新潟戦〜フロンターレが戦っていた二つのプレッシャー。


 
 ビッグスワンでの新潟戦は0-3で完敗。
ビッグスワンになると途端に勝てませんね。等々力では新潟相手に良い内容のサッカーが出来るのに、ビッグスワンだとなぜか防戦一方になってしまう。
 漫画「聖闘士星矢」の冥王ハーデス編で、ハーデス城の結界により、黄金聖闘士のムウ、アイオリア、ミロの3人が実力の10分の1も出せないまま、ラダマンティスに倒されるという場面があるんですけど、ビッグスワンでのフロンターレの選手のプレーを見ていると、なんだかそんな感じです。
 そんな冗談はさておき。
この試合、フロンターレは二つの大きなプレッシャーと戦っていました。
 一つはアルビレックス新潟がかけてくるプレッシャー。
2トップと中盤の4人が連動し、ボールホルダーを挟み込む形で距離を詰めていくプレッシャーの圧力は、想定通りとはいえ、やはりやっかいでした。ボールハントの中心にいるレオ・シルバの存在もそうですが、新潟のプレスは、例えばサイドの球際のところで最後にしっかり足を出してくるんですよね。これでタッチラインを割ったり、ワンテンポの遅れを生んだり、と思うようにかいくぐれませんでした。
 これ以外にも新潟の守備意識の高さは際立っていました。
目を引いたのが後半、右サイドでの攻撃の際、相手の守備を引きつけようとしてジェシが自陣からオーバーラップしていった場面です。この動きに対して、相手のFWであるラファエル・シルバが猛然と攻め上がるジェシを追いかけて自陣深くまでマークについていったんですよね。人に付き切ることで、簡単には相手に数的優位を作らせないということ、なによりブラジル人のFWがあそこまで守備をしに帰るのか、とその守備意識の高さに舌を巻いたもんです。
 もちろん、新潟のプレッシャーに屈したことを相手の問題で済ませてはいけません。自分たちの問題として、目を向けることのほうが大事だからです。
 例えば、この日のダブルボランチ。チームのリズムを奏でるボランチの組み合わせは、アジア大会帰りの大島選手と、本職であるボランチのポジションで少しずつ存在感を見せてきた谷口選手になりました。ただ良くなかったです。今週に組んだばかりのダブルボランチに「完璧」を求めるのは酷なのですが、チームは優勝争いをしているのですから、それでも、やってもらわないと困ります。
 気になったのは、お互いの役割分担が少し曖昧だったように見えたことです。例えば相棒がパウリーニョのときの谷口選手は、攻撃に積極性を出す意識が高いです。ただ大島選手と組んだときは、その役割を任せていて、谷口選手が少し全体のバランスを取る役割に徹していた印象です。これはこれで機能すれば良いのですが、この試合ではタクトを振る役割の大島選手に冴えがありませでした。ならばもっと谷口選手がゲームを作る仕事をしなければならなかったと思います。
 そして大島選手。輝きがありませんでした。アジア大会で出続けていたため、試合勘は問題ありませんが、まだフロンターレでのプレー感覚が完全には戻っていないのでしょう。やはり一ヶ月のチーム離脱は、彼にプレーに少なくないズレを与えています。
 例えば、普段であれば、プレスをかけてこうようとする相手と駆け引きで、パスを散らしながらボールを受け直す作業を続けていくのですが、この日は、相手のプレスに掴まらないパスが精一杯になってました。フリーになっても、出したボールにミスパスが目立ちました。新潟のプレスが激しいことを指し引いても、プレーを選択するときの余裕がなくなっているんです。これでは彼の良さは出ないですし、前線の攻撃陣にいい形でボールが入るわけがありません。正直、前半だけで交代させられてもおかしくなかった出来だと思いましたが、風間監督は後半に憲剛選手と組ませてピッチに立たせました。チームの浮沈を握っているポジションですから、彼の奮起に期待します。
 そしてこの試合、フロンターレが戦っていた、もう一つのプレッシャー。それは優勝争いのプレッシャーです。
 新潟戦は、このカードで唯一の7時キックオフのナイトゲームでした。選手も首位・浦和の勝利を知っている状態でキックオフを迎えたと思います。暫定で勝ち点差8ポイントが付いていました。引き分けではなく、勝って5まで縮めなくてはいけないというのは、少なからず選手のプレッシャーになっていたのでしょう。勝つ事でプレッシャーをかけたい立場のはずが、開始時間の関係で逆にプレッシャーを受けて臨む試合になっているわけです。
 そして先制点を奪われる展開になり、そして後半になってもうまくいかない時間帯が続くと、チーム全体がとてもナーバスになっているのが感じられました。そして自滅のような形で失点を重ねてしまいました。本当に強いチーム、優勝するチームは、そんなプレッシャーをも跳ね返していくものです。リーグ戦は残り7試合。優勝争いというプレッシャーを克服するための強い意志をしっかりと見せて欲しいと思います。
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 日本代表に選出された小林悠選手の原稿を書きました。
川崎F・小林悠が“エース”と呼ばれる日――。日本代表FWの才能を開花させた大久保・ジュニーニョの存在感
「ジュニは『俺を見ておけ』っていうタイプで、嘉人さんは『俺がやるから付いてこい』というタイプですね。ジュニはお父さんで、嘉人さんはお兄さんという感じです」
ジュニーニョと大久保嘉人という、偉大な2人のストライカーが小林選手に与えた影響について書いてます。シンガポールでのブラジル戦は、ジュニーニョもテレビで観戦しているかもしれませんね。

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