川崎の太陽が託したもの。

今日は朝から麻生グラウンドへ。
平日にもかかわらず、たくさんのサポーターが練習見学に訪れていました。実はサポーターの働きかけで、ジュニーニョに気持ちを伝えるためにみんなが集まったのです。練習場には、彼に向けたメッセージの書かれた弾幕も張られていました。
 ただ残念ながら、今日のジュニーニョは室内調整のみ。グラウンドに姿を現すことはありませんでした。なので、みなさんクラブハウスの前でジュニーニョを出待ち。かなりの行列になってましたが、帰るときはサインや写真撮影に丁寧に応じていました。
いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
そしてサポーターのお願いを受けて、メッセージの書かれた弾幕にもちゃんとサイン。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
ジュニーニョはサインに「スマイルマーク」も書いているんですよね。かわいいです。
 以前、エルゴラの小林悠選手インタビューで、こんなエピソードを紹介したことがあります。
 それは、今年から(背番号が11と10なので)ロッカールームが隣同士になったジュニーニョから、小林選手が『俺のことを良く見ろ。練習中も、自分の近い場所にいてプレーを見ておけ』と言われたという話です。
 師弟関係とまではいかないと思いますが、この言葉をきっかけに小林選手がジュニーニョのプレーを観察し始めたそうです。そしてその結果、今季の彼がどんな活躍をしたのかは、いまさら説明するまでもありませんよね。
 だったら、退団が決まったジュニーニョが小林選手だけに託したものもあったんじゃないだろうか。
 今日の練習後、そんな疑問を小林選手に聞いてみました。
 すると彼はうなづいて、こう明かしてくれたんです。
「チームが苦しいときにゴールを決めるストライカーになれ、と言われました」
・・・・ひさびさに、しびれましたね。
だって、ジュニーニョしか言えないですよ、この言葉は。
はぁー。かっこよすぎるでしょ、川崎の太陽。
ホントまぶしすぎるでしょ(太陽だけに)。
週末のリーグ最終節磐田戦。
アウェイですが応援に行き、川崎の太陽の勇姿をしっかり目に焼き付けましょう。
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ジュニーニョの契約満了を発表。

週末はホーム最終戦となるクラブが多いこともあって、徐々に来季の去就が発表され始めていますね。
 
 フロンターレは、ジュニーニョの契約満了を発表しました。
天皇杯には残らず帰国するとのことなので、明日のマリノス戦がフロンターレのジュニーニョとしての等々力ラストプレーになりました。クラブにとっては「助っ人外国人」という枠を超えた、偉大な功労者です。まだあまり実感はわきませんが、ひとつの時代が終わっていくのだな、というさびしさはありますね。
 麻生でのジュニーニョは、自分の車を選手やスタッフが止める駐車場のスペースではなく、クラブハウスの入り口付近に駐車しているんですよ。そんな「特等席」に駐車しちゃうのは、そしてそれが許されているのは彼だけですよ・笑。
 幾度となく取材もさせてもらいましたが、個人的には09年のナビスコカップ決勝戦に向けたインタビューは印象的でした。
 届きそうで届かない、タイトル獲得という願い。03年からフロンターレでプレーしているだけに、決勝戦を控えてその思いも特別なのでは?と聞くと、彼はこんな風に話してくれました。
「そうだな、例えていうなら、自分の喉からここ(胸元)でずーっと何かが止まっているようなイメージなんだ。誰かがポンと叩けいてくれれば、すぐに吐き出せそうだよ(笑)。それがタイトルなんだ。もちろん自分だけではないと思う。サポーターもみんなが早く吐きだしたい。のどに詰まっている状態なんじゃないかな」
 愚問だともわかりつつ、タイトルを取りたい気持ちの源には何があるのかもこのとき聞いてみました、クラブのため、サポーターのため、家族のため、あるいは、川崎市のため、それとも自分のため・・・彼の中ではどういう思いが強いのか。
 「すべてだ。もう、本当にこのクラブに関わるすべての人たちのためにタイトルが取りたいんだ」と即答でした。「用具係であったり、洗たくをしてくれている人、グラウンドキーパー、強化に関わっている人、フロントの人たち、自分たちがグラウンドでプレーできることに協力してくれている人がたくさんいるから、彼らのためにタイトルを取りたい。もちろん、試合や練習に来てくれるサポーターもそう。他にも目に見えないところでも支えてくれている人がこのクラブにはたくさんいるし、自分たちに力を与えてくれている。そういうひとたちのために取りたいんだ」
 今季はリーグ戦、ナビスコともにタイトル争いに絡むことはできませんでした。
その意味で、まだ悔いは残っているので天皇杯まで残って欲しかったですが、本人の希望もあるようなので、そこは仕方がありません。明日の神奈川ダービーのピッチには、いろいろな思いが表現されることでしょう。
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ヨコのこぼれ話。

 今日は麻生へ。
コカ・コーラのハピネストラックが来てイベントをやっていて、なにかと楽しかったです。
 練習後の取材では、今季ホーム最終戦となる横浜Fマリノス戦に向けた話をいろいろと。そして横山選手に前節広島戦で記録した記念すべきリーグ戦初ゴールについて、いろいろ聞かせてもらいました。
 ゴール自体は、CKでのヘディングがゴールポストにガツン。それが内側に跳ね返り、ボールがゴールライン上のあたりを転がっているところを、飛び込んでいた伊藤選手がプッシュという形でした。
 ヨコ自身も、最初は宏樹さん(伊藤選手)のゴールだと思ったそうです。ただセンターサークルに戻ってくる宏樹さんから「入ってたよ」と言われて、場内アナウンスでも名前が呼ばれたことで、「自分なのかな」と。
 ただこのときは、自分がゴールを決めたことより、同点に追いついただけなので、自分の中ではそんなに喜んでいなかったつもりだったらしいんですよ。「でも、あとでゴールの映像見たら、自分、めちゃめちゃ喜んでましたね」と照れてました・笑。
 ここ最近(というか今シーズン)、フロンターレはなかなかCKから得点が取れてなかったのですが、実は横山選手が復帰してからの2試合は、彼が絡む形で2試合連続で決まっています。
 その秘訣を根掘り葉掘り聞いてみると、実はヨコ、シーズン始まる前に、CKで点を取りたいことを周平さん(寺田周平コーチ)に相談したらしいんですよ。そうしたら周平さんがCKのゴールシーンを集めたDVDを焼いて渡してくれたそうです。
 それをしっかり見て研究し出し、そして普段、海外サッカーを見るときも相手のマークのはずし方などを重点的に見るようになったのだとか。そして実際の練習でもいろいろ工夫していたそうです。
 なるほどね。
華やかに見えるプロサッカーの世界。でもそのたったワンプレーの影にも、そこまでのいろんな積み重ねや思いがあるのだなぁ、とあらためて感じた次第です、ニンニン。
・・・なんか最近、近所のセブンイレブンが映画「怪物くん」の宣伝一色なので、あえて忍者ハットリくんの口癖で締めてみました・笑。
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そういえば、ファミコンの忍者ハットリくんは、すげぇ難しかった想い出があります。内容は忘れたけど、父親が、チクワと鉄アレイを同時に投げてきたのは覚えている!!
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サンフレッチェ広島戦の分析。

 広島対川崎フロンターレ戦はテレビ観戦。
2度リードされる展開でしたが、終盤に3-2で逆転勝ち。遅ればせながら、フロンターレのJ1残留が無事決まりました。
 広島とは過去相性がよく、今季もカップ戦含めて2勝1分。
ピッチ上に目をやると、広島の採用するやや独特な[3-4-2-1]と、フロンターレの[4-4-2]で、システム間でどう噛み合わせるかがポイントになると思うのですが、今季対戦した3試合はその「広島シフト」ともいえる守り方がうまくいっていた印象です。
 
 広島は天皇杯も敗退していてペトロビッチ監督の広島と対戦するのがこれがラスト。
せっかくなのでそこを少し詳しく触れてみようと思います。まず中央の崩し、ワントップの佐藤寿人選手と、2シャドーの高萩選手、李選手の3人に対しては、最終ラインの4人でケアします。広島のサイド、つまりウィングバックが上がってきたときに誰が見るかの問題になるわけですが、そのサイドを使われたときは、サイドバックが出て行きアプローチにいく。その際、逆サイドに張っている広島のウィングバックには、ボールを展開されるまではフリーにさせてしまう守り方です。
こうやってある程度「サイドを捨てるやり方」が、今季のフロンターレが採用している「広島シフト」。今年の対戦では、この戦い方が機能していました。
 ただこの試合の前半は、それがうまくいかなかったですね。
まず最初の失点は、中央を崩された形。10分、佐藤寿人選手が作った中央のスペースに抜け出した高萩選手がゴール。ちなみにこの局面で走りこむ高萩選手を捕まえるのは、左サイドバックの小宮山選手の役目です。彼が中に絞って捕まえなくてはならなかったはずですが、掴み切れませんでした。
 それよりも前半全体を通じて気になったのが、捨てている逆サイドに展開される場面でピンチを招き続けていたこと。
解説の小倉さんは「サイドを使われている」という点を何度も指摘し続けていましたが、この試合だけに関して言えば、もともと逆サイドを捨てる守り方をしているのだから、問題はその前のところだったと思います。むしろボールホルダーに対するアプローチができずうまく展開されたほうに原因があったかと。こうなると中央の2シャドーをケアしている小宮山選手と田中裕介選手の両サイドバックは、展開されるたびにサイドにスライドしてアプローチにいかねばならないので、守備にいつも以上に負担がかかっていました。
 それだけに前半ロスタイムの同点弾が大きかった。
ジュニーニョの右クロスに山瀬選手が飛び込み、そのこぼれを小林選手がプッシュ。後半は、いつもの広島戦のリズムに戻ったと思います。相手のサイドで先手を取ることもできたし、うまく打開できていたと思います。
セットプレーから失点しましたが、CKから横山選手のヘディングで同点。ロスタイムには、サイドからのクロスを矢島選手が反転ボレーで決めて、劇的な逆転勝利となりました。終わってみれば、相馬監督の采配ズバリでしたな。
 
 内容的には引き分けが妥当だったかもしれませんね。
ただそれでも勝てたことが大きいと思うし、もしかしたら、そこも相性のよさなのかも・・とか思いました。
あー、思った以上にガチで書いたので疲れました・笑。
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本日の麻生取材。

 明日はアウェイの広島戦。
中二日の連戦に加えて前日移動もあるので、いつものようにサッカーバレー中心で調整。ミーティングも行わなかったので、9時スタートで10時過ぎには練習が終わっていました。
 
 広島戦といえば、やはりこの人には意気込みを聞きたい・・・ということで、広島ユース出身の田坂選手を取材。
古巣戦の場合、「意識しないようにします」と話す選手も少なくないのですが、田坂選手は違うんですよね。とりわけビッグアーチでの試合ということもあり、「あそこで試合をするのは特別。自分のルーツでもありますから」とも言ってました。
 まぁ、彼の場合は、広島ユース→青山学院大学→フロンターレというキャリアなので、トップチームの在籍経験がないことも関係しているのかもしれませんけどね。恩返し弾をよく決めている印象がありますが、実はビッグアーチではまだ無得点。16日の天皇杯大分戦でゴールしたこともあり、「ゴール狙ってます宣言」をしてくれましたよ。
 その天皇杯大分戦の田坂選手の得点は、今振り返っても実に美しいヘディングでした。
左サイドを突破したジュニーニョの鮮やかなセンタリング。「糸を引くような・・・」とはああいうクロスを言うと思うのですが、そのボールに右サイドで待ち構えていた田坂選手が、やさしく頭で合わせて逆サイドのゴールネットを綺麗に揺らしました。
 あれだけ滞空時間の長いセンタリングが来て、あれだけドフリーな状況だと、逆にいろんなことを考えてしまい、フィニッシュのプレーが難しくなってもおかしくないはず。そのへんの心理を聞いてみると、我が意を得たり、って感じで「考えましたよー。トラップしようかなとかいろいろ・・・」と話してくれました。
 でも本当に見事なヘディングでした。
「実はヘディング、うまいですよね」と褒めたら、「今年は3点取ってますからね。実は足よりも多い」と笑っていました。リーグ大宮戦でのダイビングヘッド、ナビスコ・マリノス戦、そして天皇杯大分戦。そういえば、こないだの神奈川大との練習試合でも、ヘディングで流し込んでましたっけ。そのうち、ヘディンガーとしての境地も開拓していったりして・・・。
 明日はテレビ観戦です。
自分はJクラブスタジアムは、J2も含めてだいたい行っている方だと自負しているのですが、J1だとなぜか広島のビッグアーチは一度も行ったことがないんですよね・・・今回も縁がなくて残念。とはいえ、週末はやること、やりたいことがたくさんあるので、それに励みますわ。
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等々力取材(天皇杯3回戦大分戦)

 昨日は、等々力で天皇杯3回戦を取材。
各地で波乱が起きた中、フロンターレはJ2の大分に4-0で大勝しました。
 久しぶりにスカッとする勝利を等々力で見れましたね。
というのも、ここ最近は、たとえ勝っても1点差ゲームがずっと続いていましたから。JFLのアルテ高崎に延長戦までもつれてしまう過去がありましたし、1点のリードなら何があるかわからないので最後まで気が抜けないもの・・・ホント、安心して試合終了のフエを迎えられましたわ。
ちなみに2点差以上で勝ったのなんていつ以来なんだろ?と調べてみたら、7月27日のナビスコカップ広島戦(3-1)までさかのぼらなくてはなりませんでした。さらに調べると2点差以上の公式戦勝利自体、ほかに第16節の広島戦、第15節の大宮戦、そして開幕の山形戦ぐらいなんですね・・・そうだったのね。
 試合のポイントは明日発売のエルゴラに書いたので、詳しくはそちらを読んでくださいということで。
ケガから約4ヶ月ぶりにスタメン復帰した横山選手が活躍したのは、うれしかったですね。柴崎選手とともに中盤でプレスをいなしながらボールを散らして、前に運ぶパス回しで、攻撃にいいアクセントを加えていました。ここのダブルボランチでゲームを作れたことは大きかったと思いますね。
 しかも自ら攻撃参加して2得点をアシスト!
1点目は左サイドを突破して中央へクロスし、小林選手がプッシュ。3点目のCKでは、こぼれたボールを絶妙な落としで楠神選手にお膳立てしました・・・あれ?そんなにアシストする選手でしたっけ?・笑。いやいや、さすがは”このままでは終わらない男・横山知伸”ですな。
 ちなみに3点目のときは、ゴールして喜びに走ろうとする楠神選手をうまく捕まえて投げ飛ばす、手洗い祝福をしていました。試合後に聞くと、「疲れてたんで、もう追いかけたくなかったんですよ・笑。悠が点を取ったときも、、むこうめっちゃ走り出したから、あっちまで行くのが大変だったんで」と笑ってました。どうやらあれは、自分のスタミナ温存のためだったみたいです。
 楠神選手の出来もよかったですね。
途中交代で入り、1得点1PKを獲得。スタメン落ちしている悔しさもあったのでしょう。試合後に聞くと、「自分自身、得点に絡まないといけないと思っていました」と、その胸のうちを明かしてました。最近の練習試合でも、二列目からスルリと裏に抜ける飛び出しをすごく意識していて、その動きがこの試合でもPK獲得につながりました。ただPKは蹴らずに矢島選手に譲っているんですよね。「すでに点を取れていたのでいいかなと思って」と苦笑い・・・そこは遠慮しちゃうのね。
 取材に来ていたメディアはすごく少なかったですが、いい試合を見れました。
天皇杯4回戦の相手は、J2の湘南。ありがたいことに会場は等々力です。この勢いで元旦まで勝ち進んで欲しいですな。
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北朝鮮戦の雑感。

 北朝鮮に0-1で敗戦。
無得点というと「決定力不足」が叫ばれますが、決定力不足ではなくて、決定機自体を作れなくて負けた試合だったと思ってます。試合を冷静に試合を振り返ってみます。
 布陣はいつもの[4-2-3-1]。ただスタメンはタジキスタン戦から半分近く入れ替え。GK西川周作 DF伊野波雅彦、駒野友一 、栗原勇蔵、今野泰幸 、MF 細貝萌 中村憲剛 、長谷部誠(cap) 、FW 岡崎慎司 、清武弘嗣 、前田遼一 。
 攻撃面での原因としては、ワントップの前田選手が機能しなかった印象です。
彼のところでボールがうまく収まらなかった。もともと前田選手はロングボールを前線で身体を張ってキープできるタイプではないので、あれだけフィジカルを前面に押し出して守る北朝鮮相手に、その仕事を求め続けるのは酷。でも中盤に下がって引き出すタイミングはうまいし、左右に流れて起点になるのもうまい。そうやって動きをつけながらキープしてアクセントをつけられるのが、前田選手のよさ。ただこの試合ではそれもできずに潰され続けた。
 その原因は前田選手だけの問題というよりも、チームとしてパスに工夫を出せなかったからだと思っています。特にその供給源となるダブルボランチの長谷部選手と細貝選手、そしてトップ下の中村選手には、立ち上がりから厳しくプレッシャーがきていたため、なかなか自由にボールがもてず、前田選手にもいいタイミングでパスが入れられなかった。
 そこで感じたのが遠藤選手の不在。
彼がいると、味方が一回パスを受けてからボランチに戻して、そして動き直してショートパスを受け直したりという微調整が、中盤でできるんですよね。そうやって何気ないパス交換で相手の守備をズラしながら、チームとしていいタイミングでの縦パスが入るから、トップ下のケンゴ選手も受けてから前を向きやすいし、それが攻撃のいい展開につながっていく。この試合では、遠藤選手のポジションに入っていた細貝選手が、不自然なほど相手に削られていたこともあって、リズムも生み出せなかった。
 ただここで見かねたザックがすぐ動いた判断はよかったと思います。
前半25分過ぎ、トップ下のケンゴ選手が、中盤の底に下がったトリプルボランチの[4-3-3]に変更。ケンゴ選手が、中盤の底でボールを持って前を向き、低い位置で裁きながら攻撃の組み立てをし始めました。これで少しリズムを掴んだ感じはありましたね。ザックのこのへんの臨機応変の決断は決して悪くなかった。
 一方の北朝鮮は、多少ラフなロングボールであっても、チョン・テセ選手がフィジカルを生かしてキープして、そこからタメを作って攻撃の起点を作っていました。なのに、北朝鮮の監督はなぜか前半30分過ぎにテセ選手を下げる、謎の采配。
 ただこの監督は、スタメンを前半途中でいじるというのは、わりとやる交代らしいです。しかもこれが機能する。代わりに入った7番は、テセ選手とは違い、小柄な俊足タイプなのですが、ロングボールを前線で競り合う屈強な10番の近くを衛星のように動き回り、日本守備陣をかき回していく。途中から入ってきたこともあり、DF陣も捕まえにくそうしていました。
 実際、左サイドを崩され、40分、41分と右サイドのクロスに7番に飛び込まれ、あわやの決定機を作られています。44分にも同じように右からのクロスでピンチを招く。特にフリーでクロスをあげていた右SBの20番の対応が曖昧になってました。この20番のあがりは、たぶん岡崎選手が下がってケアする役割だと思うのですが、前半終了間際だとさすがに疲れていて戻り切れないときもありますし、さらに左ボランチの細貝選手がスライドできていなかったんですよね。結局、左SBの伊野波選手がボールに出て行かざるをえなくて、それで開いたスペースにクロスを挙げられました。それでもなんとかしのいで0-0で前半終了。
 後半、現状をどう修正するかは後半の見所だったのですが、開始5分、ロングボールの競り負けから失点。その以後はあまり語ることはないです。内田選手を入れて[3-4-3]にシステム変更して巻き返しをはかるも、攻撃に推進力が出てこない。終盤には、相手が退場し、ハーフナー選手、李選手も相手の脅威とはならず、うまく逃げ切られて敗戦。
 代表戦で負けていい試合なんてひとつもないですし、あの北朝鮮のアウェイで負けるなんてテレビの前でも悔しくてたまりませんでしたが、すでに3次予選突破が決まっていたことを思えば、ケガ人も出なかったようですし、まだマシな敗戦です・・・でもやっぱり悔しいですけどね。
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プロフェッショナル 仕事の流儀 本田圭佑

ここ最近の日本代表のドキュメント番組ラッシュ。
昨日は「プロフェッショナル 仕事の流儀」に本田圭佑選手が登場しました。
$いしかわごうの「サッカーのしわざなのだ。」
タイトルは「這い上がれ 世界の頂へ」
復活の舞台裏に密着とのことだったので、ひょっとして怪我(右ひざ半月版損傷)をしてから取材を始めたのかなと思っていたんですよ。でも取材自体は、ケガをする前の8月、札幌で日韓戦の行われた前後から始まっていました。
 少し勘繰ると、番組としては11月のワールドカップ3次予選のこのタイミングにオンエアすることが決まっていて、あらかじめ3ヶ月間の密着取材だったと。ただその間に本田選手に大きなケガがあったので、撮影途中でメインテーマも軌道修正させていったんでしょうな。
番組の構成も、前半の部分はロシアでのプレーぶりやそのメンタルを中心に紹介しています。
 例えば、日ごろのトレーニングでも周囲から際立っている意識の高さ。たとえクールダウンのランニングでも、味方と談笑したりしてリラックスするのではなく、常に先頭を走り、ときにはチームメートを周回遅れにするほど徹底。その理由も明かしてます。
「当然ゴールはここ(ロシアリーグ)じゃないし、ここで終わってはいけないと思っている。でもここで合わせてるといけないっていう自分がいて、ここにいることが当たり前って思ったらダメっていう時間でもある だから、わざとこいつらと走ったらあかんと思ってはいるんですよね」
そして本田選手といえば、やはりそのメンタルの強さ。そこから来るビッグマウスも有名ですが、その理由も明かしています。
「好きなんですよ。大きいことを言ったら、最初は笑われるでしょ? それで見返したときの周りの反応が好きなんです。たぶん本能でそれが楽しい。自分が真顔で答えているほうがおもろい生き方やなって思うんです」
 自分にプレッシャーをかけて、自分を追い込み、そして跳ね返していくタイプなんですな。
そんな本田選手の挫折といえば、名古屋から移籍したオランダのVVVで経験した2部降格。
しかし2部リーグでは、ゴールだけにとことんこだわり、年間16ゴールを上げてMPVを獲得して注目を浴びています。番組内では「俺ならできる。俺ならできる」と呪文のように言い聞かせていたことも語っていますが、その点を取るプレースタイルにどうやって自分自身を「矯正」していったかを、本田圭佑が語っているインタビュー記事を読んだことがあります。
「まず自分の過去を全部否定したんです。いままでのプライドを含め、全てを変えようとした。名古屋グランパスや星稜高校には失礼やけど、過去を全部間違っていたものとした。意味がなかったことにした。とりあえずゼロから始めようとした。
 で、どうするんやと考えたとき、点を取りに行くスタイルを確立することを思いついた。そのためには、メンタルを改造する必要がある。綺麗事じゃダメだと頭を洗脳することから始めた。でもやっぱり今までのプライドとかポリシーが邪魔をする。とりあえず、そんなのいいからと、自分が間違っていたことにした。
 では点を取るためにはどうすればいいのか。前に走らないといけない。基本ですよね。超基本。ボールを出したら、すぐに前にダッシュした」

 こういうことをひたすら毎日自分の心に言い聞かせて、トレーニングし続けていたそうです。そのプロになるまでの成功体験を含めて「過去を全否定する」という覚悟に驚いたのを覚えています。
 番組の後半は、モスクワダービーで負傷した右ひざ半月版損傷からのリハビリの様子です。
アスリートにとって「負ってしまったケガとどう向き合うか」は重要な分岐点だと思います。本田選手なりの答えが、またらしかったですね。
「ケガして思ったのは・・・・僕、チャンスやなと」
・・・なんで?
「遠い試合に向けて自分を作り直せる。今まで、こういうケガをしたことがなかったから、チャンスだと思っている」
 なるほど。
「チャンスはピンチの顔をしてやってくる」とも言いますけど、彼にとっては今はそういうチャンスなのですね。
「人生ってサッカーもそうだけど、谷がないと山の喜びって感じられなくないですか?喜びに慣れてしまうと、喜びを喜びとして感じられなくなるんじゃないかな。誰しも山を狙った結果谷へ行ってしまう。でも這い上がろう這い上がろうとして、そこに新しい発見があり喜びがある」
そして最後は、この質問。
―――プロフェッショナルとは?
「自分らしく生き続けることがプロフェッショナルなのか分と向き合って、自分と格闘して、自問自答して、自分らしく生き続けることが、自分に与えられた使命」
本田選手が世界一のサッカー選手になれるかどうかなんて、誰にもわかりません。
でも、世界一のサッカー選手を目指すこととはどういうものなのか。
実際にそこに向かって行動している男が発する刺激的な言葉を、たくさん聞けました。
復活が楽しみですね。
本田選手の思考法がわかる濃いインタビューが載っています。
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