[書評]なぜボランチはムダなパスを出すのか? ~1本のパスからサッカーの"3手先"が見えてくる~

どうも、サッカー本ソムリエ・いしかわごうです。
 今年もあと少しですね。
12月はサッカー本ラッシュですが、そのなかで読んだ本を紹介したいと思います。今日はこちら。
いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
なぜボランチはムダなパスを出すのか? ~1本のパスからサッカーの”3手先”が見えてくる~
 
 タイトルがあまりにも長いので、僕は「なぜボラ」と呼んでます。普通に買おうと思っていたら、著者の北くんから献本がありました。ありがとうざいます!
内容はページをめくり手が止まらないほどめちゃくちゃ面白かったのですが・・・ですが、よくこんなマニアックなテーマを一冊の本にして出そうと思ったもんです・笑。
というのも、本書で読み解いているのは、ゴールに直結しているパスではありません。その起点となるパスでもありません。むしろ、起点になる一歩手前の段階で出された何気ないパス。ボランチが出すそんな1本のパスから生まれる物語を考察している一冊です。

(本書より)
遅いパスを出す→ダイレクトで返す→リターンを受ける。簡単にいえば、やっていることはそれだけ。だが、相手選手がプレスをかけに行くことによって、他のポジションのマークも動くので、カッチリとはまっていたマークにズレが生まれ、スペースが生まれる。つまり、新しいパスコースが生まれるということでもある。
普通に見ていれば、何でもないパス交換に見えるかもしれない。
しかし、その何でもないプレーによって試合が動く。  

・・・・こんな感じで、一見ムダともいえそうなあのパスがどんな効果をもたらしているのかをとことんまで解説しています。
 プレーのサンプルとしては、日本代表の遠藤保仁選手を中心にフォーカスしています。
 日本代表やガンバ大阪の試合を注意深く見ている人ならわかると思いますが、味方のセンターバックがビルドアップをし始めると、遠藤選手は一度下がってボールを引き出して、すぐにバックパスをします。そして少しだけ動き直しをして、そのリターンパスを受ける。中盤や前線の選手が近いポジションにいれば、彼らにゆっくりと当てて、そのリターンパスを受けることも多いですね。
 時間にしたらほんの数秒。傍から見てる分には、本当に何気ないパス交換です。でもこの動作があることで、そのあとの展開がスムーズになっている・・・・ただ、その微調整がいかに効いているかをまわりに説明するのって、本当に難しいんですよ。「遅いパス」、「攻めのバックパス」などのプレーも懇切丁寧に書いていることに好感が持てますね。
 この「何気ないパス交換」と似ているなと思った作業が将棋にあります。
 
 それは歩の突き捨て。
将棋には「開戦は歩の突き捨てから」という格言があります。
駒と駒がぶつかり合って戦いが生じる前に、あらかじめ歩を突き捨てておくことです。もちろん、一見すると効果はありません。でも突き捨てておいた歩の筋に歩を打つことができるので、これがのちのち生きてくる手筋になってくる。いちど開戦してからあらためて歩を進めるのでは完全に遅い。だから歩を開戦前に突き捨てておくことによって、自身の手数に余裕を持てるわけです。遠藤選手がする「この何気ないパス交換」は、将棋でいう「歩の突き捨て」に似てるかもしれませんね。

 話がそれました。
本書ではボランチ視点で語られるだけではなく、ストライカー目線のボランチ論(播戸竜二選手)、サイドバック目線のボランチ論(駒野友一)と違うポジションからの考察も加えてあるところもよかったですね。特に、生かされるタイプのストライカーが求めるボランチ像の話は興味深かったですね。
  パサータイプのボランチの観察するときのいい教科書になると思います。年末に読むのもオススメですよ。
なぜボランチはムダなパスを出すのか? ~1本のパスからサッカーの”3手先”が見えてくる~ (サ…/北 健一郎

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キクの選択。

 菊地光将選手の大宮アルディージャ移籍が決まりました。
 ワイルドな風貌とは裏腹に、実は照れ屋な一面を持っている選手でした。
なので、取材で話を聞こうとすると「僕に聞いても何もないですよー」と言ってはぐらかされ、本音らしきコメント聞かせたとしても、語尾に「・・・・よくわかんないですけど・笑」と言ってぼやかすので、本当に掴めない性格でした。最後まで掴めなかったですな。なので、今回の移籍の決断に関しても、核心を聞けずじまいでした。ただ解散式の日に、奥様とも一緒にクラブハウスに来ていたので、まぁ、そういうことなのだなとは薄々感じてましたが。
 菊地選手のプレーといえば、なんといっても、空中戦でのあの滞空時間の長さですね。
なんというか、1人だけ空を飛んでいるみたい高さと長さ。もう「ビヨーン」って擬音が出そうなぐらい・・・って、ライターならもうちょっと言葉を選べよって話ですが。いや、でも本当にそんな感じですからね。
 その滞空時間の長さを生かしたシーンが、今年の等々力リーグ第16節広島戦で菊地選手のゴールです。
エルゴラで、担当クラブの今季ベストゲームを選ぶ企画があったのですが、実は僕はこの第16節広島戦(2-0)を選出しています。「パスを出したら動く。動いたら味方からボールが出てくるので受ける。そしてまた動く」という相馬監督の目指す連動性がチームとして非常によく機能していた試合だったからです。完封し、守備もパーフェクトでした。
 なかでも、菊地選手のゴールシーンは圧巻でした。自陣でパスカットすると、左サイドの矢島選手へパス。タッチライン際をゴリゴリと突破した矢島選手がゴール前にクロスを挙げると、そこに飛び込んでいたのは、なんと自陣ゴール前にいたはずの菊地選手。パスを出した後もそのままオーバーラップしていき、見事なヘッドでゴールネットを揺らしました・・・あのゴールは、実にダイナミックでした。
 後日、菊地選手に「何であそこまでオーバーラップしようと思ったの?予感があった?」と聞いてみたら、「なんとなく・・・よくわかんないです・笑」と相変わらずのコメントでしたが、「去年だったら、たぶんあそこまで行ってないでしょ」と質問を変えてみると、「そうですね。去年の自分だったら、あのまま攻め上がっていかなかったかもしれないですね」とも話してくれました。これを聞いて、相馬監督が目指しているリスクを冒してでも前に行くという選択ができ始めているのだなぁ、と感心したものです。あれはいいゴールでした。
 埼玉でのレッズ戦や大宮戦の前に意気込みを聞いても、地元への思いをあまり語ったりしないタイプだったので、今回の選択は意外といえば意外ですね・・・やはり最後まで掴めない選手だったということで。
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中学生に戻れたら何部に入る?

中学生に戻れたら何部に入る? ブログネタ:中学生に戻れたら何部に入る? 参加中
うーん、中学生に戻っても、やっぱりサッカー部に入りたいですね。
そして、もっとちゃんとゴールキーパーの練習をしたい・笑。
 そうそう。
当時の思い出でもひとつ。ちょうど自分が中学生になったぐらいに、ゴールキーパーのルールが改正されたんですよ。それは「味方のバックパスをゴールキーパーは手で取れない」というもの。今では当たり前のルールですけど、それまではバックパスだろうとなんであろうと、来たボールをキャッチできてましたからね。それが突然、「これからバックパスは手で取っちゃダメ。足で処理しろ」って言われたわけですよ。
 もう「えぇーーー!?」でしたね。
だって、ルール変更にも2種類あるじゃないですか。今までダメだったものをOKにするのと、今までOKだったことが禁止されること。しんどいのは、やはり「今までOKだったことが禁止されること」だと思うんですよ。「これからの試合では禁止になりました」とか、そんな大事すぎるルール改正を、あまりやる気のない顧問からサラッと言われましたからね。
 実際の試合でやってみると、ルールに慣れてないから、「あれ?ヘディングならキャッチしていいのか?」とか判断に迷うわけですよ。ピンチのとき、DFが自分に戻したボールを、とっさにキャッチしてしまい、間接フリーキック取られたり・・・・すげぇストレスでしたね。
 このとまどいの感覚、今の若い子には理解できないだろうな・・・今はサッカーを始めた頃から、ゴールキーパーでも足技の練習しますもんね。
・・・懐かしいですな。
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グラゼニの3巻が出た。

 グラゼニの最新刊3巻が出ました
いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
 早速、2012年の「このマンガがすごい!」のオトコ編で2位にランクインしたことが帯になってました。僕も1巻の発売時からオススメしている漫画です。タイトルは「グラウンドには銭が埋まっている」の略から。プロ野球漫画だけど、「本格派・プロ野球漫画」ではありません。スターではない中継ぎの投手・凡田夏之介を通じて、(フィクションですが)球界での日常や人間関係が垣間見れる、新しいジャンルのプロ野球漫画ですね。
 今回は、定食屋ユキちゃんの話が面白いです。
プロ野球選手の結婚といえば、女子アナ。年俸1800万円の凡田が憧れているのが、定食屋で働く庶民的なユキちゃん。ただユキちゃんは凡田がプロ野球選手であることには気づいていない様子。
そんなとき、とあるきっかけでユキちゃんが球場に足を運び、凡田の試合を観戦することになるのだが・・・・その試合展開が切ない。いや、切ないというか、面白い。特にユキちゃんの豹変ぶりが。ユキちゃん、サッカーのサポーターにもいそうなタイプですな・笑。
 あー、この3巻を読んだら、唐揚げチャーハンが妙に食べたくなりますね。
 野球に詳しくなくても楽しめます。
まだ3巻までしか出ていないので、まとめ買いで読んでしまうのもオススメです。
グラゼニ(3) (モーニング KC)/アダチ ケイジ

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グラゼニ (1)/森高 夕次

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グラゼニ(2) (モーニングKC)/アダチ ケイジ

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このマンガがすごい! 2012/著者不明

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シュージンの愛用しているヘッドホン。

 最近、ヘッドホンが欲しかったんですよ。
外出時に音楽聴くときにかけるのではなく、自宅で集中して原稿を書くときに使用する用として。
別にこだわりとかはなかったんで、どんなのがいいのかなーと思ってたんですよ。
 ヘッドホンといえば・・・・ふと思い浮かぶことが。
漫画「バクマン。」に出てくるシュージンがいつもかけているヘッドホンってあるじゃないですか。
バクマン。 2 (ジャンプ・コミックス)/小畑 健

¥420
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 これって実在するのかな、と。
気になったのでちょいと調べてみたら・・・・ちゃんとした既製品でした。
SONY MDR-XD100 ヘッドフォン/ソニー

¥2,415
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「SONY MDR-XD100 」
値段も2500円前後とお手ごろでした。
 ヘッドホンといっても、いまはノイズキャンセリングのタイプだと数万円しますからね。まぁ、中学生だったシュージンが愛用しているヘッドホンと考えれば、これぐらいの価格が妥当か。
ただ昔、スラムダンクの流川くんが朝練のときに使用している自転車を調べてみたら、オーダーメード製で15万円ぐらいするものだったってことがありましたからね。
 サンタさんに頼むのもなんなんで、ビックカメラに行って自腹で購入。
いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
 付け心地もいい感じで、集中できそう。
これかけて仕事すれば、シュージンみたいに、いいアイディア浮かぶし、いい原稿がかける・・・はず。
こんなグッズもあるんですね・・・仕事場のカギのチェーン。
バクマン。 「おじさんの部屋のカギ」 キーチェーン/NHKエンタープライズ

¥1,260
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ネーム用のノート。
バクマン。 ネームノート 【ジャンプフェスタ2010】 大場つぐみ・小畑健 [国内正規品]/集英社

¥300
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漫画トーンキットも。
バクマン。 マンガトーンキット 亜城木夢叶セット/NHKエンタープライズ

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