神戸戦の、あの崩し。


 今日は中村憲剛選手の誕生日でした。
その様子はブロゴラに書いておいたので、お読みください。
 ここではプレーのこぼればなしを。
それは、神戸戦の楠神順平選手のゴールシーンです。そう、右サイドからのクロスが、そのままゴールに入ってしまったという、あれです。
 興味深いのは、そのひとつ前のプレーなんです。
というのも、楠神選手とケンゴ選手による、サイドの狭いエリアの突破がエグい。
 映像を見れる方は、このゴールまでの流れを見直して欲しいのですが、まず相手のビルドアップに対して、高い位置でケンゴ選手がプレッシングをかけていき、うまくボールをカットしたところからこの流れが始まっています。
 カットしたら、右サイドにいる楠神選手にすぐ預けるのですが、ボールを受けた楠神選手は瞬く間に相手2人に囲まれてしまいます。そこで粘ってキープしながら、近くにいるケンゴ選手にいったんボールを戻すのですが、相手の2選手はすぐにケンゴ選手へのアプローチを強めていきます。目の前から2人が圧力をかけてくるわけです。
 しかしここでケンゴ選手が選択したのは、ボールを後ろに下げて作り直すでもなく、広いエリアにボールを展開するでもなく、その相手選手2人の間にある、非常に狭いエリアを通すというものでした。
たぶん、数ある選択肢の中でもっとも難易度の高いプレーだと思います。正直、「あえて、そこを通すか?」ってプレーですから。
 しかしこの針の穴を通すようなパスで相手選手2人は完全に置き去りにすることができました。楠神選手はまったくのフリーで右サイドを突破しています。そこからのクロスがゴールネットに吸い込まれました。
 もちろんね、ゴール自体は完全に幸運でした。楠神選手本人も認めていましたが、自分でゴールを狙ったわけじゃなくて、クロス性のボールが偶然に入ったものです。そこは否定しません。
 ただねぇ、その前のあの崩しを見せられたら、ゴールなんかおまけですよ・笑。いやー、あの崩しだけで白飯3杯はいけますね。
 ケンゴ選手に、あの一連の流れを解説してもらったのですが、2人の間を通そうとしたプレーだったこと、そして「クスにだったら通せる」と、受け手が楠神選手だったこともあの選択をした理由だったと言ってました。そして普段の練習から取り組んでいるものが試合に出たプレーでもあるとのことでした。
「相手の逆を突く。風間監督はそういうサッカーをやろうとしているし、ああいうのができるようになれば、相手は関係なくなるよね。もちろん、まだまだチームとしても個人としてもミスが多いけど」
 試合を見ていると、「もっとシンプルにやればいいのに・・・・」とはがゆさを感じる場面もありますが、こういう話を聞くと、あえて難しい選択にチャレンジしていく姿勢も、その意図を含めて評価しないといけないな、と思わされる訳です。
「思いついたプレーのなかで,いつも一番難しいものを選択することにしている」とはロベルト・バッジォの名言です。それはなぜかというと、ああいう素晴らしいプレーにつながる可能性があるということですから。
さぁ、楠神選手のラッキーゴールにつながる、あの崩しを見て、みなさんも白米3杯食べましょう・笑。

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