多摩川クラシコレビュー:ダイナモ・田中碧が狙った「ボールハンターからボールを奪う」というミッション。


どうも、いしかわごうです。
味の素スタジアムでのFC東京戦は2-0で勝利。

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 注目は、初先発となったボランチの田中碧でした。
主力に入っても遜色なくやれることは、練習を見ていてもわかっていました。チームのパスワークには入っていけますし、ボールを持てば、縦パスも出せるタイプです。

 ただ、FC東京のブロックは堅いですし、対峙するダブルボランチも米本拓司と橋本拳人という、ボール奪取やパスカットを得意とするタイプが並びます。中盤でボールを持ったときは目を光らせているでしょうし、安直な縦パスはボールを奪われてカウンターを食らう危険性もあります。田中碧がボールを持ったときに、彼らとの駆け引きがポイントになると見ていました。

 ダブルボランチのボールハンターコンビを、どうやってかいくぐって、ゴール前のフィニッシュに持ち込むのか。この試合に向けては、そこのボールの動かし方がポイントの一つになると思っていたんですね。その点に関して、試合前に尋ねると彼はこんなイメージを語っていました。

「うまく間に立って、後ろから来たボールをシンプルに前につなぐこと。(相手に)捕まらずにケンゴさんやアキさんにボールを繋げられたら良いですね。相手(のボランチ)が食いついてくる分、その背後があく。そこは見ながらですが、ボランチの背後は意識しながらやりたいですね」(田中碧)

 ダブルボランチが前がかりでボールに食いついてくれば、その背後が狙える。不安定になるであろうボランチの背中を、中村憲剛や家長昭博がいかにうまく狙えるか。守田英正とともに、そこの駆け引きを冷静にしていくことがポイントだと思っていました。

 しかし、試合が始まってみると、むしろ狙いは逆でしたね。

 ボールハントに定評がある米本拓司と橋本拳人から「ボールを奪われないこと」がポイントではなく、彼らを「ボールの取りどころにする」にできるかどうかがカギでした。なぜなら、彼らはボールを奪う技術には長けていても、ボールを保持した時のさばきや組み立ては、それほど優れているわけではないからです。

 そして、そこの狙いがはまったのが、先制点につながった場面です。

https://twitter.com/J_League/status/1066306437150699521

 田中碧が牽制したアプローチ。そしてそれに周囲も連動して、橋本拳人の「前後左右」でいう「前後左」を囲んだことでパスミスを誘いました。

「相手のボランチが、どちらかといえば守備に強いタイプだとわかっていた。ボランチに入った瞬間というのは狙い目なのかなと感じていた。うまくボールを入れさせて、奪いに行く。それは良いタイミングでいけたかな。あそこが狙い目というのは、みんなで話しながらというのはありました」(田中碧)

 田中碧のボール奪取は、局面での間合いの詰め方がうまいですね。足の出し方もうまいので、たぶん対峙している相手は、田中碧の足が後ろからスッと伸びてくるような感覚を受けるのではないでしょうか。日本人でいえば、稲本潤一のようなタイプに分類できるかもしれません。

 ミスがありながらも、攻守に力強さも出し、「らしさ」も発揮して勝利に貢献。そんな田中碧の姿を見ていたら、「そういや谷口彰悟も同じだったなー」と2014年の多摩川クラシコを思い出してしまいました。

 谷口も味スタがプロでの初先発でしたが、あれから4年半。今や守備陣には絶対に欠かせない存在です。この多摩川クラシコでスタメンを飾ったダイナモ・田中碧の姿も、いつしかそんな風に語り継がれていく。そのぐらいの試合数を重ねて欲しいと思いますね。

・・・・さて、かなりがっつり書いてしまいましたが、ゲームレビューでは、より深掘りしています。

今回のラインナップはこちらです。

1.「チームとして本当に気合が入っていた。FWからスイッチを入れて、自分たちのリズムに持っていきたい。そういう気持ちはありました」(知念慶)。守備のスイッチを入れ続け、鬼気迫る勢いでボールをハントを敢行した前線の知念慶と中村憲剛。彼らは、なぜ守備であれだけ頑張れるのか?

2.「相手のボランチが、どちらかといえば守備に強いタイプだとわかっていた」(田中碧)、「自分はサイドバックの選手に入るタイミングで、『あそこのコースで狙っているよ』というのを見せられれば良いかな、ぐらいでした」(長谷川竜也)、「あそこで自分がいって、(田中碧が)ついてきたからこそ、ああいうパスミスが生まれる」(中村憲剛)。ボールの取りどころだった橋本拳人を狙った、ダイナモ・田中碧による絶妙な牽制と、それに呼応した連動性。必然で生まれた先制点を読み解く。

3.「今日のゲームは内容も素晴らしかった」(エウシーニョ)。いつもとは違い、幅を使った攻め筋を多用した理由。そして中村憲剛が効果的に機能させた、「大外からエウソン」。

4.「広島戦も悔しかったので」(長谷川竜也)。去年の最終節以来となった、今季のリーグ初得点。連覇後に再び動き出した、タツヤの時間。

5.「自分が結果を出せたのは不思議ではないし、出さないといけない場面だった」(知念慶)、「日頃の練習がレベルの高いもので、それが試合にいきている。それは感じました」(田中碧)。巡ってきたチャンスで結果を出す若手たち。彼らの自信になっているのは、麻生での日々の積み重ね。

以上、5つのポイントで冒頭部分も含めて全部で約8500文字です。今回は、いつものレビューとは少しだけテイストを変えております。ぜひ読んでみてください。

スタイルの完成度を見せつけた多摩川クラシコ。優勝して新境地を開くことで手に入る、新しい強さもある。(リーグ第33節・FC東京戦:2-0)

ではでは。

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