウィニングイレブンの話題でサッカーの陣形と将棋の戦法の共通点に関して触れてるくだりでこの話題になりました)。

渡辺「うまい選手は選択肢がいくつもあるんですよね。そういうのはサッカーの中継で解説を聞いていてもわかります
中村「僕もたまに解説することがあるんですよ
渡辺「えっ!そうなんですか?
中村「シーズンオフですけど、プレミアリーグの解説を。修行ですね。サッカーにそこまで詳しくない人に向けて解説するという作業は簡単ではないですから
渡辺「将棋の解説の場合は、下の方のレベルに合わせてますね。(僕を見て)いしかわさんとかは強い人だと思いますが、そうではなくて、ルールは知ってますよね、ぐらいで話します。サッカーはお茶の間でルールに詳しくないお母さんとかも見ていると思うので、どこをどう話すか難しいと思います
中村「解説することでそこで何か発見とか刺激を受けることはありますか。解説して終わりなのか、自分のものになる何かがあるのか?
渡辺「例えば羽生さんだと、もう何十局も対戦していますから、そこであらためて何かがあるわけでもないですね。ただあまり見ていない人や指していない人の将棋のときはありますね
中村「それを自分の中に蓄積されたりはされるんですか?
渡辺「その人と対局するときのデータとしては有利になるかもしれませんね

 こんな感じで話してくれてました。
ちなみに渡辺明2冠は、マンチェスターユナイテッドのファンであることを公言しています。このブログでも何度か紹介していますが、去年の王将就任時の副賞としてリクエストしたアイテムが、マンチェスターユナイテッドのユニフォームですからね。しかも第62期王将のネーム入り。
王将就位式。
・・・こんな記事も
羽生について語るときに渡辺の語ること|いささか私的すぎる取材後記
マンチェスター・ユナイテッドのエンブレムが左胸に入ったウィンドブレーカーを羽織って、渡辺明は改札口に現れた。
渡辺さんならきっと憲剛選手のこの解説試合を観てくれるはず!…と思ったけど、昨日と今日は羽生さんとのまさにその王将戦の真っ最中でしたね。さすがに録画してはいないかな。
 本の中では、将棋の「桂馬」の動かし方や働きを、この試合に先発出場した香川真司選手の動きになぞられて紹介していますよ。

将棋初心者のサッカーファンに向けて書いてますし、中村憲剛選手と渡辺明二冠との対談も面白いと評判です。ぜひ読んでみてください。
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