最終節・セレッソ大阪戦は2-2のドロー。
ロスタイムの失点で4連勝ならずで、非常に残念です。順位的にも、賞金圏内の7位以内を掴みかけていただけに、最後の最後での失点が本当に悔やまれます。なにより、ヨコこと横山選手に決められたのが、悔しさを倍増させますね・苦笑。
ただ痛恨の同点弾を浴びた瞬間、ドーハの悲劇のように倒れ込んだ選手たちの姿に、いかに勝ちにこだわって戦っていたのかもわかりました。試合後のロッカールームでは、風間監督も「負けてないんだから」と選手たちを励ましたそうです。
それにサッカー内容としては最終節にふさわしい、今季の集大成とも言える色は十分に出せたのではないでしょうか。特にパスワークからの攻撃のテンポやリズムには、みんなが同じ絵を描いてサッカーをしているのが感じ取れました。
そんな試合だったので書きたいこともたくさんあるのですが、ここではひとつだけ。
それは、この試合での中村憲剛選手とセレッソの17歳・南野選手との駆け引きです。
実は彼、守備のときに中村憲剛選手をマンマークしていたんです。そう、新潟の柳下監督戦同様、クルピ監督も憲剛選手をマンマークして封じ込める作戦に出たのです。
しかしこのマンマーク作戦、さほど効果が出ていたようには見えませんでした。
まず南野選手のポジションは、[4-2-3-1]のトップ下です。フロンターレも同じ[4-2-3-1]システム。ここで憲剛選手がボランチならば、トップ下の南野選手もマンマークしやすいエリアだったと思うのですが、この試合の憲剛選手はトップ下。
つまり、フロンターレがボールを持つと、それまでトップ下の高い位置にいた南野選手が、憲剛選手をマンマークにつくために、わざわざ自陣の低い位置まで下がってマークに向かいにいっていたんです。ちょっとしたミスマッチがおきてました。
マンマークに気付いた憲剛選手は、わざと小林選手の近い位置にいって前線で張ろうとしたり、サイドにいったりしてました。そこに南野選手も忠実についてくるものだから、セレッソの最終ラインは、ときどきトップ下の選手を加えた5バックのようにもなるなど、ちょっといびつな形で守っている状態でした。
これが続くとどうなるか。
スコア自体は均衡していたものの、まずセレッソは前からボールを奪えなくなってましたね。トップ下の南野選手が憲剛戦選手のマークにいっていたため、フロンターレの最終ラインから始まる中央のビルドアップに対して、前線からボールにアプローチにいけるのが、杉本選手一人だけだからです。
さらにトップ下にいるはずの南野選手の位置に、中央にぽっかりとスペースが出来るので、フロンターレのダブルボランチ・田中裕介選手と宏希選手もかなり自由にボールが持って展開できました。
「この試合のセレッソは引き気味で守った」という見方もされているみたいですが、引かざるを得なかったというのが、正直なところではないでしょうか。
そして当たり前ですが、トップ下の選手があれだけ自陣の深い位置に守備に引っ張られると、奪ってからの攻撃にも枚数が足りません。南野選手は、攻撃になると憲剛選手のマークを外してスルスルとゴール前に行くのですが、守備から攻撃に切り替わった瞬間は、前線にいるのは杉本選手のみ。南野選手はオーバーラップするような形になるのでは、攻撃の厚みが生まれるわけもありません。
ターゲットになる杉本選手に入るボールには、ジェシと井川選手がきっちり対応して仕事をさせませんでした。前半の杉本選手は、前線で孤立してました。
そして結局、32歳と17歳の駆け引きはというと、32歳の先輩が勝ちました。
それがフロンターレの先制点の場面です。
南野選手にマンマークにつかれていた憲剛選手ですが、中盤で一旦受けると、バックパスで宏希選手に預けてパスアンドゴー。これだけで南野選手を置き去りにします。そして走り込んだ先には、小林選手からの絶妙な落とし。追いかけて来る南野選手を振り払い、その勢いのまま左足一閃でゴールネットを揺らしました。
すばらしいですね。
この一連の流れなんて、マンマークをされた選手にとって、「外し方」のお手本のようなゴールじゃないでしょうか・笑。
なお失点後、セレッソは南野選手の中村憲剛マンマーク作戦を解除して、普通の守り方に戻していました。
試合後、憲剛選手に南野選手との駆け引きも聞いてみました。
「試合前に(クルピ)監督から、言われていたんでしょう。たぶん自分がボランチで出てくると思ったんじゃないかな。(マンマーク)だったので、自分はサイドに出たり一番前に行ったりしました。新潟のときに比べると対応できたと思う。もっと前半の最初から出来ていればよかったのだけど。ただ失点してからはマンマークにこなくなったし」と余裕のコメントでしたね。
ちなみにこのゴールは、なぜか5年連続4得点で終わっている、自称「ミスター4点」の憲剛選手のシーズン5得点目となりました。
帰宅後、録画を見直していても、スカパー!の解説の方はなぜか触れてませんでしたが、32歳と17歳の駆け引き、面白かったです。
取材を終えて出口を出たときに夜の長居スタジアムをパシャリ。2012年シーズン、お疲れさまでした。
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