等々力取材〜ヤヒロ・スコアでセレッソに勝つ。


 先週は、ブログの更新もお盆休みを取らせてもらいました。
今週からまた再開ということで。等々力のセレッソ戦から。

(※野球のスコアボードではありません)。
 風間監督が筑波大の指揮をしていた頃、対戦相手に関係なく5-4や4-3と大味なスコアで打ち合うことが多かったので、大学サッカー関係者からは「ヤヒロ・スコア」と呼ばれていたそうですけど、そういう意味では、久々のヤヒロ・スコアでしたねぇ、えぇ。
 勝ち方や失点数はどうあれ、まずは勝ったことは評価したいです。なにせ、セレッソがJ1復帰した2010年から、等々力でセレッソに勝ってませんでしたからね。等々力でのセレッソ戦の勝ちが、かなり久しぶりです。
 にしても、ヒヤヒヤだったにも確かです。
見ている方も疲れたので、やってる選手もさぞかし疲れたと思い、試合後のミックスゾーンを通っていく田中裕介選手に声をかけてみました。彼はロスタイムに投入されたので、ほとんどプレーはしていないのですが、5-4というシチュエーションで逃げ切りを求められてピッチに入る選手心理は、一体どんなものなのか。単純に聞いてみたかったのです。
 彼はホッとした表情で、「いやー、プレッシャーはありましたよ。大宮のときの3-4の試合がよぎってたし」と笑っていました。
・・・3-4で負けた大宮戦と聞いて、てっきり今季3月のリーグ戦だと思って聞いていたのですが、後でよく考えたら、たぶん2年前の天皇杯のことを言っていたんでしょうね。前半終えて3-0から後半だけでひっくり返された試合です。確かに、あの試合に似ていたかも・・・そういう意味で、5点目を取って突き放したのはチームの成長ということで(←無理矢理)。
 試合の流れに関して言うと、開始5分にいきなり失点。浦和戦から立ち上がりに失点しているのは、反省材料ですね。
 ただこれは3バックシステムを導入してまだ間もないというのも原因の一つだと思います。相手(のシステム)による噛み合わせによる齟齬をどう噛み合わせていくのか。前節の浦和とセレッソでは布陣が違いますし、チームの経験値もやはり足りないですから、どうしても立ち上がりは探りながらやる部分が出てしまいます。
 失点場面は、まさにそこを突かれた印象です。
左サイドからのゴール前に入って来たクロスを、逆サイドから走り込んで来た南野選手の決められてしまい失点。「自分は、少し前目のポジションだったこともあるんですけど、マークを捨ててはいけなかったですね。あそこは自分がついて行かなくてはいかなかった」とこの場面を反省していたのは、左ウィングバックの登里選手でした。
 浦和の1トップ2シャドーであれば3バックを含めた後ろのマーキングはかなりハッキリしますが、セレッソの[4-2-3-1]に対しては、サイドからゴールに入って来る選手に対して、誰が掴むのか、あるいは受け渡すのか。その連係がやや曖昧でした。
 ただそれを除けば、前半はいつものペースに持ち込めました。
いつものサッカーを展開したので、特に紹介しません・笑。程よい距離感でパスが回り、面白いように得点を重ねていきました。締めはロスタイムに憲剛選手がスライディングシュート。前半だけで4-1。
 攻撃時は、森谷選手のポジショニングがアクセントになっていて、面白いですね。金久保選手が出場していたとき、トップ下に現れてFWとのクッション役となることで前線とのリンクマンになっていたのですが、今のシステムでは右ウィングバックの森谷選手がそういう役割をしています。ポジションに捉われず、神出鬼没な動きでパスワークの潤滑油になっています。全体のバランスを取るのではなく、あえてわざと密集する一人がいることで、局面が打開できていたりするから、サッカーは面白いです。
 前半で気になったのは、むしろセレッソの守備。
先月の対戦に比べると、プレスにいくときの連動性が薄れているような印象を受けました。前回はもっとチーム全体がコンパクトだったはずですが、前と後ろで少し分断されているような距離感でした。試合中、監督がしきりにラインを上げるように指示していたので、後ろがラインを下げ過ぎていたのでしょうか。これではフロンターレのパスワークを捉まえられません。
 うまくいかないがゆえに選手の守り方の意識にも迷いが出たのか、憲剛選手のスライディングゴールがそうですけど、レナト選手とのワンツーに、人につくでもなく、かといって場所を埋めるでもなく、どっちともつかずで、あっさりと中央を割られていました。未勝利が続くとこういった負のスパイラルが続くのかもしれません。
 さて、問題の後半について。
負けるなら3点差も4点差も関係ないですから、相手は捨て身に近い戦法で来ました。システム的には[3-5-2]だそうですが、前線に3、4人が張り付いているほどの前傾姿勢だったようにも見えました。同点や1点差のスコアだったら、絶対にやらないであろうギャンブルを仕掛けてきました。
 もっとも、こういうスタイルは長くとは続きません。
うまくいなせば、15分もすればゲームはだいたい落ち着きます。実際、立ち上がりはわりといいリズムでいなしていたんですよね。しかしワンパンチを食らってしまい失点。先制点同様、サイドからの突破と逆サイドへのクロスの形です。対人に強い小宮山選手が振り切られたこと、森谷選手もしっかりとマークについていき、中に絞ってクロス対応したものの、先に触られてしまいました。
 まだ2点差あるとはいえ、これで勢いはセレッソに。後半のフロンターレは受け身になってしまいました。稲本選手を入れて4バックに戻しますが、うまくいきません。小林選手が久しぶりのワンタッチゴーラーぶりを発揮して5点目をあげてくれたから勝てたものの、いやぁ、前半とはうって変わって本当に苦しい後半でした。
 試合後、實藤選手に劣勢が長く続いた理由を聞いてみました。彼が述べていたのは、相手が前線に人数をかけてきたことで、相手に引っ張られてしまい、味方同士の距離感が遠くなってしまったことでした。
「DFラインにとっては距離感が生命線なんですが、後半は相手が前線に人数を残していた分、そこの対応を意識しなくてはいけなくなるので、味方の距離感が遠くなってしまったんです。自分を含めて、チャレンジに行っている選手に対する、自分を含めたカバーリングが遅くなってしまった。ただそこは意識の問題なので、すぐに直るところだと思っています。あまり引きずらずに個人個人で改善していきたいです」

 試合後、レナトがフォルランとユニフォーム交換してました…いきさつが気になったので、ミックスゾーンでレナトにフォルランのことを聞いたら、「素晴らしい選手で、ワールドカップでMVPを取った選手なので、リスペクトしている。試合後に話をしていたら、じゃあシャツを交換しようかという流れになった。シャツを交換したことで彼も自分のことを覚えてくれたことでしょう・笑」とのことでした。レナト、意外と抜け目ないですねぇ。
 どうやら、フォルランがJリーグでユニフォーム交換したのは初めてだったようで、フォルランの上半身裸姿を生で見たセレッソサポーターも感激だったようです。レナトには「フォルランを脱がした男」の肩書きをあげたいぐらいです。
 カンゼンさんからフォルラン特集のフッチボールサミットの献本をいただきました。
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 この本を読んでいると、あらためてビッグネームが来たんだなぁ、と実感します。特に「来日の真相」というフォルラン獲得の移籍交渉エピソードが面白いですね。ビッグネーム獲得の為に、水面下でどう動いているか。情報戦の駆け引きなどもとても面白いです。なおセレッソの獲得候補リストには、ロナウジーニョ、カカ、フォルランの3人がいて、もし本田圭佑が昨年の夏にミランに移籍していたら(実際は冬)、カカを獲得できていた可能性もあったという記述もありました。あくまで、可能性ですが。
 なおミックスゾーンで横を通り過ぎるとき、フォルランに会釈したら、眼を合わせて会釈してくれて、ちょっとテンションあがりました。
・・・ふぇー。休み明けということで、たくさん書いて疲れたので、このへんで。
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