書評:俺にはサッカーがある 不屈のフットボーラー16人


どうも。
サッカー本ソムリエ・いしかわごうです。
今回紹介する本はこちら。
いしかわごうオフィシャルブログ「サッカーのしわざなのだ。」
「俺にはサッカーがある 不屈のフットボーラー16人 」
 いやー、読み応えありましたね。
巷では多種多様なサッカー本が出版されていますが、選手の生き様を描いたど真ん中の本、僕は大好きです。自分もこの世界を取材させてもらっているせいもありますが、勝負の世界に生きている彼らの姿勢から、常日頃、たくさんのことを学ばせてもらっていますから。
 本のなかでは16人のサッカー選手が登場します。
岡崎慎司選手や駒野友一選手など日本代表選手も登場しますが、どちらかといえば、世間的には有名過ぎないJリーガーが中心です。榎本達也選手、小川住純選手、藤本主税選手、小林慶行選手などなど、Jリーグを見ている人なら名前とプレーは知っているぐらいのキャリアがある彼らの、知られざる内面の物語に迫っています。
かなりボリュームのある本ですが、グイグイ引き込まれるので、あっという間に読めました。
 とりわけ惹かれたのは、ゴールキーパーの生き方でしょうか。
あるGKが「ゴールキーパーはワイン。時間をかけて熟成させていくほどよくなる」と言ってましたが、キャリアや年齢を重ねることで生まれる「人間的な器」がプレーにも現れるポジションだと僕も感じています。そういう意味で、GKのキャリアって生き様とすごくリンクしやすい気がします。
 この本に登場していたのは、徳島ヴォルティスの榎本達也選手と横浜FCのシュナイダー潤之介。
偶然なのかもしれませんが、なんだかすごく対照的なんですよね。
 まず榎本選手といえば、やはり岡田監督の横浜Fマリノス時代。川口能活という絶対的な守護神が海外移籍をしてから、チームを最後尾で支えてリーグ優勝に貢献してるわけですから、国内トップクラスのGKだったとも言えたわけです。
でもこのときの彼は、徹底的に技術を追求していて、人間的な成長を少しおざなりにしていたと振り返っています。そしてその後、ヴィッセル神戸で出会った武田GKコーチによって、内面的な成長を遂げてGkとしてだけではなく、人間としても大きくなっていく。
昨年はJ2の徳島ヴォルティスに移籍。しかしそこではシーズン前に襲われたアキレス腱断裂で長期離脱という試練。そのリハビリ中に何を考え、どういう部分を培っていこうとしたのか。いい選手になるための彼の物語は、まだまだ続いていくことでしょう。
 一方のシュナイダー潤之介選手は、まさにたたき上げ。
大学卒業後もまったく声がかからず、サッカー雑誌の公募を見てセレクションを受けて合格。入ったのは群馬県2部リーグの群馬FCフォルトナ。契約は月3万円。しかも月3万円をもらえるのではなく、払う側だったというおまけつき・笑。
そのスタートから、今度はサガン鳥栖のセレクションに合格。月給は5万円(今度はもらう側)。そんな浮き沈みの激しいプロサッカーの世界のなかでも必死に生き残り、すでに11年プレー。ドラマとしても波乱万丈で面白いですが、その雑草のような生き様からも学ぶものの多い物語でした。
 
 本書に登場した彼らの姿勢を見ていて読み取れたのは、「試合に出れないときに何を思うか。あるいは、怪我から這い上がるときに何を思うか」が重要なのだということですね。
そしてこれはサッカーに限った話ではなく、仕事とか人生で困難が立ちはだかったときに置き換えても同様だと思います。例えば宇留野純選手の章では、安間監督も指揮を執っていた本田技研(Honda FC)時代の恩師・長澤徹さん(現:ジュビロ磐田コーチ)のこんな言葉が紹介されています。

・「問題があることが問題なのではなく、問題があるのに考えないのが問題。『監督がダメだから』とか『パスをよこさない味方の選手がダメだから』と、人のせいにしているうちは自分と向き合っていない」
・「チャンスは必ず来る。チャンスをものにするかどうかはお前しだいだ。お前がチャンスをものにできなかったら、他の選手が試合に出られることになる。サッカーとはそういうスポーツなんだよ」
・「試合に出られない理由を監督がいくら理路整然と話したところで、『はい、そうですか』という聞き分けのいい選手なんていない。でも大事なことは、試合に使われないのなら、そこから『じゃあ、自分はどうするのか?』ということ」

 どれもすばらしい格言だと思いました。
たまにいますよね。物事がうまくいかないと、それを人のせいにしたり、批判ばかりする人。あるいは、グチや悪口をブログやツイッターで発言して周囲に撒き散らす人。
本人はストレスが発散できていいのかもしれませんが、そういうことをしているうちは、自分としっかり向き合っていない証拠なのかもしれません。まず人のせいにする前に、そこで自分のやるべきことをきちんとやる・・・自分が担当しているフロンターレも苦しい時期だけに、自戒をこめてね。
・・・・とまぁ、なんだか話がそれてしまいましたが、こういう風にサッカーを通じて人生を生き抜くヒントがたくさん掲載されている一冊です。
では最後に再び、宇留野純選手が長澤徹さんに言われた言葉を紹介して締めます。
「代表選手とかスター選手は、プロフェッショナルとして尊敬もされるけれど、30歳を過ぎてサッカーでメシを食っていける選手は、それだけでも価値がある。そいつらのほうが苦労しているし、うしろ姿がしっかりしている」
 サッカーファンはもちろん、サッカーに詳しくない人にもぜひ読んでもらいたい一冊です。
俺にはサッカーがある: 不屈のフットボーラー16人/川本 梅花

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