「王者の資質」 レアル・マドリード監督ジョゼ・モウリーニョ

 昨日、wowowで放送していたノンフィクションWは、「王者の資質」。
レアル・マドリード監督ジョゼ・モウリーニョに密着したドキュメンタリーでした。のっけから「『結果は二の次』なんて言葉は敗者の自己防衛にすぎない。何の役にも立たない考え方だ」などモウリーニョ節が全開。
 「私の哲学は簡単なものだ。1対0で勝つよりも4対2で勝つほうがいい。だが4対5で負けるくらいなら、1対0で勝つほうを選ぶ」、「誰が何と言うと関係ないね。歴史を作るのは結果だ。私は何も恐れない」と語録が満載でありながら、彼の半生も丁寧に取材していて、実に刺激的な番組でした。
 あまりに有名な話だけど、彼はロブソン監督の下でバルサの通訳をしていた。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
当時、夢はバルセロナの監督だと語っていたそうだ。
(選手時代のベップと話している通訳時代のモウリーニョ)。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
そこから始まるバルサをめぐる数々の因縁のストーリー。そして今シーズンは、ついにレアルの監督に就任。
「レアル・マドリードは月まで名が轟くトップクラブ―――その監督である私はいわばトップの中のトップになったわけだ。だがこの物語はまだ始まったばかり。もちろん書き上げるのは私だ」
 レアル・マドリードと契約した直後には、芝の管理者やコック、チケット担当などなど・・・クラブの職員一人ひとりと面談したそうだ。ピッチ外の細部まで目を光らせる徹底ぶり。名将と呼ばれる監督は、みなディテールにまで徹底的にこだわりますね、間違いなく。ただ、肉の出入り業者までこだわるとは恐れ入りますね。
 印象的だったのが、彼の半生を振り返っているときに行った父親のインタビュー。
サッカー監督だった父の姿を見て育ったモウリーニョは、良くも悪くもその影響を受けているのでしょうな。家族団らんで過ごしていたクリスマスの夜に電話が鳴り、父親が解任されるということもあり、「サッカー監督という仕事」の現実を目の当たりしている。
「テレビに映るジョゼとあなたの知るジョゼは違いますか?」と聞かれて、父親はこう答えている。
「そうだね。まるで違う。彼はサッカーから離れると気さくですぐ友達を作るような男だ。テレビに映る顔は彼本来のものではない。だがサッカーの世界で生きるなら、あの顔を作っていくほうがいいんだ。彼の父親はそうではなかった。それは監督として良い結果を生まなかった。だから彼はあれでいいんだよ。私の言いたいことはわかるだろう?」
 なぜ彼があのような振る舞いをするのか・・・・そういうことなのでしょう。
話をバルサとの因縁に戻すと・・・今シーズンの戦績はご存知の通り。いかんせん、バルサが強すぎた。「サッカーの歴史上一番強いチームなのでは?」といわれるほどの圧倒的でしたからね。特にCL決勝でのあのサッカーを見せられたらねぇ・・・・でも、スペイン国王杯決勝では、そのバルサに競り勝ってタイトルを獲って一矢報いてますからね。やはりすごい男ですよ、モウリーニョ。
 番組の最後、「あなたのようになりたい若者にアドバイスを送るなら?」と聞かれて彼はこう答えている。
「大事なのは、自分らしくあることだ。誰かのまねをしようなんて考えてはいけない。私のすべてを知ることはできない。だから私をまねても私にはなれない。その人だけの人生、性格、アイディア、そこが出発点であるべきだ。私を超えたいと思うなら、まず自分自身を知ること。自らのスタイルを決め、それを貫かなければならない。恐れることなく、自分を信じて進むことだ」。
来年、彼がどんな戦略を練って、あのドリームチームに立ち向かっていくのか。すんげぇ楽しみですわ。
 そして、これを書き上げてから気づいたけど、冒頭のモウリーニョの言葉って、正月に放送していたヨハン・クライフの哲学とはあまりに真逆なんですよね。彼はこう言ってます。
「私は勝つことは大事だが、もっと大切なものがあると思う。当然、誰しも勝利したい。しかし人生はそれだけではない」
「勝利に対する強迫観念だけではいけないのだ。私は74年のワールドカップで負けた。しかし我々の戦い方は今でも語り継がれている。36年前のことだ。負けたにもかかわらず。勝とうが負けようがあとに残したもの、それが重要なのだ」

いやー、冒頭のモウリーニョ語録と見比べてください・・・まさに正反対!(笑)。
リーガでは、この哲学を体現したフットボールの最高峰がぶつかりあっているのだから、たまらないですね... 記事を読む

今日のエルゴラ(1017号)

なんていうか・・・昨日は、サッカーに打ちのめされた一日でしたわ。
早朝、CL決勝でバルサの美しさに打ちのめされ、夕方は等々力で中村憲剛選手の2ゴールに打ちのめされましたね。
サッカーってすげぇ、サッカーに関わる仕事をしてよかった。そんな風に思える一日でした。
それを受けての~、今日のエルゴラッソ。
「等々力劇場の歴史」に残るであろう一戦は、見開きセンターカラーぶっこ抜きです。
「雨の死闘、憲剛ゴラッソで川崎Fが制す!」
いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
ラストプレーでの、あのゴラッソフリーキック・・・あの瞬間の等々力の爆発力は、「歓喜」とか「絶叫」とかいう言葉じゃ表現できないですね。観ている人の感情をものすごいふり幅でゆさぶったゴールだった。なにより、中村選手自身があれだけ全身で感情を表現するなんて、初めて見ました。
 なにより記者陣も、あのときばかりは、いっせいに「うぉおおぁぁぁぁーーーーーーーー!!」ってなりましたからね。等々力の記者席があれだけ爆発したのは・・・たぶん去年のナビスコカップ鹿島戦のゴール以来じゃないかな。そう、前日の代表戦から帰ってきて、中ゼロ日で強行途中出場した中村選手が弾丸ミドルを突き刺した試合以来です、きっと。
ただいかんせん、日曜日の夕方ゲームだったので、僕はかなりタイトなスケジュールで試合原稿書いていましたけどね。締め切りが試合終了直後だったので、違う意味で「うぉおおぁぁぁぁーーーーーーーー!!」でしたが(笑)。いいんです、うれしい悲鳴ですから。心臓には悪いけど。
きっと語り継がれるであろう試合だっただろうし、こういう場面に立ちあえる瞬間があるから、たまんないですよね。
あとエルゴラの日本代表コーナーでは、柴崎晃誠選手に関するコラムを書いてます。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
おかげさまで、今日の川崎周辺ではエルゴラ争奪戦が起こっているみたいです。コンビニで見かけた際は、よろしくです!... 記事を読む

昨日のエルゴラ&柴崎晃誠、代表入り。

$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
ガンバ大阪戦のプレビューは見開きです。「勝敗のカギを握る若き力」と題してコバユウこと小林悠選手をフォーカスしたコラムを書いております。途中出場で3得点と好調ですからね。明日のガンバ戦も期待です。
そういえば、録画したファイフロを見ていたら、選手のお部屋訪問のコーナーで、コバユウがエルゴラわざとらしく読んでいてめっちゃウケました。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
自分がガッツリ出ている、鹿島戦のエルゴラね。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
さて昨日はと言うと、なんといっても柴崎晃誠選手の代表入りですよ。いやはや・・・ビックリしました。
フロンターレの練習が15時からで、代表発表は14時半ぐらいだったのかな。だから、自分はちょうど電車で移動しているときに、ツイッターでその代表メンバーの名前を確認していたのだけど、最初は「柴崎」としかわからなくて、「どこの柴崎?コーセイ?それとも、柴崎岳?宇佐美も選ばれているから、若い選手試すのか?」とか思っていたら、まさかの川崎Fの柴崎晃誠ですよ。もう大興奮でした。
練習場には、いつになくたくさんの記者が集結してましたね。まさにコーセイ祭り・笑。練習後には、取材に応じてました。その様子はブロゴラに書いております。
柴崎晃誠選手が日本代表に初選出。「頭が真っ白になりましたね。『まじっすか』を連発してました(笑)」
http://blogola.jp/p/13535
エルゴラのJリーグ選手名鑑アプリも早速更新されました。代表選手一覧に柴崎晃誠がいます。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
うーーん、感慨深い(笑)。
書きたいことはいろいろあるのですが、早速、コーセイの原稿依頼も来始めているので、彼についてはそっちで書きますわ。
ではでは。... 記事を読む

今日のエルゴラ(1014号)

今日のエルゴラ。
セレッソ大阪戦のマッチレポートは、見開きカラーです。
いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
 僕は川崎F視点でのコラムを一本担当。後半、コバユウのゴールから再び同点にされるまでのあの「9分間」、チームに何が起こってどんな対応を取っていたのか。そこにフォーカスして書いております。
さて大阪から帰ってきた日、自宅に本が届いていました。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
 サムライブルーの料理人。
歴代の日本代表を支えてきた専属シェフが語った舞台裏です。食べ応え・・・いや、読み応えたっぷりな一冊ですね。
 というのも実はこれ、エルゴラ編集部に自分宛ての献本があったとのことで、それを自宅に送ってもらったものだったりします。いしかわごう、だてに「サッカーブック・ソムリエ」を名乗っておりませんよ。
白水社のKさん、ありがとうございます。じっくり読んで、書評はブロゴラかこのブログにでも書こうかしら。
それでは。今日は夕方から某所へ。ちょいと勉強会に行ってきます。... 記事を読む

セレッソ戦、雑感。

 大阪に行ってきました。
金鳥スタジアムは昨年のこけら落とし以来ですね。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
 エルゴラのセレッソ担当・小田くんともひさびさに会いました。お土産に、この試合のプレビューが掲載されてるエルゴラを渡す(関西版は一日遅れなので掲載がカットされてる)。去年までのガンバ&ヴィッセル担当・永田くんとも話せました。永田くんは精力的にいろいろやってますからね。興味深い話をいろいろ聞かせてもらいました。
 前半はプラン通りだったと思います。
今週のトレーニングでは、セレッソのドリブラーたちに対して、サイドでボールを保持された際、中央を締めて縦に追い出す守備を意識していました。前半はそれがうまくできていたと思います。何度か乾選手にバイタルエリアを使われたぐらいですね。セレッソをシュート2本に抑えていましたし、危険な場面もほとんどなかった。
 攻撃面では、局面でパスをつなぎつつ、縦に早いサイドアタックも機能できていたと思います。そもそもセレッソは、チームとしてアクションを起こしてくるので、スペースもできやすい。ゆえに組みやすい相手とエルゴラのプレビューにも書きましたが、わりとその通りになった前半だったかなと。両SBが高い位置を取るので、起点になるマルチネスのところでいい形でボールを奪って速攻を仕掛けると、2トップとCBが数的同数になっているという場面も何度がありましたから。
 もっとも、クルピ監督は茂庭選手と上本選手の能力の高さを買って、それでもよしと判断して守らせているのでしょうな。このあたりはリスクマネジメントの問題で、評価が分かれるところだも思いますが、去年はそれで守備がうまくいっていたわけですし。ただスペースも広大ですし、相変わらず2人にかかる負担はかなり大きそうだなという印象です。
フロンターレの2点目(矢島選手のゴール)は、3対2の局面を作られての失点でしたし、あそこでの上本選手は矢島選手と山瀬選手の2対1の対応でした。いくら能力が高くても容易に数的不利を作られては、さすがにしんどいのではないかと。あとこういうCBの「個の能力」に依存しすぎると、うまくいっているときは自信を持って局面を守れますが、失点が増え続けてきたときに、守備の組織構築も本人のメンタルも建て直しが難しくなる傾向がありますからね・・・なぜかセレッソ視点になって語ってしまいました。
 あとスカパーの録画を見て思ったのですが、前半40分過ぎのジュニーニョの抜け出しからのループを阻止したキム・ジンヒョンのアタックは、一発レッドカードでもおかしくなかったと思います。2-0だったからファウルを取らなかったのかな。結局、ジュニーニョは負傷し、ハーフタイムで途中交代でしてしまった影響がのちのちに響いてしまった気もします。
 後半については月曜エルゴラで詳しく書きましたんで、ここでは省きます。試合は3-3のドロー。残念ながら、金鳥スタで土をつけることはできませんでした・・・惜しいなぁ。あと試合後、セレッソサポーターが引き上げる審判団に対してブーイングを浴びせていたのですが、スカパーの録画を見直していたら、その場面について「フロンターレサポーターから選手にブーイングが飛んでいます」と実況の方が連呼していてびっくりしましたわ・・・・・いや、なんでやねん(笑)。
 あとミックスゾーンの付近にいくと、香川真司がいてちょっと興奮。J2でプレーしていた時期から明らかに「別格」でしたが、まさかドイツでいきなりブレイクするとは思わなかったな。すごいやつだぜ。
 取材を終えると、すばやく地下鉄で梅田駅に移動。
今回は自腹取材だったので、宿泊費と遠征日を浮かすため、帰りは深夜バスで帰ってきました。5500円でした。ひさびさの高速バスだったので、あまり眠れなかったけどね。早朝には無事東京に着きました。
 お昼にマリノス対甲府の中継を見ていたら、ハーフナーに競り勝って、タニが打点の高いヘディングを叩き込んでました。すごかったな、あれ。そして大黒さんは、相変わらず甲府キラーぶりを発揮してました。ちゃぶりまくりでしたね、マリノス。
それでは、よい日曜日を。... 記事を読む

フッキのはなし。

 いまさらだけど、フッキすごいなー。
FCポルトでUELファイナル制して優勝。出世しとるねー。
そういえばJ2のとき、ラモスさんが「フッキが得点王を取ったら、車買ってあげるよ」ってマスコミに公言してたんですよ。そしてリーグが終わってヴェルディは昇格。フッキも37得点で見事、得点王に。ラモスさんは当時バモスという車のCMに出ていたこともあって、「フッキにあげる車はバモスなんじゃないか」とか噂されてました。
 んであるとき直接ラモスさんに聞いてみたら、親指と人差し指で10センチくらいの間隔を作って「このぐらいの車だけどね」と笑ってました。「それ、ミニカーじゃんっ!」みたいな。「車には変わりないヨ!」って言い張ってしましたけどね(笑)。
ポルトといえば、ビラス・ボアス監督もすごく気になる存在ですね。選手暦もなく、まだ33歳。しかも16歳のときにロブソン監督に選手起用に関する手紙を出して、サッカー談義をするような仲になり、ポルトに働くことになったというのがユニーク。その経歴から、早くも「モウリーニョ2世」と言われ始めてます。うーん、興味深いタイプの監督です。
さて今日のエルゴラ。
いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
フロンターレのプレビューは1ページです。
昨年のこけら落としで対戦して以来、金鳥スタで不敗記録を続けているセレッソをどう攻略するのか。その展望を書いております。コラムでは鹿島戦の勝利で見えてきた、相馬フロンターレの勝ちパターンやチームの変化を検証しております。
さて大阪取材に行ってきますわ。... 記事を読む

今日の麻生取材。

 今日は朝から麻生取材に。
セレッソが来週火曜にACLがある関係で金曜日開催なんすわ。なので、今日が前日練習でした。セットプレーの確認をしていたのですが、珍しく相手のロングスロー対策もやってました。セレッソの選手にロングスローをしてくる選手がいるみたいですね。相手役のロングスローしていたのは、なぜかGKの安藤選手。キーパーがスローインをしている光景なんて・・・・しかもロングスローをしているのなんて、なかなか見れないっすよ。だって試合中にすることまずないですからね。安藤くん、なんでスローイン技術を磨いてたんだろう・・謎だ。
 練習終わってモロモロを取材してエルゴラのプレビューとコラム原稿を入稿。
あとジュニーニョにクルピ監督との話を伺いました。実は来日前、パルメイラスでクルピ監督のもとでプレーしているんですよ。この話は、ブロゴラに書いておきました。
http://blogola.jp/p/13239
あともう一本選手コラムを入稿。さすがに疲れましたわ。
書店を冷やかしていたら、べしゃり暮らしの最新刊が発売されていたので購入。
いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
ヤンジャンで読んでるけど単行本も買ってます。まだ12巻なのね。たぶん作者はお笑いを描きたいんじゃなくて、お笑い芸人にしかわからない「コンビ愛とはなんぞや?」を描きたいんだろうな。
面白い漫画だわー。笑い飯も熟読してるらしいです(笑)。
明日は大阪に行ってきます。それでは。... 記事を読む

週末の取材を振り返る。

 昨日は等々力でフロンターレ対鹿島戦を取材。
試合は3-2でフロンターレの勝利。相馬監督、めっちゃ喜んでいたなー(笑)。おかげさまでエルゴラの1~3面までいただきました・・・まさか表紙まで来てしまうとは!見開きでは、またもコバユウです。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
 試合に関して言うと、2-0で折り返した前半は、完璧な内容でしたね。相馬監督がやりたいサッカーをしっかりとピッチに出せた。「こういうスタイルがやりたいんだ」というメッセージがサポーターにも伝わった前半だったと思います。
その反面、後半は鹿島にだいぶ押され続けました。ここで気になったのが、ロングボールを蹴ってきた鹿島の攻撃に対するチームの守備意識。ロングボ-ルに対して、フロンターレの守備陣はDFラインを下げて対応しました。しかしセカンドボールが拾えない状況に、前線の選手からは「下げるな。ラインを上げてくれ」との要求。でも前からのボールチェイスができず、前を向かれて蹴られている状態では、後ろもラインは上げられない・・・というジレンマが少なからずあったようです。このへんは選手間でも話し合ってるようですし、うまく現実的な改善策を見出して欲しいところです。
 それにしても・・・日曜日の16:00キックオフだったので、かなりタイトな即上げ原稿でした。個人的には反省点が多かったな、とかいろいろありますが、そういうのも次にいい記事を書くための糧にしていきますわ。
 さて土曜日は味スタでヴェルディ対北九州戦の取材をしてきました。
後半のゴールショーで試合は一気に動いたわけですが、個人的にはスコアレスの前半のほうが興味深かったりします。水曜号のエルゴラに試合原稿が掲載されますが、せっかくなので、そこに書かなかった部分について触れておきますね。
 まずヴェルディがパスをつなぐスタイルなのは当然として、三浦監督になった北九州も丁寧にビルドアップしてくるスタイルに変貌していたのには驚きました。「うめぇなー」と思いながら北九州の中盤の顔ぶれを見ていたら、Jクラブのユース出身者で構成されていて、皆なかなかの技巧派。おまけにチームとしてのボール運びも巧妙。北九州のボールポゼッションの前に、ヴェルディはなかなかボールが取れませんでしたね。
 最後尾から見守っていたGK柴崎選手に聞いてみたところ、「前半はどこでボールを追いかけるのか、どこでプレスにいくのか、そういうポジショニングがうまくいってなかったですね」と素直に認めていました。さらに「相手はシステムも少し変わっているし、J2の中では珍しいチームだと感じましたね」とも・・・(ちなみに、なぜボールの奪いどころが定められなかったのか、なぜ中盤をダイヤモンドにした[4-4-2]の北九州のシステムが「変わっている」のか、このへんについては水曜エルゴラに書いてますんで、ここでは省きます)。
 ただボールポゼッションはされたものの、ヴェルディは北九州に決定機自体は作られてないんですよね。それがまたもどかしい展開を生んだ理由にもつながっていた。例えば土屋選手は、ボールキープしている相手がFWにクサビのボールを入れてくる瞬間をずっと狙っていたとのこと。29分の場面がそれで、多田選手が長野選手に縦のくさびのボールを入れたところを土屋選手がカット。すばやく縦に高木選手に出して、そこからサイドの井上選手にはたいて、そのクロスに平繁選手が飛び込むカウンターを発動させています。前からうまくボールが奪えないのなら、ああいうパンチをもっと撃ち込んで、攻めのアクセントをつけていきたかったようです。ただ北九州は、そのクサビのボールをなかなか入れてこなかった。その結果、動きのない時間帯が続き、試合を見ている人にとっては「退屈な前半」に映ってしまったのかもしれないという旨のことを言っていました。
 もちろん決定機といえば、前半終了間際に、長野選手にゴール前中央でシュートを打たれた場面くらいがありますけど、あれは崩されたわけではなく、単なる森選手のミスからですからね。なおあの場面については、「高いボールに対しては自信をもってプレーしているけど、(前半の決定機のような)ああいう足元での場面はまだ少し慣れていない印象を受けました」(柴崎選手)とのこと。あの局面では、長野選手がCBからコンバートされたFWだったのが少なくない影響があったようです。そういう話もちょっと面白いですよね。
・・・そんな感じに、誰も触れないであろう、あの試合の前半をあえて語ってみました(笑)。
それでは、また。... 記事を読む