甲府戦は3-1で勝利。
中断明けから4試合目にしての白星です。ただこの4試合ではシュート数、決定機がともに少なく、内容的にも一番良くなかった試合だったかもしれませんね。ただ、少ないチャンスをしっかり決めて勝ち切る力も重要です。あと終盤に押し込まれながらも、ジェシを中心に粘守り切った守備陣の頑張りも光るゲームでした。
前半は、甲府のプラン通りに進んだ45分だったと思います。
甲府の布陣は[3-4-2-1]ですが、守備時は自陣で[5-4-1]を組みスペースを消してきました。特に中央を締めて、大久保選手と憲剛選手のラインを徹底的に消してきましたね。となれば、レナトに預けて左サイドから打開していくのもひとつですが、レナトは不在。
そこで周囲が連動しながらやっていくことがポイントなわけですが、ここで気になったのが、中断前と比べて、半分近くの先発メンバーが代わっている点。最終ラインは3人の入れ替え、アランは合流3試合目、ボランチも森谷選手が2試合目、さらに左サイドのノボリと小宮山選手は久しぶりの先発コンビですからね。ユニットとしての部分を考えると、試合中にお互い確かめながらプレーしていく部分が多くなるのは仕方がないところです。
それよりも気になったのは、動きの少なさから生まれる攻撃の手詰まり感でしょうか。風間監督のサッカーでは、「出して、動く」を繰り返して相手を外す動きが肝なのですが、ボールを持ったときに、相手が自陣に引いてボールを取りに「来なかった」ためか、余裕を持って足元でボールを持ててしまうんですよね。自分たちがボールを握って相手陣地に押し込めていても、そのときにボールホルダーに対する周囲のサポートや動き出しが少なくては、相手の守備のバランスはなかなか崩れません。
それでも、立ち上がりの20分ぐらいまでは悪くない距離感でプレーできていました。しかしカウンターに出た場面を、逆にカットされてしまう場面から失点。パスミスしたのはアラン。ボールロストの少ない選手だと思うのですが、このときの失い方はやや軽卒でした。
甲府の攻撃は、予想通り、パトリックのパワーを存分に生かす戦い方でした。サイドから、中盤からも頭を目がけてシンプルなロングボールを入れる。背に腹はかえられないのか、かなり割り切っている部分もあると思いますが、それだけで十分な脅威を与えていました。得点もサイドからパトリックへのクロスを西部選手が弾いたこぼれ球を決めたものでしたし。
勢いに乗った甲府の反撃をくらい、パトリックの飛び込み含め、決定機を何度か作られました。甲府はここで仕留め損ねたわけで、フロンターレとしては、この時間帯を1失点のまま我慢できたことが、後半の逆転劇につながったと思います。もしかしたら、失点してから前半終了までが、この試合における分岐点だったかもしれません。
後半はサクッと。
フロンターレは「出して、動く」の意識を徹底させることで反撃し、特に右サイドの攻撃が見違えるように良くなりました。サイドから人の動きを加えて崩すことで、3バックの泣き所を突いていきます。それがまずアランの突破が幸運なPK獲得を生みます。倒したのはペナルティエリアの外ですから、ラッキーとしか言いようがありません。ただ盛田選手は完全に逆を取られてのタックルで、足を踏んだ形になってましたから、審判の印象が悪かったのかもしれません。
さらに相手のビルドアップの運びからボールを奪い、カウンター。大久保選手の落としに憲剛選手の抑えのきいた地をはうシュートでズドン。憲剛選手のシュート技術の高さが光りましたが、あの落としに走り込んでという形は、麻生のシュートトレーニングで毎日のようにやっている型でもあります。
3点目も、右サイドの田中裕介選手の泥臭いチェイスから。その前にも抜け出してGKと1対1を作るなど、後半の田中裕介選手の突破は光りました。
終わってみれば3得点。
レナト不在で攻撃力の低下が心配されましたが、「いるメンバーの個性を生かした攻撃が出来る」というのが、風間監督のサッカーの強みだと思います。特にこれまでフロンターレのサイド攻撃は、左サイドのレナトとノボリの連係がストロングポイントでしたが、今後、右サイドのアランと田中裕介選手による崩しが武器として機能し始めると、また攻撃のバリエーションも広がって来て面白いのかな、と。
風間監督は、ペナルティエリアの3辺を崩すことにこだわりを見せてますからね。レナトだけではなく、小林選手、矢島選手を欠き続けた中でも、これだけの得点力をキープできているのにはしかるべき理由があるわけです。
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日曜日の日テレ「LIVE MONSTER 」にスキマスイッチが出演。甲府戦で抑えのきいたミドルシュートを決めた選手もゲスト出演してました。
隣にいたカラフルメガネは、僕ではなく山ちゃんです。山ちゃんにけっこう拾われて、ツッコまれてました。
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スキマスイッチだとユリーカが好きです。
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レナト基準。
先日の多摩川クラシコで負傷交代したレナトの肉離れは全治6週間だと発表されました。やはり軽傷ではなかったですね。しっかり、ゆっくり治して欲しい欲しいと思います。
ただ4月には全治4週間と発表されていた筋肉系の怪我を2週間たたずに復帰したサイヤ人ですから、思いのほか早く戻って来るんじゃないかと思ってますが。
レナトのポジションに入るのは、おそらくノボリになると思います。すっかり左SBが板についてきた彼ですが、もともとはウィンガーですからね。浦和戦や大宮戦の後半などでは[3-4-3]の高い位置でプレーしてますし、さほど問題ないでしょう。
ただし左サイドハーフというポジションには問題なくても、レナトのポジションに入るということにプレッシャーはあるようです。ノボリ本人にきくと「まわりから『レナトだったら、今のは行っていたわー』と言われないように頑張ります・笑」とのことでした。
プレーしている方も、観ている方も、左サイドのあの位置にボールが出ると、つい「レナト基準」で観てしまいますからね。つーか、レナト基準は、たぶん今のJリーグで一番ハードルが高い基準かもしれません。スピードならノボリもかなりあるほうだと思いますが、レナトはレナトで別次元なので、レナト基準でノボリのプレーを語るのはやめましょう・笑。... 記事を読む
学研から「Jリーグあるある100」が出ます!
8月20日発売の「Jリーグあるある100」が届きました。
最近、本屋さんでよく見かける「あるある本」のJリーグ版です。サッカー版ではなく、Jリーグネタだけで一冊の本になっております。それも元Jリーガー、女子サポ、J2サポ、そしてJリーグ番記者など、Jリーグネタをさまざまな角度から面白おかしく語っています。なかなかいい切り口だと思います。
実はわたくし・いしかわごう、この本の中のJリーグ番記者による「記者あるある」に登場させてもらいましたーーー!FC東京番記者の後藤勝さんとの対談で、取材現場での「あるある」をあれこれ語っています。ちょっと・・・いや、かなりマニアックですね。紙面では僕のあのソフトな語り口が伝わらないのが、とても残念ですが(どこが?)。
まだ発売前なので詳細は触れませんが、「元Jリーガーあるある」での小倉隆史さんと前園真聖さんが明かす、Jリーグ開幕時の監督だった松木安太郎監督と加茂周監督の伝説はめっちゃ笑えます。
発売は来週8月20日なので、本屋で見かけた際にはぜひ手に取ってみてください。950円です。
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「今は中村史上で一番良い」という名言。
明日は日本代表のウルグアイ代表戦ですね。実は編集部からオーダーをいただき、昨日に引き続き、フットボールチャンネルでこんな日本代表原稿を掲載させてもらいました。
「今は中村史上で一番良い」。日本代表落選の中村憲剛が焦らない理由
日本代表に”選出されなかった”中村憲剛選手について紹介しています。
ワールドカップ本大会まで10ヶ月ということで、選手は毎試合毎試合が選考会という気分になっているかもしれません。4年に一度のチャンスですから、6月が近づけば近づくほど、そのプレッシャーも高くなっていくと思います。それでも、憲剛選手は落ち着いています。むしろどっしりと構えているような感じです。そのへんの理由について書いております。
「今は自分史上で一番良い」っていうのは名言だと思いますよ。取材時にこのコメントを憲剛選手が発してくれたとき、思わず「名言出たよー」って一人で盛り上げてしまいました・笑。「今が自分史上、一番良い」・・・人生で一度は口に出して言ってみたい言葉ですね。
他にもシーズン序盤の不調時から立ち直ったときのあるエピソードもあったのですが、それは別の機会にでも。
ではでは。
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等々力取材〜見応え十分だった多摩川クラシコ。
多摩川クラシコということでイベントも盛りだくさん。試合前のフロンパークでは、フットブレインによるガチトークバトルが開催されてました。
司会は勝村政信さんとテレビ東京の水原アナでした。杉崎美香アナじゃないのね・・・(めざにゅーの頃から好きなので)。僕は第2部の寺田周平コーチと佐原秀樹コーチ、そして小林成光コーチ(FC東京)のトークバトルを観戦してました。
面白かったのが、選手の移籍に対する話題でしょうか。
佐原選手が川崎フロンターレからFC東京に移籍した経緯があるということでその話になったのですが、周平さんが「フロンターレのサポーターは移籍した選手に対して、拍手する文化がありますね」と言っていたのに対して、小林コーチが「FC東京の場合、ブーイングされるかどうかは・・・・人によりますね・笑」と言っていました。勝村さんは「スペインのクラシコで相手に移籍したら、豚の頭を投げられますよ、コーナーフラッグで!!」と興奮してました・笑。
試合の方は2-2のドロー決着。
勝てませんでしたが、何も出来ず完敗に終わった前回の対戦に比べると、チームとしての変貌ぶりを存分に見せつけた内容ではあったと思います。ゲームについての分析はフットボールチャンネルでバッチリ書かせてもらいました。中盤を巡る攻防について書いてます。詳しくはそちらを読んでください。
多摩川クラシコで躍動した中村憲剛。FC東京の“川崎対策”はなぜかわされたのか?
原稿にも書きましたが、GK西部選手のミドルレンジで通したパスを起点に始まったあの先制点の崩し方、何度見ても鮮やかですな。相手選手にはボールを全く触れさせてないですし、あんなパスワークをされたら、権田選手、森重選手、高橋選手の日本代表3人が構える守備陣もお手上げでしょう。攻撃に自信をつけているだけに、勝ちたかったですね。
ここにきてけが人がさらに増えてきたのは気になるところです。この試合でも交代カードの3枚全てがアクシデントによる交代となってしまいました。實藤選手は軽い脳しんとう、森谷選手は熱中症とのことだったので、復帰までに時間はかからないと思いますが、レナトの状態はちょっと・・・いや、かなり心配です。重傷ではないといいのですが。
試合後のミックスゾーンでは伊藤選手に少し話を聞きました。
「多摩川クラシコの歴史を知る男としてコメントください」と話しかけると「ふふふ・・・」と笑ってくれました。憲剛選手は意外と多摩川クラシコに欠場してますから、一番出場しているのは、現役ではたぶんこのお方でしょう(調べてないですけど)。
「今年は勝てなかったから悔しいね」と地味に悔しがっていました。あと多摩川クラシコが点の取り合いになっていることには、実は守備陣として少し複雑みたいです・笑。最近、得点を量産している憲剛選手の活躍についての評価も聞いてみたのですが、「今日のはごっつぁんでしょ。ポストに当てたミドルを決めないとダメ」と、やっぱり憲剛選手には辛口でした。ヒロキさんによる憲剛選手のダメ出しトーク、たまらないっす。
しかし暑い日が続きますね。
等々力からの帰り道、いつものように駅まで歩いて帰ったら、かつてないほどの汗だくになってしまいました。あの酷暑の中、90分間サッカーボールを追いかけて走り続けていた選手達、マジリスペクトっす。
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将棋×サッカー漫画「ナリキン!」の第4巻が出た。
将棋×サッカーの漫画「ナリキン!」の4巻が出ました。
ヴァンフォレスト甲府戦の決着、そして表紙にもなっていることからわかるように横浜F マリノスとのコラボ企画として、天皇杯準々決勝で横浜F・ナノリスとの対戦が描かれております。
マリノスとのコラボ企画は、イベントにもなりました(僕のレポートです)。
中村俊輔は銀と桂馬を足したような選手!? サッカーと将棋の意外な共通点
ネタバレになるのであまり詳しくは触れませんが、作品内では新シーズンが始まってます。
ナリキン!の場合、連載が始まったのが去年のため、作品中の登場クラブや登場人物も2012年シーズンがモデルになっているのですが、連載漫画の難しいところで、どうしても現実と物語の進み具合にタイムラグが出て来てしまいます(例えば、スラムダンクの連載期間は6年でしたが、作品中では3ヶ月しか経ってないとか)。
ここをどう扱うかというのは、いろいろな方針や考え方があると思いますが、ナリキン!の場合は、スパッと切り替えましたね。連載が一年経って、新シーズンが始まっています。選手名など旬なネタを取り込んでいる漫画ですし、個人的にもそっちのほうがいいと思います。
将棋×サッカーといえば、8月7日の日刊スポーツの裏一面で将棋プロ棋士の深浦康市九段が「こだわりジャパン」に登場していました。
日本代表選手を将棋の駒に例えて解説してくれてます。
敵の王将の頭にパチンと金を打つ「頭金」をゴール前に豊田陽平選手にボールを集めてトドメを刺すイメージと語っていたり、野月さんの視点もまた少し違っていて、勉強になります。深浦さんは野月さんの口からもよく話題にあがるサッカーマニアですからね。将棋連盟サッカー部を立て上げて初代部長に就任してますから、かなりのものです・笑。
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明日は多摩川クラシコですね。
そういえば、ナリキン!の第1巻が発売されたのって、去年の9月の多摩川クラシコ直前だったな。何か縁がありますね。
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情熱大陸に林真理子さん。そして「野心のすすめ」。
情熱大陸に林真理子さんが出てました。
最近の情熱大陸、作家の登場率が異常に高いですね。「原稿料と印税で食べている作家は、今の日本では50人ぐらいしかいない」と本人。長年売れ続けている人気作家の仕事ぶりと生活ぶりに密着してました。パワフルで面白い人でした。
少し前に読んだ「野心のすすめ」(講談社現代新書)。
僕が買ったときは帯に「20万部突破」と印刷されてましたが、すでに40万部突破しているんですね。
この帯に印刷されている「“高望み”で人生は変わる」のフレーズ・・・なかなか刺激的です。本書では、コピーライターとして世に出てきた彼女が「いかに成り上がってきたのか」を赤裸々に語ってます。そして何かとスマートにしたがる時代だからこそ、あえてガツガツすること、野心を持つことの大事さを説いています。
いいですねぇ。それだけギラギラしたら、そりゃあ、まわりに敵もたくさんできるだろうけど、もし何かを成し遂げたかったら、このぐらいのパワーも大事だよな、と。
野心のない同業者の若者に危機感を抱いているのも印象的でした。
若い作家のエッセイを読むと、昼頃に起きてシャワーを浴びて、自分で美味しいパスタを作って、そのあとちょっと仕事をして、ビデオを観て寝る、みたいな一日だったりするんですよね。欲がまったく感じられない。野心オーガニックな生活とでもいいましょうか。
昔はもっと生意気で鼻につくような若い作家がいて、やり込められたり、むっとしたりすることも多かったのですが、いまはみんな、こちらが感心するほど礼儀正しく、おとなくして「あ、いい子だね」という印象だけで終わってしまうんです。
これは作家だけではなく、この風潮は若者全般にも及んでおり、お金がなくても、飢え死にはしない日本の現代社会、具体的には(極論だと思いますが)「一生、松屋とユニクロでオッケーじゃん」という状態が若者から野心を奪っているのではないかと危惧。
そして泥臭く頑張ることの重要性も説いています。
人生にはここが頑張り時だという時があります。そんな時、私は「あっ、いま自分は神様に試されているな」と思う。たとえば、仕事や勉強を必死でやらなくてはいけないときなのに、つい気が緩み、ソファに寝そべってお菓子を食べながらテレビを観ているとします。しばらくするとハッとして「いかんいかん。この姿も神様に見られているんだから、頑張らなきゃ」と再び机に向かうんです。
ちゃんと努力し続けていたか。いいかんげんにやっていたか。それを神様はちゃんと見ていて、「よし。合格」となったら、その人間を不思議な力で後押ししてくれる。
好き嫌いが分かれるタイプかもしれません。でも今の時代だからこそ、響く言葉も数多くちりばめられています。そんな本です。
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