全員守備で掴んだ無失点、全員で打ち立てた新記録。だから、そこに価値がある。


先週末は等々力取材。

コンサドーレ札幌戦でした。試合は2-0で勝利。

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昨年、等々力で唯一負けた札幌にリベンジを果たしました。

ちなみに先週土曜日5月15日は、Jリーグが開幕した日で、「Jリーグの日」でした。

 あれから28年ですか。
開幕したあの日、北海道のど田舎でサッカーをしてた小僧はサッカーを観て、書くことが生業になって15年が過ぎました。感慨深いものがありますね。

ただ、昔の時代からはサッカーも変わりました。

アディショナルタイムに決まった小林悠のゴールは、VARの結果、得点を認められるという劇的な展開。ビデオ判定が用いられるのだから、隔世の感がありますな。

小林悠の追加点もあり、見事な勝利。これで昨年から続くJリーグ負けなし記録は22試合。見事、Jリーグ新記録を樹立しています。新しい歴史と記録が刻まれた瞬間に立ち会うことができました。

この日、素晴らしかったのが、完封で終えた守備陣です。1-0になってからの残り15分はかなり押し込まれる展開になっていたのですが、最後まで全員が集中を切らさないで跳ね返し続けました。

最大のハイライトは、福森晃斗のFKとの攻防。

壁の位置の駆け引きも含め、FKというよりは、まるでPKのような緊迫感がありました。

福森が蹴る前にフロンターレの選手たちの壁が前に動いたとして、主審から何度か注意を受けています。イエローカードが出ても不思議ではなかったと思いますし、言い換えると、相手のセットプレーに対して、これだけ壁が駆け引きする場面も珍しいです。ルヴァンカップ決勝では、距離や位置は違いますが、福森のキックで直接ねじ込まれていますからね。

チームとしてそれだけ警戒していたわけで、かつここが勝負どころだと誰もが感じていたのでしょう。

見事な集中力を見せたGKソンリョンは、枠をとらえてきた鋭いシュートを、右手一本で俊敏にかき出します。

もし、このFKが決まっていたら、試合の流れもおそらく変わっていたはず。まさに試合の流れを決めたビッグセーブだったと思います。

ドイツ代表やバイエルンの守護神として鉄壁の守備を誇っていたオリバー・カーンは、「GKにとって重要なことは何か?」と聞かれて「集中力」と答えています。

「俺は決定的な場面で最大の集中力を発揮できる。この能力があるから結果を残すことができるんだ」

 そう言い放っていたそうです。決定的な場面で高い集中力を発揮したソンリョン。素晴らしかったですね。

終盤に向けた両指揮官の攻防も見応えがありました。

真ん中から崩せないと見た札幌は、67分にジェイを投入。サイドを起点にできているので、そこからのクロスによるエアバトルで勝負をかけてきます。ただそれを見た鬼木監督も、素早く応手を見せます。72分、ノボリを下げて車屋紳太郎を投入。

左サイドを起点にした福森晃斗の対角線のフィードは、どうしてもフロンターレの左サイド側に展開されます。

上背のないノボリとハイタワーのジェイで競り合うと、分が悪くなるのは否めません。最終ラインの隙を消しつつ、長谷川竜也、橘田健人、小林悠を投入して、中盤と前線も活性化させます。そしてチームとしても集中を切らさずに耐え続けました。

全員でつかんだ完封勝利に、試合後のソンリョンはこう胸を張っています。

「監督が求めている球際、切り替え、ハードワーク。それをみんなが意識して、全員攻撃、全員守備をやりながら、勝ちながら成長できていると思う」

ちなみに「球際、切り替え、ハードワーク」は日本語で発していましたからね。

全員攻撃、全員守備でつかんだ、執念すら感じる無失点でした。全員守備で掴んだ無失点、全員で打ち立てた新記録。だから価値があるのかもしれません。

ということで、そんな試合のレビューでも余すところなくお伝えしています。

・ペトロヴィッチ監督との試合前の出来事
・小塚和季に感じた、シャドーとインサイドハーフの違い。
・別格の田中碧がいて、躍動した後半の旗手怜央。
・だから、ソンリョン。
・あの神戸戦を経て決めた小林悠の追加弾

以上、全部で約10000文字です。たっぷり書いたので、堪能してください。

「GOING TO THE MOON」 (リーグ第14節・北海道コンサドーレ札幌戦:2-0)

タイトルはトライセラの名曲から。

ではでは。

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