昨日は、夢の島陸上競技場に。
ブレナスチャレンジリーグ第3節・スフィーダ世田谷対バニーズ京都SCを取材してきました。
夢の島、とにかく寒かったです。
まず朝からあいにくの雨。さらに風もビュービューに吹いているもんだから、もう寒い寒い。観戦ノートにメモしようにも、手が冷たくて書く作業もおっくうになるほどの状態でした・・・いやいやいや、もう4月も終わるんですけど。
当然ながらピッチコンディションも相当に悪く、場所によっては完全な水たまりもできておりました。パスを出してもボールが途中で止まってしまい、近くにいた相手へのプレゼントパスとなる場面もあるなど、両チームの選手達はストレスを抱えながらのプレーだったと思います。
この試合、実はスフィーダ世田谷は、チームの大黒柱である主将・田中麻里菜選手が不在です。練習中に負傷し、検査の結果、右膝半月板損傷で全治2ヶ月間(の見込み)の長期離脱を余儀なくされました。
「本当は[4-3-3]で戦いたいというのはあります。しかし田中の代わりはいないので、[4-4-2]を採用してやってます。でもこれで前線がうまくフィットしてたらいいですから。みんなもチャンスだと思ってやってますよ」(川邊監督)
センターフォワードの麻里菜選手が離脱したことにより、川邊監督はシステムを[4-3-3]から[4-4-2]に変更してスタートしています。2トップは森選手と大嶋選手でした。
中盤の主導権を握っていたのはスフィーダでしたが、ゴール前のボックス付近になると、雨の影響でボールがズレてしまうなど、なかなかフィニッシュまでいけません。得意とする地上戦が出来ずに、やや攻めあぐねたスフィーダでしたが、43分、サイドからの宮原選手のクロスに、2トップの一角・森選手が合わせて先制。
後半になると、56分に下条選手がフリーキックを直接決めて追加点。うまく曲げて壁を越えるボールをではなく、どかんとストレートにネットに突き刺すシュートでした。64分には、左からのクロスのこぼれ球に大嶋選手が豪快に蹴り込んで3-0。これで勝利をほぼ手中に収めました。ロスタイムには立て続けに2点を追加し、終わってみれば5-0の大勝です。
悪天候もあり、スフィーダらしいサッカーとはいきませんでしたが、「リスクの少ないサッカーにはなりましたが、選手たちがどこからどう攻略すればいいかと考えてやってくれたと思います」と川邊監督は一定の評価を下していました。
さて。
5ゴールを奪った攻撃陣に目がいきがちですが、個人的には、完封したスフィーダ守備陣と京都攻撃陣との駆け引きがなかなか面白かったです。
京都はセンターフォワードの16番の選手にボールを集めながら、そこを起点に攻撃を展開していこうとしていきます。この16番の選手のポストプレーはなかなか気が利いていて、京都の選手の中ではちょっと際立っていました。
実は、元ベレーザの豊田奈夕葉選手だったんですね。そりゃ、上手いわな・笑。それでもマッチアップしていたCB臼井選手は、うまく対応していたと思います。
試合後、臼井選手にそのあたりの感想を聞いてみました。
「相手は16番に当ててからの展開が多かったですね。そこに自分であったり、川嶋選手がしっかりとチャレンジ&カバーすることを意識していました。それと練習では、ボランチと連係してサンドイッチしてボールを奪い切ることに取り組んでいました。それを前半から意識してやることはできていました。危ないシーンもありましたが、完封できたのは収穫だと思います」
ただ臼井選手も認めたように、「危ないシーン」もありました。
最終ラインを高く設定するスフィーダに対して、京都はその背後にできるスペースを狙って、シンプルにボールを前半から入れてきていました。ただこれはスフィーダのGK川口選手が素早い飛び出しを見せて、巧みに相手の狙いを消し続けていました。
後半になると、京都がさらに工夫を加えてきます。オフサイドトラップをかけようとするスフィーダの最終ラインに対して、ときに3トップと中盤の一人を加えた4枚をあえて前線に張り付かせたりしてゆさぶってきます。そしてパスが出た瞬間には、前線の彼女らを囮にして、中盤の選手がパスに飛び出す「抜け技」で、オフサイドをかいくぐってきました。後半8分にはその抜け出しが成功し、GK川口選手と完全に1対1を作っています。
この決定機は川口選手が好セーブでしのぎましたが、もしここでゴールが決まってたら、スコアは1-1。もしかしたら、試合結果も変わっていたかもしれません。そういう意味で、チームを救ったビッグセーブでした。
試合後、川邊監督にそのあたりを聞くと、「ウチは攻撃的にいくチームなので、常に失点もつきまとうチームですからね。大差で離していても、どうしても失点がある。今日も一瞬の隙を突かれています。キーパーのファインセーブでことなきを得ましたが、切迫したゲームだったので次の1点を取られていたらどうなるかわからなかった。大量得点を取って勝つときはキーパーのファインセーブが必要ですね」と川口選手のビッグセーブを褒め称えていました。
守備陣の対応については「前半にも一本やられた場面があったんです。自分はベンチから見ている状況のため、誰がどういう状態なのかまでは、なかなか把握できなかったので、そこはピッチにいる選手同士でその都度話せと伝えていたのですが・・・」と、監督からはなかなか修正しきれなかった様子。
実際のピッチ上でやっていた選手はどうだったのか。
臼井選手は「ボールに対してプレスにいけているときはラインを高くできたのですが、ボール保持者に対してプレスがかかっていないときに最終ラインの対応が曖昧になってしまいました。そこは課題ですね」と触れていました。ボールホルダーに対するプレッシャーがかかってないときのラインコントロールに難しさがあったようです。
とはいえ、無失点で終えたのは今季初です。
第3節を終えて3連勝。ガッチリと首位をキープしています。
<おまけ>
スフィーダの選手等身大パネルです。
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